壮真理人のサードアイ

狗嵜ネムリ

文字の大きさ
上 下
18 / 52
リオ

しおりを挟む
「………」
 俺は理人に向かって頷くと、リオに視線を戻して言った。
「ありがとう、お陰でだいぶ仕事が捗りそうだ。……理人、彼に謝礼を」
「あ、ああ。じゃあリオ、これ」
「謝礼なんて要りませんよ。……それより俺、煌夜さんのこともっと知りたいな。今度たっぷり無料奉仕するから連絡先教えてよ」
「嫌だね」
「冷たいなぁ……そんな露骨に嫌がらなくたっていいじゃん」
「嫌なものは嫌なんだから仕方ないだろう」
「分かったよ、もう……。俺そんなふうに言われたの初めてだ」

 がっくりと肩を落としたリオが部屋を出て行った後、理人が呆れた顔を俺に向けた。
「……お前、本当に冷てえな。あんなはっきり断ること無いだろうに」
「はっきり断らないからつけ込まれるんです。へらへら笑いながら断る連中なんていずれ誰かの食い物にされるだけですよ」
「ま、俺煌夜のそういうところ好きよ。……それで、今回は大丈夫か?」
「真相はだいぶ分かってきました。健太郎さんに明日、事務所に来るよう伝えて下さい」
「そっちじゃなくて、お前自身の方」
「………」
 理人が何を言いたいのかは、心を読まなくてもその顔を見れば分かる。
「……期待を裏切るようで悪いですけど。想像していたよりもリオが素直な奴だったんで、俺の方は大丈夫です。何の影響も受けていません」
「何だ、つまんねえ。……まあいいや、せっかくだから今日はここに泊まって、ルームサービス頼んで、豪華な夕飯とワインと泡風呂でリラックスしようぜ」
「理人の頭の中は、仕事と贅沢とエロいことしか無いんですね」
「それだけあれば充分楽しんで生きていけるだろ? 自分のしたいことだけをするのが俺の人生のモットーだ」

 俺は溜息をついてベッドを下りた。そこまではっきり言われたら、もう何も言い返すことがない。
「どこ行くんだ?」
「風呂ですよ。ルームサービス、頼んどいて下さい」
「任せろ!」
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

「枕」でしかなかった俺の逃亡

BL / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:37

ほしのないソラに

BL / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:4

【休載中】キミに愛を。【長編】

BL / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:13

悪役令息アナ゠ルゥに転生したので、婚約者を奴隷にします

BL / 完結 24h.ポイント:35pt お気に入り:104

君色の空に微笑みを

BL / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:21

COALESCE!

BL / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:163

その座敷牢は「地獄」と呼ばれている

BL / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:31

あなたがいいって言わせてほしい

269
BL / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:25

異世界に飛ばされた僕の従騎士生活

BL / 完結 24h.ポイント:191pt お気に入り:2,639

処理中です...