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第16話 ヒミツのブラザーフッド
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そのまま頼寿に抱きついて息を整えていると、頼寿が急に片手で掛け布団を引き寄せて俺の背中にかけた。
「あ、ありがと……あったかい」
「黙ってろよ、寝たフリしろ」
「へ……?」
唐突に言われて茫然とする俺の背後で、いきなり部屋のドアがノックされた。
「頼寿、玉雪。美味しいワインがあるんだが良かったらどうだ。入ってもいいか」
「よ、頼政さんっ……?」
「零時過ぎたし、そろそろ来ると思ったぜ。タマ、寝たフリをしてろ。──入って来ていいぞ兄貴」
「そんな、無理っ……!」
言ったと同時にドアが開く音がして、俺は瞬間的に頼寿の肩に額を押し付けた。そのまま寝たフリに移り、体の力を抜いて「すー、すー」とわざとらしく寝息をたてる。
「お、……玉雪と楽しんでる最中だったか? 悪いことしたな」
「大丈夫だ、寝てる。ワインがあるんだろ。そこに置いといてくれ」
「ああ、お前と飲みたいと思って。干渉されたくないだろうが、やはり久しぶりに会えたのが嬉しくてな」
──え、まさか。まさかの俺はスルーなのかなっ?
未だに頼寿のそれを尻に挿れたまま対面座位で寝たフリをしている俺なのに、頼政さんは少しも気にした様子なくベッドの端に腰を下ろしている。
「いいか」
「そんなに言うならいいけどよ」
ああ。やっぱりだ、この兄弟。
考えたらダメだって今さっき学んだことだし、俺も開き直って接した方が頼政さんも喜んでくれるかもしれない。
──だって頼寿の兄は、俺の兄貴にもなるってことだもんな。
「頼政さん、実は起きてました俺……」
「お、そうか。でも起きてるとは思ってたんだ。頼寿とセックスしてる最中に悪かったな」
「そ、そこまでは言ってませんっ! ……間違ってませんけど」
頼政さんがくすくすと笑って、頼寿に赤ワインの注がれたグラスを渡した。もちろん俺のこともちゃんと考えてくれていて、オレンジジュースも別で用意してくれている。
「頼寿……ちょっと一旦降りるから、えっと、ゆっくり……」
「ストップ」
頼政さんが俺の肩を押さえて制止し、急に真剣な顔になって黙り込んだ。鋭い目は頼寿とそっくりだ。だからか、こんな近い距離で見つめられると緊張してしまう。
「あ、あの……どうしたんですか頼政さん……」
「……だから寝たフリをしろと言っただろうが」
頼寿が呆れたように呟いてグラスに口を付ける。何が何だか分からず、俺は心臓をバクバクさせながら頼寿と頼政さんの顔を交互に見た。
頼政さんの手が、俺に掛けられていた布団を掴む。
「玉雪。悪いが布団を剥ぐぞ」
「え、……ちょっと待ってください! それはっ……!」
止める間もなく布団が剥ぎ取られ、頼寿と繋がった状態の下半身が恋人の実の兄の目の前でガチ露出する。
ステージでは誰に見られようと構わないのに──いやそれだってまだ慣れてないけど──こんなに間近で、しかも身内に見られるというのは想像以上に焦るし恥ずかしい。
「……ううむ……」
しかも頼政さんの目が真剣そのもので、決してエロい目で見ているわけじゃないというのが分かるからこそ余計に恥ずかしかった。
──な、何だろう。どうして見てるんだ。
しばらくの間、三人共じっと黙り込んでいた。
「頼寿」
そうして頼政さんが口を開く。
……それは俺にとって、前代未聞のオーダーだった。
「この状態のお前達を、描いてもいいか」
「あ、ありがと……あったかい」
「黙ってろよ、寝たフリしろ」
「へ……?」
唐突に言われて茫然とする俺の背後で、いきなり部屋のドアがノックされた。
「頼寿、玉雪。美味しいワインがあるんだが良かったらどうだ。入ってもいいか」
「よ、頼政さんっ……?」
「零時過ぎたし、そろそろ来ると思ったぜ。タマ、寝たフリをしてろ。──入って来ていいぞ兄貴」
「そんな、無理っ……!」
言ったと同時にドアが開く音がして、俺は瞬間的に頼寿の肩に額を押し付けた。そのまま寝たフリに移り、体の力を抜いて「すー、すー」とわざとらしく寝息をたてる。
「お、……玉雪と楽しんでる最中だったか? 悪いことしたな」
「大丈夫だ、寝てる。ワインがあるんだろ。そこに置いといてくれ」
「ああ、お前と飲みたいと思って。干渉されたくないだろうが、やはり久しぶりに会えたのが嬉しくてな」
──え、まさか。まさかの俺はスルーなのかなっ?
未だに頼寿のそれを尻に挿れたまま対面座位で寝たフリをしている俺なのに、頼政さんは少しも気にした様子なくベッドの端に腰を下ろしている。
「いいか」
「そんなに言うならいいけどよ」
ああ。やっぱりだ、この兄弟。
考えたらダメだって今さっき学んだことだし、俺も開き直って接した方が頼政さんも喜んでくれるかもしれない。
──だって頼寿の兄は、俺の兄貴にもなるってことだもんな。
「頼政さん、実は起きてました俺……」
「お、そうか。でも起きてるとは思ってたんだ。頼寿とセックスしてる最中に悪かったな」
「そ、そこまでは言ってませんっ! ……間違ってませんけど」
頼政さんがくすくすと笑って、頼寿に赤ワインの注がれたグラスを渡した。もちろん俺のこともちゃんと考えてくれていて、オレンジジュースも別で用意してくれている。
「頼寿……ちょっと一旦降りるから、えっと、ゆっくり……」
「ストップ」
頼政さんが俺の肩を押さえて制止し、急に真剣な顔になって黙り込んだ。鋭い目は頼寿とそっくりだ。だからか、こんな近い距離で見つめられると緊張してしまう。
「あ、あの……どうしたんですか頼政さん……」
「……だから寝たフリをしろと言っただろうが」
頼寿が呆れたように呟いてグラスに口を付ける。何が何だか分からず、俺は心臓をバクバクさせながら頼寿と頼政さんの顔を交互に見た。
頼政さんの手が、俺に掛けられていた布団を掴む。
「玉雪。悪いが布団を剥ぐぞ」
「え、……ちょっと待ってください! それはっ……!」
止める間もなく布団が剥ぎ取られ、頼寿と繋がった状態の下半身が恋人の実の兄の目の前でガチ露出する。
ステージでは誰に見られようと構わないのに──いやそれだってまだ慣れてないけど──こんなに間近で、しかも身内に見られるというのは想像以上に焦るし恥ずかしい。
「……ううむ……」
しかも頼政さんの目が真剣そのもので、決してエロい目で見ているわけじゃないというのが分かるからこそ余計に恥ずかしかった。
──な、何だろう。どうして見てるんだ。
しばらくの間、三人共じっと黙り込んでいた。
「頼寿」
そうして頼政さんが口を開く。
……それは俺にとって、前代未聞のオーダーだった。
「この状態のお前達を、描いてもいいか」
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