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3巻
3-3
しおりを挟む『あら、アルバートお兄様? どういう風の吹き回しかしら。明日は桶でも降るのかもしれないわね』
この言い回し、声。実に我が妹である。『桶が降る』というのは何かと混ざっているのだろうか。しかし妹のよく分からない嫌味をいちいち気にしていても話が先に進まないので、アルバートは考えるのをやめた。
「ヴィクトリアか? 話があるんだが、開けても?」
身内とはいえ相手は女。アルバートは扉越しに伺いを立てた。
『えっ?』
声が若干上ずった。声質に違和感。
『あー……今はちょっと、その』
「その?」
『わたし、えーと、今、全裸なの!』
隣に控えていた侍女がむせた。それもそうだ。王女の言うセリフではない。一体全裸で何をしているのか。
『とにかく今は手が離せないの。あと十二刻ほど待ってくださらない?』
「丸一日だろうが!」
『ダメかしら』
「良いわけがあるか!」
いい加減怒鳴ると、向こう側が一瞬静かになる。アルバートが怪訝な顔をして立ちつくしていると、扉が内側から開く。出てきたのは見慣れた顔だった。五十近いのに若々しい貴婦人。実母のエヴァンジェリンである。
「母上!?」
「ご機嫌よう、かわいいアル」
エヴァンジェリンは優雅な笑みを浮かべると、どうぞお入りなさいと、アルバートを部屋の中に導いた。
「その呼び方はおやめいただきたい」
「あら残念」
息子に眉根を寄せられても、エヴァンジェリンは優雅な笑みを崩さない。アルバートはため息を堪えて部屋の中に踏み込む。
妹はいない。代わりに、質素なドレスを纏った少女が机の前に立っていた。ヴィクトリアには遠く及ばないが、美少女と言ってよいだろう。癖の強いストロベリーブロンドにぽってりとした唇、大きめの尻と、とっても豊かな胸元。いかにも男好きのしそうな容姿だ。貴族にはあまり見かけないタイプでもある。
「ミリーと申します。この度、ヴィクトリア殿下の影としてこちらに参りました」
ミリーはドレスの裾を摘まんで、優雅に一礼して見せた。堂に入った所作を、エヴァンジェリンが満足げに見ている。おそらく、直々にこうした王女らしい礼法を教え込んだのだろう。
「影――? ヴィクトリアとは、似ても似つかんが」
アルバートが眉をひそめてミリーをしげしげと観察する。最終的にその視線は、胸元に行きついた。
「慣れておりますので、何というわけではありませんが――女性の体をそのように観察なさるのは不躾ではございませんでしょうか」
ミリーはやんわりと釘を刺した。アルバートは一瞬虚を突かれて目を瞬かせるが、すぐに我に返る。
「ああ、失礼。貴様、ミリーと言ったか。姓はなんと?」
「平民ですから、姓はございません。ミリーがたくさんおります際は《老婆のふんばり》亭のミリーとか、あそこの角を曲がった四軒先のミリーなどと呼ばれております」
これを聞いて、アルバートはエヴァンジェリンの顔を睨んだ。
「まあ、怖いお顔」
「まあ、ではありませんぞ、母上。ただの平民に王族の影が務まるわけがないでしょう」
「でしょうね」
アルバートの叱責に、エヴァンジェリンは扇で口元を覆い、ふふ、と付け加えた。
「だって、わたくしには影にするつもりがないもの」
「えっ」
驚いた声を上げたのはミリーだった。
「おい娘、なぜ貴様が驚いている」
「娘って……さきほどミリーと名乗ったじゃ……ではありませんか」
娘呼ばわりに、ミリーがムッとして言い返す。
「胸はしっかりご覧になったくせに、聞いていらっしゃらなかったの?」
「なっ。それでは僕が色呆けのようだろう!」
「あら、他に殿方が胸を眺める理由があったら教えていただきたいわ。お腹でも空いたのかしら」
「貴様……」
額に青筋を走らせたアルバートに頓着せず、ミリーは部屋の外にいる侍女に声をかける。
「お茶の用意をお願いできるかしら?」
はい、ただいま、とドアの向こう側から返事。
「お腹が空いていると、気が短くなって良くないわ」
言いながら、ミリーは平然と着席する。商売柄怒鳴られるのは珍しいことではないし、修羅場も潜っている。元々肝は太い方だ。この程度で動じるタマではない。
あっさり手玉に取られている息子の顔を見て、エヴァンジェリンは、扇で隠した口元の笑みを、より深くするのだった。
