好き逃げ! = 好きですけど、逃げていいですか? × 俺の許容範囲は限界です!(連載版)

m.sei

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好きじゃない

31 二章〈3〉① 内緒話とひとりツッコミ*

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 昼食から戻り自分達の席に着くと、吉田は思い詰めた顔をした藤崎に声をかけられた。

「あの、吉田さん。ちょっと、いいですか」
「なに? どうかした?」

 戻ってくる途中、藤崎がなぜかソワソワしていたことには気づいていたが、あえて気づかないふりをして尋ねた。

 昼食時は吉田の他に数人の同僚と一緒だったために、聞けなかったことがあったらしい。そういえば、始終考え事をしていたのか、話しかけても上の空で、よく箸が止まっていた。

「あの……」

 一度は話すと決めたものの、再び思案し始めた藤崎を、吉田は黙って待つことにした。

「例えば、の、話なんですけど」
「うん。あ、ちょっと待って」
「は、い」

 藤崎を制し、吉田は自分の椅子を動かす。朝よりももっと内緒話ができるように、藤崎の椅子にピタリとつけた。

「うん、いいよ」

 小声で話せる空間を作ったことで、藤崎も多少安心したのか、わずかに首を傾げると、はにかんだ笑顔を浮かべた。

 ――う~ん、これはなんだ。普通に女子より、可愛いんじゃないのか?

 恋愛対象とかではなく、どこか守ってあげたくなる感が強い。

 ――いやいや、藤崎くんは男だから、弟ってことになるんだけど……

 心の中でひとりツッコミを始めた吉田を遮るように、再び〝例えばなんですけど〟と藤崎が口を開く。

「あ、うんうん。例えばね」

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