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「こんな騒がしい場所で初めてのセックスなんて、落ち着かねえだろ、──っと」
俺の体を抱いたまま、皇牙が反動をつけてソファから立ち上がった。ビロードのカーテンを捲りプライベート・ルームを出て、相変わらず絡み合っている男達の間をゆっくりと通り抜けて、エントランスホールから大階段を上がり、二階へ。
「も、もう一人で行ける。降ろせよ、皇牙」
「これも演出だ、今日は久々にデカいステージだからな」
オープン前に言い渡された、今日の俺のメインステージ。午後0時から行なわれる、二階中央フロアの円形ステージ──ここに来た夜、ニコラの代役として立った場所だ。
……それだったら、前みたいなお姫様抱っこの方が演出っぽいのに。
「亜蓮!」「亜蓮、待ってたぞ!」
皇牙に抱えられて現れた俺に、フロアにいた客からの歓声が降り注ぐ。
「チェーン・ストリッパー!」
ステージの上に皇牙が俺を降ろし、俺の鎖を短く握って顔を引き寄せる。
そのまま、唇が触れそうなほどの距離で囁かれた。
「少しの間、外へ出てくる。俺がいないからって客にサービスし過ぎるなよ」
「……ば、馬鹿か。そんなこと……」
「帰ったら二人で打ち上げだ。楽しみにしてるからな、亜蓮」
鎖を離して俺から離れる皇牙。
「………」
ステージに立てば、さっきまでの熱が急速に違うものへの高ぶりに変化して行く。この感覚が大好きだ。セックスとは違う種類の快楽。だけどセックスと同じくらいに刺激的で、体中がざわめくほどに気持ち良い。
握ったポールにリスペクトを込めたキスをして、俺は静かに目を閉じた。
今日の曲は少し激しめだ。俺の心音とリンクしているような、アップテンポでセクシーなBGM。相変わらず甘ったるい声で歌う女の声。名前は知らないが、今ではすっかり俺もこの歌姫のファンだ。
一瞬で大きく息を吸った俺は、握ったポールを中心にぐるりとステージを回り、それからポールを離してその場で体を回転させた。足場が氷じゃないから回転数も少ないが、それでも俺の動きに合わせて乱れる鎖がポールに上手く巻き付いてくれた。
絡んだ鎖によってポールに固定された体。回転を止めた俺は客席に向けてパンツの中に手を入れ、艶めかしく腰をくねらせてアピールした。──鳴り響く指笛と弾ける歓声。俺に向けられる数え切れないほどの顔、目、心。
解けた鎖が跳ねて揺れ、浮いて飛んで俺に絡み付く。まるでコイツと踊っているようだ。俺の意思に呼応して鎖が俺に愛撫する。
──この鎖を握れば、今夜のお前のパートナーになれるんだって?
違う。もうあの頃の俺じゃない。
この鎖は握らせない。皇牙以外には、誰にも。
「亜蓮!」「最高だ、亜蓮!」
亜蓮──亜蓮──亜蓮!
泣けるほどの陶酔感。胸から体中に行き渡る熱い血潮。浴びるスポットは俺の肌に汗を滲ませ、頭の中から余計な雑念を消し去って行く。
俺はジャンプしてポールによじ登り、右脚の太股を絡ませて体をそこへ固定させた。反対側の膝を曲げて膝頭をポールにつけ、握っていた手を離し、体を床と水平になるよう倒してから──
「亜蓮!」
曲の終わりと同時に両手でピストルの構えを取り、観客に向けて不敵に笑った。
俺の体を抱いたまま、皇牙が反動をつけてソファから立ち上がった。ビロードのカーテンを捲りプライベート・ルームを出て、相変わらず絡み合っている男達の間をゆっくりと通り抜けて、エントランスホールから大階段を上がり、二階へ。
「も、もう一人で行ける。降ろせよ、皇牙」
「これも演出だ、今日は久々にデカいステージだからな」
オープン前に言い渡された、今日の俺のメインステージ。午後0時から行なわれる、二階中央フロアの円形ステージ──ここに来た夜、ニコラの代役として立った場所だ。
……それだったら、前みたいなお姫様抱っこの方が演出っぽいのに。
「亜蓮!」「亜蓮、待ってたぞ!」
皇牙に抱えられて現れた俺に、フロアにいた客からの歓声が降り注ぐ。
「チェーン・ストリッパー!」
ステージの上に皇牙が俺を降ろし、俺の鎖を短く握って顔を引き寄せる。
そのまま、唇が触れそうなほどの距離で囁かれた。
「少しの間、外へ出てくる。俺がいないからって客にサービスし過ぎるなよ」
「……ば、馬鹿か。そんなこと……」
「帰ったら二人で打ち上げだ。楽しみにしてるからな、亜蓮」
鎖を離して俺から離れる皇牙。
「………」
ステージに立てば、さっきまでの熱が急速に違うものへの高ぶりに変化して行く。この感覚が大好きだ。セックスとは違う種類の快楽。だけどセックスと同じくらいに刺激的で、体中がざわめくほどに気持ち良い。
握ったポールにリスペクトを込めたキスをして、俺は静かに目を閉じた。
今日の曲は少し激しめだ。俺の心音とリンクしているような、アップテンポでセクシーなBGM。相変わらず甘ったるい声で歌う女の声。名前は知らないが、今ではすっかり俺もこの歌姫のファンだ。
一瞬で大きく息を吸った俺は、握ったポールを中心にぐるりとステージを回り、それからポールを離してその場で体を回転させた。足場が氷じゃないから回転数も少ないが、それでも俺の動きに合わせて乱れる鎖がポールに上手く巻き付いてくれた。
絡んだ鎖によってポールに固定された体。回転を止めた俺は客席に向けてパンツの中に手を入れ、艶めかしく腰をくねらせてアピールした。──鳴り響く指笛と弾ける歓声。俺に向けられる数え切れないほどの顔、目、心。
解けた鎖が跳ねて揺れ、浮いて飛んで俺に絡み付く。まるでコイツと踊っているようだ。俺の意思に呼応して鎖が俺に愛撫する。
──この鎖を握れば、今夜のお前のパートナーになれるんだって?
違う。もうあの頃の俺じゃない。
この鎖は握らせない。皇牙以外には、誰にも。
「亜蓮!」「最高だ、亜蓮!」
亜蓮──亜蓮──亜蓮!
泣けるほどの陶酔感。胸から体中に行き渡る熱い血潮。浴びるスポットは俺の肌に汗を滲ませ、頭の中から余計な雑念を消し去って行く。
俺はジャンプしてポールによじ登り、右脚の太股を絡ませて体をそこへ固定させた。反対側の膝を曲げて膝頭をポールにつけ、握っていた手を離し、体を床と水平になるよう倒してから──
「亜蓮!」
曲の終わりと同時に両手でピストルの構えを取り、観客に向けて不敵に笑った。
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