* * *
夕刻。王城のテラス。この季節特有の乾いた風が、アンリエッタの銀髪をくすぐっていく。吐いた息は鉛を含んでいるかのように重苦しいのに、あっという間に空の向こうに攫われていく。大気の巡りはどこまでもめまぐるしく、立ち止まっている暇もない。
王都を訪れてからの自分と同じだ。状況はめまぐるしく動き、正司祭メリッサの護衛と監視という本来の務めを果たせているとは言えないだろう。
アンリエッタはここ最近、ずっと悩んでいた。
教会に仕える聖騎士としての任を満足に果たせていないこともそうだが、王女ヴィクトリアの窮地を救ったこともあって、近衛への入隊を打診されていることもアンリエッタを悩ませていた。
(名誉なことではあるのだが)
近衛に入れば、メリッサには他の聖騎士が付くことになるだろう。それが、どうにも心配だった。
分厚い眼鏡をかけた若い女性司祭は、常はへらへらと緊張感がないお人よしなのだけれど、時々ひどく険しい顔をするのだ。何か悩んでいるのではないかと尋ねたことはあれど、曖昧に言葉を濁されるばかり。それなりに付き合いは長いのだが、何が彼女をそこまで必死にさせるのか、アンリエッタは今に至るまで何も聞き出すことができなかった。それどころか――
(わたしは、メリッサのことを何も知らない)
彼女がどこで生まれ、なぜベネトナシュ修道院に入ったのか。アンリエッタは、メリッサのことを友人だと思って接してきた。無論、気の置けない友人であっても、話せないことの一つや二つはあるだろう。とはいえ、少しばかり寂しく思うのが、人情というものではないか。
アンリエッタは城下町を見下ろす。メリッサは出かけているが、護衛をしてほしいとは言ってこなかった。融通の利かない自分には見せられない、暗躍めいたことをしているのだろう。
「君にそういうのは向いていないと思うんだがな……」
言っても聞きやしないのだろうけれど。
そんなことを考えていると、背後に人の気配を感じた。敵意はない。アンリエッタはゆっくりと振り返る。
双頭の魚をあしらった板金鎧の大男。聖騎士団長ホーマーだ。かつては保守派としてクレメント司教の片棒を担いでいたような男だが、爽悟に引きずりまわされたせいか、ここ最近はすっかり丸くなっている。王城に呼び出された爽悟に代わって、城下に蔓延る人身売買の調査をしていたはずだが、こうして姿を現したということは、何かはっきりしたことが分かったのだろうか。
アンリエッタは騎士風の敬礼をしてみせる。ホーマーも同じく軽い敬礼を返した。
「アンリエッタ卿。近衛の打診を受けているそうだな――それにしては浮かない顔だが」
「私には本来聖騎士の任がありますので」
「シスター・メリッサのお守りか」
ふむ、と鼻を鳴らして、ホーマーはアンリエッタの隣へ並び立つ。
「人身売買の件だが、やはりクレメント司教が深く関わっていた。次の司教の着任までは揉めるだろうな。当面は空位となるやもしれん。王家も口を挟んでくるであろうし《悪魔》憑きの尻ぬぐいを進んでやりたがる者もおるまい」
「でしょうね。せめて王都の治安が少しでも向上すれば良いのですが」
「……どうだろうな。自警団の機能はマヒしているし、国王陛下の采配次第だろう」
そこまで言ってホーマーは明後日の方を向くと、ついでのように付け加える。
「あの黒髪の小僧へは、貴殿から伝えておいてくれ」
アンリエッタの反応を待たずに、ホーマーは言葉を続ける。頑固親父としか例えようのないホーマーの言動に、アンリエッタは思わず頬を緩めた。
「ご自分で伝えれば良いでしょうに」
「器量は認めるが、あの小童はどうも鼻持ちならん――私も立場上、これ以上あれに関わるわけにはいかなくなった」
「――? それはどういう」
アンリエッタの問いに、ホーマーは小さく空咳をする。
「教皇庁から辞令が来た。今後は教皇庁に直接勤めるようにと」
ホーマーの低い声を聞いて、アンリエッタは思わずその表情を確かめた。教皇庁――アルティス聖教会の本拠へ勤めるとなれば、聖騎士にとってはこれ以上ない栄誉で、本来ならば喜ぶべきことである。しかし、ホーマーからは、そのような様子が微塵も感じられないのだ。
「私にはもう、何が正しいか分からん。教会で地位を高めたところで、それが何になると言うのだ」
