陰幽霊光─いんゆうれいこう─

Natsu

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エピローグ

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 俺がひと夏の思い出を話し終えると、小泉さんは真剣な表情でこっちを見つめていた。

「……そっか」

 小泉さんは一言、まずはそうつぶやいた。
 これから、きっと素晴らしい読書感想文がその口から聞けるのだろう。

「ね、ねえ、もしかして、そのテレサさんのこと好きだったりしたの?」

「……は?」

 すごい前のめりになった姿勢の小泉さんのお口から飛び出てきた質問に、俺からは間の抜けた言葉が漏れた。

 いや、なにその質問。予想外すぎる。
 もっとこう、本を読んだあとの感想文ってそういう一文からは始まらないような気がするのですが。

「……やっぱり好きなの?」

「ち、違う、俺が好きなのは……」

 言うのか、俺。
 今ここで。

「……キミだよ」

 うぎゃー、恥ずかしい!

 なに、なんですかこの流れ。
 今までテレサとの出会いとか変化をさんざん話してたのに、その結果なんで愛の告白再確認みたいな流れが生まれてるんですか。

「ふふふ」

 でも小泉さんは上機嫌に笑っていた。
 これが乙女心か。俺はちょっと詳しくなったんだ。

「それで、スマホのニュースを見ていたのはどうして?」

 ああ、そういえばそれがきっかけだったな。

「くだらないけど、たぶんこのニュースはあいつの仕業かなって」

 2人で画面を見てみる。
 そこに映っていた記事は、日本とは違う国での出来事。

【怪奇、自由の女神の頭に日本語のラクガキが発見される。いえーい、親友元気にやってるかい? の意味はいったい。そもそもどうやって書いたのか。幽霊や宇宙人説あり】

 俺と小泉さんは顔を見合わせた。

「これそうなの?」

「どうかな。たぶんそうかなって」

 いや、不思議と確信してるんだけどね。

 俺は元気だよ。
 お前も元気そうでなによりだ。

 ただ世界七不思議を作ったりするのはできるだけ控えとけよ。
 いや、あいつの旅はまだまだ長そうだし、七つの不思議で終わる程度ならむしろ可愛いものか。

 俺は俺でぼちぼちやってるよ。
 少なくとも、いつかお前が日本に戻ってきたとき、すぐに俺を見つけられるぐらいには有名になってやろうじゃねえか。

「さて、息抜きは終わりだ。勉強を続けよう」

 俺がそう言うと、小泉さんはうなずいた。

 ──ああ、そうそう。

 あなたは幽霊を信じますか?

 こう聞かれたらおおざっぱにわけて半数の人間はイエスと答え、半数の人間はノーと答えることだろう。

 俺? 俺はもちろん──イエスと答えるさ。


 ──THE END──
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