人間に慈悲深い捨てられ聖女はその慈悲を捨てた

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第一章 二人の聖女

三話 この国の聖女(3)

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「てい、さつ……」

 食事を何日間も抜かれ、水も満足に与えられない状況で自然と声がかすれる。
 今日は、月に一度ある街の偵察だ。心の底では行きたくないと拒絶しているが行かねばならないと、重い体を起こす。
 朝から晩まで仕事、寝る時間などありもしない。

「さいあく」

 何故か、自然と声が零れた。


 ーーーだってあれは、偵察という名の……

       イジメですから



「魔女よ!!!はやくでていきなさい!」

 街に行って、民の第一声がそれだ。フードをもっと深く被るように善処した。
 数十年前、そのままの格好で出歩いていたのだが、民から「お前の顔なんてみたくない」と、ものを投げつけられたので、それからフードを被るようにしていた。

 けれど、民からの暴言罵倒は止まらない。

「あぁ!うちの子が死んだのもあんたのせいよ!」
「ふざけるな!慈悲深いフラウロス様が生かしてくださっているのに!!お前はただの金食いか!」
「あぁ天よ!この魔女に粛清を!」
「そうだ!聖女が二人なんておかしいと思ったんだ!」
「こいつは偽物だ!」
「フラウロス様こそ真の聖女であるはずなのに…!!」

 私に向かって一斉に物が投げつけられた。刃物であってもなりふり構わずに勢いよく投げつけてきた。
 協会の付き添いすらも、そちら側に付き一緒に物を投げている。咄嗟に頭だけは守ろうと、必死に蹲った。

「出てこいよぉ!早く!出てこい!!!」

 蹲っても、結局は蹴られておしまい。むしろ、反感を買うだけのようだった。
 痛い、その感情が体を支配した。恐ろしい、彼らは人間なのだろうか。

 ーーー私はなぜ、蹴られているのですか。

 自問自答、答えが返ってくることはない。
涙も枯れ果て、表情筋は動かない、これはたしかに、美しくないのだろう。

 その日はそのまま民のストレス発散のおもちゃになってそれで終わってしまった。
 仕事ができなかったことが残念だと心底思った。
それと同時に外であること関係なく、眠さが引き寄せてきた。瞼が重い、ここ最近ちゃんとした睡眠をとっていなかったからだろうか。

ーーー眠い


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