25 / 92
24.パジャマパーティー開催、の前に
しおりを挟む
晩餐のお開きの後、ローズと私は湯浴みをし、かわいいネグリジェにお着替えし、やはりとても広くて綺麗なお部屋で、念願のパジャマパーティー待機中です。
「エマ、私もお茶を淹れるの、なかなか得意なのよ!淹れて来るから、待ってて!ニーナ、エマをよろしくね」
「はい、ローズお嬢様」
ニーナさんは、ローズの専属侍女だ。公爵家の侍女だが、ローズが正式に王太子妃になった後も、そのまま専属でいる事が決まっているようだ。
「エマお嬢様。僭越ながら、少しお話してもよろしいでしょうか?」
「はい」
うーん、年上の人に畏まられるのって、どうにも慣れないんだよな…
「ありがとうございます」
「はい?」
「ローズお嬢様の事です。あのようにお年頃のまま楽しそうにしておられるのを、ここ何年も見ることが叶いませんでしたので……とても嬉しいのです。きっと、エマお嬢様のお陰ですよね。私達にはなかなか出来ないことでしたので…本当に本当に嬉しくて……」
そうだ、ローズはきっと前世を、ゲームを思い出した5歳の時から、ずっとずっと気を張っていただろう。
信頼しているであろう、ニーナさんにも話すことも出来ずに。
ニーナさんのその表情は、慈愛の女神のようだ。姉のように母のように、そんなローズを支えてくれていたのだろう。この部屋まで歩きながら、ローズはニーナさんの話をしてくれていた。子どもの頃から尽くしてくれていると。
「ニーナさん……私の方こそ差し出がましいようですが、これからもローズを支えてあげてください。さっきローズ、言ってました『ニーナが居てくれたから、今までのいろいろなことを耐えられた』って」
「お嬢様が……エマお嬢様、ありがとうございます」
目に涙を浮かべて微笑むニーナさん。ちょっとしんみり…していましたが。
「あともうひとつございます、エマお嬢様。私達に敬称と丁寧語はいりません!ニーナ、とお呼びください」
涙を拭いて、キリッと優秀な侍女に戻るニーナさ…ニーナ。
「え、え~、どうしても慣れなくてですね…」
「慣れて下さい」
わーん、厳しい笑顔!さっきまで女神様みたいだったのにー!
「ハイ…ガンバリマス」
「敬語……」
「ええ、分かったわ!」
これでいいですか?!もう、さすが侍女兼教育係!
「お待たせ!あら、ずいぶん打ち解けたみたいね?」
そうですね、打ち解けたと言うか何と言うか。
でも、彼女が居てくれるのは、ローズの友人としても心強い。
「ニーナはとても素敵な侍女ね!」
「ふふっ、いいでしょう?でも、さすがのエマにもニーナはあげられないわよ?」
「えー、残念!」
「ごめんね」
イタズラっぽく笑うローズ。ここにジークがいたら、きっと大変なことになっているだろう。
そしてそのローズの言葉を聞き、堪えきれなくなったニーナがポロポロと泣き出した。
「えっ、ちょっと、どうしたの、ニーナ?」
「申し訳ありません…情けない姿をお見せして…お嬢様にそう言っていただけるなんて……」
嬉しくて、と言うニーナの両手を包み込むローズ。
「当たり前じゃない。ずっとずっと、大切に見守ってくれていて、ありがとう。なかなか感謝を言えずにいて、ごめんなさい」
「そ、んな、勿体ない……」
「ううん、今までどれだけニーナに救われたか。これからもずっと側にいてね?」
「もちろんです!!」
「ありがとう」
そしてニーナは、ローズが淹れてくれたお茶を「私にも?」と恐縮しながらも幸せそうに持ち、部屋を出て行った。
「いいなあ、お嬢様と専属侍女の絆…憧れる…!」
「エマも付けてもらえばよかったのに」
そう、聖女認定された後、そんな話をいただいたのだが。
「うーん、どうせすぐに神殿入りだったし学園は寮だし、一人で出来るから固辞しちゃった。それに急に人が付いてもさあ」
「ああ、それはあるかもね。最初からだと慣れるけど」
「そうそう、憧れでいいの!」
ちなみに、正式な式典の時に一人で着られないようなものを着るときは、王宮から侍女さんが来てくれる。充分です。
「ローズのお茶も、美味しいわ」
「ありがと!さあ、念願のパジャマパーティーを始めるわよー!」
「エマ、私もお茶を淹れるの、なかなか得意なのよ!淹れて来るから、待ってて!ニーナ、エマをよろしくね」
「はい、ローズお嬢様」
ニーナさんは、ローズの専属侍女だ。公爵家の侍女だが、ローズが正式に王太子妃になった後も、そのまま専属でいる事が決まっているようだ。
「エマお嬢様。僭越ながら、少しお話してもよろしいでしょうか?」
「はい」
うーん、年上の人に畏まられるのって、どうにも慣れないんだよな…
「ありがとうございます」
「はい?」
「ローズお嬢様の事です。あのようにお年頃のまま楽しそうにしておられるのを、ここ何年も見ることが叶いませんでしたので……とても嬉しいのです。きっと、エマお嬢様のお陰ですよね。私達にはなかなか出来ないことでしたので…本当に本当に嬉しくて……」
そうだ、ローズはきっと前世を、ゲームを思い出した5歳の時から、ずっとずっと気を張っていただろう。
信頼しているであろう、ニーナさんにも話すことも出来ずに。
ニーナさんのその表情は、慈愛の女神のようだ。姉のように母のように、そんなローズを支えてくれていたのだろう。この部屋まで歩きながら、ローズはニーナさんの話をしてくれていた。子どもの頃から尽くしてくれていると。
「ニーナさん……私の方こそ差し出がましいようですが、これからもローズを支えてあげてください。さっきローズ、言ってました『ニーナが居てくれたから、今までのいろいろなことを耐えられた』って」
「お嬢様が……エマお嬢様、ありがとうございます」
目に涙を浮かべて微笑むニーナさん。ちょっとしんみり…していましたが。
「あともうひとつございます、エマお嬢様。私達に敬称と丁寧語はいりません!ニーナ、とお呼びください」
涙を拭いて、キリッと優秀な侍女に戻るニーナさ…ニーナ。
「え、え~、どうしても慣れなくてですね…」
「慣れて下さい」
わーん、厳しい笑顔!さっきまで女神様みたいだったのにー!
