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第二章 夢と魔法の国
30.これからすべきこと
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原作では、リリーとお母様がマリーア憎しの負の感情から魔物を呼び込み、更にリリーは呪いにまで手を出そうとした。
何度も繰り返すが、私はそんなことをするつもりは毛頭ない。
家族のことは大好きだし、殿下にしてもかなり原作から離れている。妖精さんの件も、もっとさらっとしていたはず。
……それに何より、今、ここは現実だって、改めて再認識した。うん、大丈夫。私たちの動き次第で、きっと幾らでもいい方向に進める。よし、絶対できる気がしてきたぞ!
「よおーし!大丈夫、大丈夫!私はできる!!魔法の特訓も頑張って、お姉さま!皆さま!わたくしたちで愛をいっぱい配りましょう!」
気持ちの高ぶりのまま、ガッツポーズをして宣言する。
……まあ、みんなはポカンとするわよね。私が勝手に脳内検証したのだから。またやっちゃった。そして今さらだけれども、陛下たちがいるのにいろいろありすぎて、ちょいちょい地が出てる。
「あ、の……すみません、また一人で盛り上がって……」
『ふっ、ははははは!やはりリリアンナは楽しいな!そうだ、それで良いのだ。皆で慈愛を、信仰を広めておくれ』
みんながお互いの顔を見ながら、笑顔で頷き合う。
そしてシルフ様はおもむろに私をひょいっと抱き上げた。腕に座らされる形なので、急に顔が近い。うわあ、近くで見ても綺麗なご尊顔。
『お褒めいただき光栄だ』
「それ、もう止める気ないですね?」
やはり一向に読心を止めないシルフ様に、むうっ、と顔を膨らませて抗議をする。どうせ響かないだろうけど。
『そんなことはないぞ。ただどうしてもリリアンナがかわいらしくてな』
「もう、そんなので誤魔化されな……」
と、反論している途中で、シルフ様は私の額にそっとキスをした。
「?!?!」
慌てて顔を離しても、シルフ様の腕にがっちり抑えられているのであまり距離は取れず。おデコを押さえて真っ赤になるしかない私。こちらの世界の常識もかなり身に付いているので、なかなか恥ずかしい。
当のシルフ様は楽しそうにクスクス笑うばかりだ。
『うん、やはりかわいいな』
そ、そんな甘い顔するのは止めて~!シルフ様、ロリ?ロリなの?
『違うわ、失礼な。でもそうさな、我等はあまり身体の年齢の概念は気にせぬな。リリアンナの魂年齢は高かろう?』
ぎく。
「それは、」
「失礼、シルフ様。そろそろ娘をお返しいただいても?」
「精霊の世界は存じませんが、こちらでは女性に勝手に触れるのはマナー違反です」
一連の流れに固まっていたお父様と殿下が再始動し、笑顔でシルフ様に圧をける。後ろに黒いものがコゴゴと見えそうだ。言ってる傍から黒いオーラを出したらダメでしょ!
『ふふ、それは失礼した。リリアンナにはわたしの加護も与えたからの。そうそうにケガなどはしなかろうて』
シルフ様はそう言いながら、私をそっと地面に着地させる。「むう、ご加護……しかし……」と、二人はぶつぶつ言っている。
『さて、長居をし過ぎたな。そろそろお暇しよう。……そうそう、リリアンナ。何かあったらリリスを通じてわたしを呼ぶがよい』
「は、はい。ありがとうございます」
うお、精霊様を呼び出せるとか。何だかすごいことになってきたな。
『……そうそう、リリアンナ』
「はい?」
シルフ様は腰を屈めて、私の耳元に綺麗なご尊顔を近づけて囁く。
『我等には基本的に性別はないが……。人間と添い遂げるなら、どちらの性にもなれる』
「えっ、それは素敵。ちょっと羨ましい」
私の反応にシルフ様は一瞬目を見開いて、そして蕩けるような微笑みをする。破壊力が半端ない。
クラっとしかけたが、そこでまた気づく。
「もう、ずっと読んでましたね?!」
シルフ様は悪びれもせず、甘やかな顔をしているだけだ。
まったくもーう!
『本当にこれきりだ。リリアンナに嫌われたくはないからの。そして……私は男性性を取るとしよう』
「えっ?それは……」
『ではな、皆の者。また会おうぞ』
シルフ様はそう言って、今度は私の頬にチュッとしてさらりと消え去った。
「~~~!」
ゆでダコの私と、「「あー!!」」と叫ぶ二人と、苦笑する三人(一人ちょっと腹黒い微笑みだけど)を残して。
『きゃ~!きゃ~!!リリー、モテモテなの~!』
リリスを筆頭に、花の妖精さんたちがキラキラ飛んでいる。や~め~て~!慣れてないから、テンパってしまう。
いやいや、こんな流れなんてあった?
そりゃ、現実だからいろいろ変わると認識したけども。
「リリーの可愛らしさは世界一だもの、仕方ないわ」
出た、マリーアのシスコン!身内の贔屓目が甚だしいわ~!
殿下も渋々「むう……」って頷いてるし。
恥ずかしいから、脳内転換!
これから先のやることも見えて来たし、良しとしよう!