アンリエッタは、城下町をもう一度見下ろした。鎮守の森に囲まれた藤山春日神社は、これだけ遠目に見ても、やはり異質だ。正しいものとはなんだろう。あそこにいる異世界人の少年は、迷わず正しいと思うものを選び取っている。少なくとも、アンリエッタにはそのように見えた。
「……ソーゴ殿なら、己が心根に従え、と言うところでしょう」
押しつけられた価値観ではなく、生まれ持った良心の赴くままに。
「ホーマー卿も、そのようになさればいい」
わたしも、そのようにします。
アンリエッタは、胸中でそう付け加える。
「己が心根に従え、か」
ホーマー卿は、小さく鼻を鳴らす。その表情は、存外楽しげだった。
「アンリエッタ卿、私の下につく気はないか」
静かに告げられた言葉に、アンリエッタは目を見開いた。仮にも保守派のホーマーが、改革派の自分にそのような誘いをかけるとは、思ってもみなかった。
「いえ――」
アンリエッタは首を横に振る。
「私には任がありますので」
「そうか……残念だ」
息災でな、と言い残すと、ホーマーは踵を返し、その場を立ち去っていった。人身売買についての調査は、国王の勅命だ。これから報告に行くのだろう。関わっていたのは司教だけのはずがないから、城はまた大きな騒ぎに包まれるに違いない。
(わたしは、また何もできんのだろうな)
アンリエッタはまたため息をつき、くすんだ茜色の空を見上げる。一陣の風が巻き上がる。上空に、一頭の天馬。
馬上には、見慣れた青年の横顔。
「みんな、行ってしまうのか」
取り残されていく自分が、アンリエッタはみじめで仕方ない。
どうか、振り返ってくれるなよ。そればかり考えていた。
* * *
ジェイルは、馬上の人として天空を駆けていた。浄化された《悪魔》、かつてレヴィアタンと呼ばれていた『彼』を受け入れて以降、体がまるで冗談のように軽い。だが、それも人外の存在と一つになった影響だろうと思うと、素直に喜べなかった。しかもこの『蛇』は、何が楽しいのか頻繁にジェイルに話しかけてくるのだ。兄そっくりの声と口調で。それがさほど嫌でもないのが、なおのこと不愉快である。
『アンリエッタに会わなくて良かったのかい? あの子、君に気があるだろう』
(は?)
蛇の思わぬ言葉に、ジェイルは心中で間抜けな声を出していた。
『君は存外鈍いよねえ』
(うるさいよ)
『自分の気持ちにも鈍い。会おうと思えば会えたのに、なんで避けたんだい』
(お前には関係ないだろうが)
『関係あるさ。僕はもう、君の一部だからね』
(はあ……うるせえ奴だな。《強欲》の方を見習えよ)
『あれとは性質が違いすぎる。比較にならないよ。それに僕の性格は、君の兄さんを元にしてるんだ。かわいい弟におしゃべりしたくなるのは当然だろ?』
(でなきゃぶっ殺してる)
『僕らは死なないよ』
(ああ言えばこう言う)
『そうだ。ああ言うから、こう言う。君が答えなきゃいい』
蛇の屁理屈に、ジェイルは深いため息をついた。
(はあ、なんでお前みたいなのを受け入れたんだかな)
『ホントだよ。親の仇じゃないか』
(まあな……)
自分に纏わりつく蛇の気配に、嫌悪を覚えなかったと言えば嘘になる。だが、そこには兄の残滓もまた、確かに存在した。
何より――人外の知恵と力を借り受けることができるとあれば、自分の力不足を自覚しているジェイルには、拒否する理由がなかったのだ。
(でも、俺は力が欲しかった)
『君のおつむじゃ、領地再建どころか運営も無理だろうからねえ』
(否定はしないが、極めて遺憾だ)
『まあ、うまくいくさ。僕が力を貸すんだし、《強欲》のあいつもこっち側だ。それより分かってるよね? 故郷で僕を祭ってくれるって約束、忘れないでおくれよ?』
(忘れちゃいないさ。ソーゴたちと話して、約束抜きにしてもそうした方が良いって思ったよ)
誰の心にも、蛇は住んでいる。醜い心に囚われないよう、戒めを忘れてはならない。
『――過去を振り切って、未来だけを見つめる姿はまぶしいね。セロンが恋焦がれたのも、分かる気がするよ』
違う。振り切るしかなかったのだ。悔やんでも、惜しんでも、過去は変えられない。全て終わった話だ。けれど、続いていく物語もある。今のジェイルには、両親から、そして兄から託されたものがある。
