私と異国からきた水神さま

かず斉入道

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第42話 喧嘩した娘が(2)

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 私達の様子を呆然としながら見ていたイオナ君なのだが、幸ちゃんに声をかけられて我に返り言葉を返すと。

「お前等やめろって、俺も教室へと今すぐ帰るからお互い言い争いをするのはやめろ……。なぁ、頼むよ……」

 イオナ君は私達と自分のクラスの娘達へと争うのは辞めてくれと嘆願をしてきた。

 だから私達はお互い、睨み合いとファイティングポーズをとる行為をやめる。

 その様子を見たイオナ君と幸ちゃんの二人はホッ! と安堵した表情をする。



《ポン!》

「美月またなぁ」

 私の後方にいたイオナ君はすれ違いざまに、背中を軽く叩いてこの場を去ろうとするから。

「もう」と私が牛さんになれば。

「あっ、ははは」

 イオナ君は高笑いをしながら階段を昇り始めるから。彼をお迎えにきた娘達が私のことをまた睨み始めるので。私も彼女達をまた睨み返す。

「……あれ? 祥子は今日も学校へと着ていないのか?」

 イオナ君は私とまた睨み合いを始めた娘達へと彼女達の友人は中学校へと来ていないのか? と尋ねるから。

 あれ、そう言えば? と私が思えば。

「美月ちゃんと喧嘩した翔子ちゃんの姿が無いね?」

 アスワンちゃんが私達の方を見詰めながら小声で告げてきた。

「言われてみたらそうだね」

 アスワンちゃんの言葉に芽衣ヤーイーちゃんが反応する。

「うん、そうだね」
「確かに」
「……風でもひいたのかな?」

 私が紗枝ちゃんと幸ちゃんの頷きに続いて言葉を告げると。イオナ君の背を見ながら三人の様子を伺う。




「イオ、翔子はやっぱり未だに一昨日から帰っていないんだって」
「マジか?」
「うん、そうみたいだ、よ。翔子のママが言っていたから」
「そうか」
「うん」
「心配だね」
「そうだな」
「帰ると良いね」
「うん」

 イオナ君達の会話……。彼が頷く様子を見て私は『あの』と声をかけようと試みると、

「イオナ?」

 芽衣メイちゃんが顔色を変えながら会話をしている三人へと後ろから声をかけた。

「……ん? どうしたんだ?」
「祥子ちゃんだっけぇ、何か遭ったの?」

 後ろを振り返ったイオナ君に芽衣メイちゃんが尋ねると、

「一昨日からうちらのツレが自宅に帰ってないらしくて、皆で心配をしているの」
「そうなんだ」
「うん」
「祥子ちゃんは家出?」

 芽衣メイちゃんと向こうの娘との会話にアスワンちゃんが割って入る。

「うぅん、多分家出ではないと思う? 祥子のお母さんも別に喧嘩等していないって言っていたから、家出ではないとは思うけれど?」
「そうなんだ?」
「うん」

 祥子ちゃんの友人が悲痛な顔で頷いた。

 そんな彼女ともう一人の娘の様子を見れば、先ほどお互いが憎悪を含んで睨みあっていたことなどすっかりと忘れてしまい、
 私も喧嘩をした娘だけれど彼女の無事を心から願ってしまうぐらいだから、他の友人達も下を向き。

「「…………」」

 だけどアスワンちゃんは自分の顔を上げた。

「帰ると良いね」

 悲痛な表情ではあるのだが、二人に元気をだせと告げる。

「うん」
「そうだよね」

 二人はアスワンちゃんの言葉を聞き、彼女の優しい気持ちを直ぐに察してくれて素直に頷いてくれた。

 でも直ぐに一人の娘が口を開いた。

「今、流行っているらしいでなければ良いのだけれども」と。

 悲しい顔で告げてきた。

「うん」
「そうだね」
「帰ってくるといいね」

 彼女の言葉を聞き、アスワンちゃんが頷きまた下を向く。

 だから彼女につられて幸ちゃんと紗枝ちゃんも小さな声で呟きつつ下を向くのだった。





「「…………」」

 四人の会話の後はこの通りで、この場の雰囲気が大変に重たく、悲しい物……。絶望感へと移り変わり、私を含めたみんなが一斉の下を向き、身体を震わせてしまうほどだ。

 だってもう既に数人の少女達の残酷で悲惨な様子……。犯人の残酷な性欲の捌けのために少女達は悪戯をされ、裸体のままで殺害され。その後の様子で遺体破棄されているといった状態でいるのが、もう既に私達の中学校内でも噂になり、広まり、知っている人達も多々いるから。祥子ちゃんの友人二人は、私達がいようともお構いなしに二人は抱き合いお互いを庇いながら嗚咽を漏らし始めた。

「「うぅ、ううう」」

 抱き合い嗚咽を漏らす二人を見ていると、私も自分の目尻が熱くなり、冷たいものが流れ始めるから。

「うぅ、ううう」

 私の口からも自然と嗚咽が漏れてしまう。

「美月ちゃん」
芽衣ヤーイーちゃん」
「「うぅ、ううう」」

 私も幼い頃から大の仲良し、幼なじみの彼女と抱き合い、二人で泣き始めるから。

「うぅ、ううう」
「うぅ、えぇ~、ん」
「うわぁ~、ん」

 私と芽衣ヤーイーちゃんに続いて幸ちゃんや紗枝ちゃん、アスワンちゃんも泣き始めるのだ。いくら祥子ちゃん達と睨み合い、罵倒をし合った間柄だとしても。私達の本当に身近な娘が行方不明になっている訳だから、彼女の無事を願えば、願うほど何故か悲しくなってしまうから。
 私達七人は教室に戻ることもしないで、階段と廊下で他人の目も気にしないで、最終的には大きな声で泣き始めた。




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