─────────────────────────
第二部終了です!ここまでお付き合い、ありがとうございます。
昨日から発熱……また流行り風邪だろうか。皆さまもご自愛くださいませ。少しお時間をいただきますが、第三部もお付き合いくださると嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
何度も繰り返すが、私はそんなことをするつもりは毛頭ない。
家族のことは大好きだし、殿下にしてもかなり原作から離れている。妖精さんの件も、もっとさらっとしていたはず。
……それに何より、今、ここは現実だって、改めて再認識した。うん、大丈夫。私たちの動き次第で、きっと幾らでもいい方向に進める。よし、絶対できる気がしてきたぞ!
「よおーし!大丈夫、大丈夫!私はできる!!魔法の特訓も頑張って、お姉さま!皆さま!わたくしたちで愛をいっぱい配りましょう!」
気持ちの高ぶりのまま、ガッツポーズをして宣言する。
……まあ、みんなはポカンとするわよね。私が勝手に脳内検証したのだから。またやっちゃった。そして今さらだけれども、陛下たちがいるのにいろいろありすぎて、ちょいちょい地が出てる。
「あ、の……すみません、また一人で盛り上がって……」
『ふっ、ははははは!やはりリリアンナは楽しいな!そうだ、それで良いのだ。皆で慈愛を、信仰を広めておくれ』
みんながお互いの顔を見ながら、笑顔で頷き合う。
そしてシルフ様はおもむろに私をひょいっと抱き上げた。腕に座らされる形なので、急に顔が近い。うわあ、近くで見ても綺麗なご尊顔。
『お褒めいただき光栄だ』
「それ、もう止める気ないですね?」
やはり一向に読心を止めないシルフ様に、むうっ、と顔を膨らませて抗議をする。どうせ響かないだろうけど。
『そんなことはないぞ。ただどうしてもリリアンナがかわいらしくてな』
「もう、そんなので誤魔化されな……」
と、反論している途中で、シルフ様は私の額にそっとキスをした。
「?!?!」
慌てて顔を離しても、シルフ様の腕にがっちり抑えられているのであまり距離は取れず。おデコを押さえて真っ赤になるしかない私。こちらの世界の常識もかなり身に付いているので、なかなか恥ずかしい。
当のシルフ様は楽しそうにクスクス笑うばかりだ。
『うん、やはりかわいいな』
そ、そんな甘い顔するのは止めて~!シルフ様、ロリ?ロリなの?
『違うわ、失礼な。でもそうさな、我等はあまり身体の年齢の概念は気にせぬな。リリアンナの魂年齢は高かろう?』
ぎく。
「それは、」
「失礼、シルフ様。そろそろ娘をお返しいただいても?」
「精霊の世界は存じませんが、こちらでは女性に勝手に触れるのはマナー違反です」
一連の流れに固まっていたお父様と殿下が再始動し、笑顔でシルフ様に圧をける。後ろに黒いものがコゴゴと見えそうだ。言ってる傍から黒いオーラを出したらダメでしょ!
『ふふ、それは失礼した。リリアンナにはわたしの加護も与えたからの。そうそうにケガなどはしなかろうて』
シルフ様はそう言いながら、私をそっと地面に着地させる。「むう、ご加護……しかし……」と、二人はぶつぶつ言っている。
『さて、長居をし過ぎたな。そろそろお暇しよう。……そうそう、リリアンナ。何かあったらリリスを通じてわたしを呼ぶがよい』
「は、はい。ありがとうございます」
うお、精霊様を呼び出せるとか。何だかすごいことになってきたな。
『……そうそう、リリアンナ』
「はい?」
シルフ様は腰を屈めて、私の耳元に綺麗なご尊顔を近づけて囁く。
『我等には基本的に性別はないが……。人間と添い遂げるなら、どちらの性にもなれる』
「えっ、それは素敵。ちょっと羨ましい」
私の反応にシルフ様は一瞬目を見開いて、そして蕩けるような微笑みをする。破壊力が半端ない。
クラっとしかけたが、そこでまた気づく。
「もう、ずっと読んでましたね?!」
シルフ様は悪びれもせず、甘やかな顔をしているだけだ。
まったくもーう!
『本当にこれきりだ。リリアンナに嫌われたくはないからの。そして……私は男性性を取るとしよう』
「えっ?それは……」
『ではな、皆の者。また会おうぞ』
シルフ様はそう言って、今度は私の頬にチュッとしてさらりと消え去った。
「~~~!」
ゆでダコの私と、「「あー!!」」と叫ぶ二人と、苦笑する三人(一人ちょっと腹黒い微笑みだけど)を残して。
『きゃ~!きゃ~!!リリー、モテモテなの~!』
リリスを筆頭に、花の妖精さんたちがキラキラ飛んでいる。や~め~て~!慣れてないから、テンパってしまう。
いやいや、こんな流れなんてあった?
そりゃ、現実だからいろいろ変わると認識したけども。
「リリーの可愛らしさは世界一だもの、仕方ないわ」
出た、マリーアのシスコン!身内の贔屓目が甚だしいわ~!
殿下も渋々「むう……」って頷いてるし。
恥ずかしいから、脳内転換!
これから先のやることも見えて来たし、良しとしよう!
─────────────────────────
第二部終了です!ここまでお付き合い、ありがとうございます。
昨日から発熱……また流行り風邪だろうか。皆さまもご自愛くださいませ。少しお時間をいただきますが、第三部もお付き合いくださると嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
応援ありがとうございます!
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