ジェイルは、去っていく街を見下ろした。藤山春日神社。最後に言葉をかわすことができなかった黒髪の少年は、今あそこで何をしているのか。
ぽつ、ぽつ、と明りが灯る。いやに数が多いな、と思った。不審に思い、人外の力で視覚を拡大する。眼下では歪な提灯をぶら下げた人々がこちらを見上げ手を振っていた。ジェイルがいると知っているのだろうか。知らずに物珍しいものが空を飛んでいるからそうしているのかもしれない。
その人々の中に、あの黒髪の少年がいた。
少年は、何事かを口の中で呟く。
唇の動きで内容を読み取ったジェイルは、ふと微笑むと、天馬のたてがみを撫でてやる。
それから、まっすぐに前を見つめた。もう振り返ることも、振り返る必要もない。
絵馬に残したメッセージの内容は、二人だけが分かっていれば良いことだ。
間章一 神と人と
仮の宿として急遽押さえたアパートの一室で、藤重梓馬は一人の女と向かい合って座っていた。
神社の業務というのは、周辺に暮らす氏子ありきで成立する。密接すぎるご近所付き合いは煩わしいこともあるが、こんなときばかりは感謝せざるを得ない。この部屋も、その氏子の善意で提供されているものだった。とても不思議なことに「神社がなくなった」という突拍子もない事実を皆、「まれによくあること」として平然と受け入れ「大変だねえ」とこの部屋を使うように促されたのである。大雑把・オブ・ザ・イヤーに幾度となく輝いた梓馬も、なぜ『神社が一夜にして消失し更地になった』のか考えるのは面倒だったので、何がどうなってそうなったのかは分からないが、まあ良いか――と今はすんなり状況を受け入れている。
それよりも梓馬の関心は目の前に座る女性にあった。この女性のことを梓馬はよく知っている。兄の妻、爽悟の母である藤重皐月。
故人となった女性だ。
何かの詐欺かとは思わなかった。記憶の中の皐月は、並ぶ者がないほど美しい女性だった。目の前に座す女の容姿は、それにまったく劣るものではなく、初めて出会った少女時代のままだった。
仮に、かつて梓馬が抱いていた恋慕の情を知る者が、下心あって近づいたとして、こんな二十歳になるかならぬかの若い女を寄越すだろうか? 三人も子どもを生み、生きていれば四十近い女性を名乗って不審がられないはずがない。それに彼女は、ただ伝えることがあると言うだけで、特に何かを要求することもない。
あと、今の梓馬は暇を持て余していた。
「梓馬くんは、変わらないね」
「いやあ、随分老けたけど」
にこにこと微笑む皐月の言葉に、梓馬は謙遜してみせる。梓馬は年の割にはかなり若々しかった。三十路の大台はとうに過ぎているけれど、二十代と間違われることもある。青年と言えるほど若くもないが、中年と言えるほど老けてもいない。ただ、そういう年頃になると、日常のそこかしこで衰えを感じるようになるのだ。
「それで義姉さん、話したいことっていうのは?」
「わたしはキミの義姉さんじゃないよ」
冷たいとも言える言葉を、皐月はさらりと口にする。悪意はなく、事実を述べているだけなのだろう。息子たちと瓜二つの綺麗な笑顔は少しも崩れていない。
「キミの中でもっとも貴いモノ、神らしいモノの形を借りて顕れてるだけ。本来のわたしに姿かたちはなく、人間――というか、この世界に暮らす生命体に認識し得るモノではないんだよね」
「なるほど。確かに義姉はそういう小難しいことは言わない」
「分かってくれて嬉しい。梓馬くんはやっぱり賢い子だね! じゃあ、本題に入ってもいいかな?」
梓馬は頷いて、温い茶を啜る。皐月は「そこはいいともー! って答えるところでしょ!」と不満げだったが、そのまま話しはじめる。
「神社がなくなって、とってもびっくりしてると思う。佐保も多分びっくりしてるよねー」
「そりゃあな」
「というわけで、神様のわたしが、特別サービス! いつも頑張ってくれてる宮司くんに、直々にご説明しちゃうね!」
「はあ」
としか、言えない。皐月は気にせず、どこからともなくフリップを取り出し、ちゃぶ台に立てた。
「まずこの図をご覧ください。現代科学にどっぷりつかった不信心なキミたちには信じられないかもしれないけど、この世界はくっきり二つに分かれています」
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