「ハイ…ガンバリマス」
「敬語……」
「ええ、分かったわ!」
これでいいですか?!もう、さすが侍女兼教育係!
「お待たせ!あら、ずいぶん打ち解けたみたいね?」
そうですね、打ち解けたと言うか何と言うか。
でも、彼女が居てくれるのは、ローズの友人としても心強い。
「ニーナはとても素敵な侍女ね!」
「ふふっ、いいでしょう?でも、さすがのエマにもニーナはあげられないわよ?」
「えー、残念!」
「ごめんね」
イタズラっぽく笑うローズ。ここにジークがいたら、きっと大変なことになっているだろう。
そしてそのローズの言葉を聞き、堪えきれなくなったニーナがポロポロと泣き出した。
「えっ、ちょっと、どうしたの、ニーナ?」
「申し訳ありません…情けない姿をお見せして…お嬢様にそう言っていただけるなんて……」
嬉しくて、と言うニーナの両手を包み込むローズ。
「当たり前じゃない。ずっとずっと、大切に見守ってくれていて、ありがとう。なかなか感謝を言えずにいて、ごめんなさい」
「そ、んな、勿体ない……」
「ううん、今までどれだけニーナに救われたか。これからもずっと側にいてね?」
「もちろんです!!」
「ありがとう」
そしてニーナは、ローズが淹れてくれたお茶を「私にも?」と恐縮しながらも幸せそうに持ち、部屋を出て行った。
「いいなあ、お嬢様と専属侍女の絆…憧れる…!」
「エマも付けてもらえばよかったのに」
そう、聖女認定された後、そんな話をいただいたのだが。
「うーん、どうせすぐに神殿入りだったし学園は寮だし、一人で出来るから固辞しちゃった。それに急に人が付いてもさあ」
「ああ、それはあるかもね。最初からだと慣れるけど」
「そうそう、憧れでいいの!」
ちなみに、正式な式典の時に一人で着られないようなものを着るときは、王宮から侍女さんが来てくれる。充分です。
「ローズのお茶も、美味しいわ」
「ありがと!さあ、念願のパジャマパーティーを始めるわよー!」
0
あなたにおすすめの小説
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
【12月末日公開終了】これは裏切りですか?
たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。
だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。
そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?
ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~
紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。
毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません
嘉月
恋愛
隣国の貴族令嬢である主人公は交換留学生としてやってきた学園でイケメン達と恋に落ちていく。
人気の乙女ゲーム「秘密のエルドラド」のメイン攻略キャラは王立学園の生徒会長にして王弟、氷の殿下こと、クライブ・フォン・ガウンデール。
転生したのはそのゲームの世界なのに……私はモブですらないらしい。
せめて学園の生徒1くらいにはなりたかったけど、どうしようもないので地に足つけてしっかり生きていくつもりです。
少しだけ改題しました。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。
我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。
たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。
しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。
そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。
ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。
というか、甘やかされてません?
これって、どういうことでしょう?
※後日談は激甘です。
激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。
※小説家になろう様にも公開させて頂いております。
ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。
タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~
【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~
魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。
ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!
そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!?
「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」
初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。
でもなんだか様子がおかしくて……?
不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。
※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます
※他サイトでも公開しています。
婚約破棄歴八年、すっかり飲んだくれになった私をシスコン義弟が宰相に成り上がって迎えにきた
鳥羽ミワ
恋愛
ロゼ=ローラン、二十四歳。十六歳の頃に最初の婚約が破棄されて以来、数えるのも馬鹿馬鹿しいくらいの婚約破棄を経験している。
幸い両親であるローラン伯爵夫妻はありあまる愛情でロゼを受け入れてくれているし、お酒はおいしいけれど、このままではかわいい義弟のエドガーの婚姻に支障が出てしまうかもしれない。彼はもう二十を過ぎているのに、いまだ縁談のひとつも来ていないのだ。
焦ったロゼはどこでもいいから嫁ごうとするものの、行く先々にエドガーが現れる。
このままでは義弟が姉離れできないと強い危機感を覚えるロゼに、男として迫るエドガー。気づかないロゼ。構わず迫るエドガー。
エドガーはありとあらゆるギリギリ世間の許容範囲(の外)の方法で外堀を埋めていく。
「パーティーのパートナーは俺だけだよ。俺以外の男の手を取るなんて許さない」
「お茶会に行くんだったら、ロゼはこのドレスを着てね。古いのは全部処分しておいたから」
「アクセサリー選びは任せて。俺の瞳の色だけで綺麗に飾ってあげるし、もちろん俺のネクタイもロゼの瞳の色だよ」
ちょっと抜けてる真面目酒カス令嬢が、シスコン義弟に溺愛される話。
※この話はカクヨム様、アルファポリス様、エブリスタ様にも掲載されています。
※レーティングをつけるほどではないと判断しましたが、作中性的ないやがらせ、暴行の描写、ないしはそれらを想起させる描写があります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる