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#7 体育祭バーニング
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「カッコ良かったぞ、天和! めちゃくちゃカッコ良かった!」
その日の帰り道。マカロはまだ興奮していて、天和の頭の上で飛び回っている。最後のリレーで俺が三人抜きしたことに関しては「炎樽、早かった!」の一言で済ませたというのに。
「天和、青いハチマキ持って帰ってきたか? もらってもいいか?」
「ああ」
今日一日天和が使っていたハチマキを体に巻きながら、マカロが「これで俺も強くなれるかな」と笑っている。
「マカ、すっかり天和のファンの一員だな」
呆れたように俺も笑うと、得意顔のマカロが宙返りをして叫んだ。
「俺が一番のファンだ!」
電車に乗り、空いている席に腰を下ろす。車内には他にも生徒達が乗っていたが、大半の生徒は体育館近くの繁華街へ向かったようだ。
「でも本当に凄かったって俺も思うよ。彰良先輩も強かったし惜しかったけど、天和は流石って感じだった」
「危なかったけどな。あんなにねばられると思ってなかった」
それから地元の駅で降りた俺はマカロと約束していた通りケーキ屋に寄って、ホールのショートケーキを注文した。
「こ、これ全部俺のかっ?」
「いや違うけど……マカも頑張ったから、半分は食っていいよ」
「やった!」
「天和はどうする? ……俺んちで夕飯とか、どうかなって」
「……どうすっかな」
迷われると思っていなかっただけに、少し落胆してしまった。俺から天和を家に誘うということは、「そういう意味」も含まれているのに。
俺とマカロを守ってくれた天和。俺のおにぎりを食べてくれた天和。あんなに大勢の生徒達を感動させてくれた天和──。
……今日なら抱かれてもいいって、思ったのになぁ。鈍い奴。
しゅんとなる俺を見て、天和が笑った。
「何落ち込んでんだ」
「べ、別に落ち込んでねえよ」
「言っとくが今日お前の家に行ったら、我慢できる自信ねえぞ」
「………」
ケーキの箱を持ったまま、俺は唇を噛んで俯いた。
そして──
「俺も、……」
「………」
「俺も多分、我慢できない」
ハチマキに身を包んだマカロが、隙間から目だけを出して「ひゃあ!」と漏らした。
「ご馳走様でした!」
夕飯に買った弁当とケーキを勢いよく平らげたマカロが、パーカを着て玄関へ向かう。
「マカ、どこ行くんだ?」
慌ててその後を追うと、マカロがスニーカーを履きながら「サバラんち」と当然のように返してきた。
「天和、泊まってくんだろ。邪魔しないように俺は出てくよ」
「なっ、……ていうか、別に……ほら。そうなったらなったで、マカも種取れる訳だし……」
自分で言って恥ずかしくなったが、今夜天和に抱かれる覚悟はできている。マカロが気を遣うのも無理はない。
「初夜の種はめちゃくちゃ魅力的だけど、俺、二人に集中してもらいたいからさ。ここは空気読んで我慢して、次から種もらうことにした!」
「マカ……」
「頑張れよ、炎樽」
「……ありがとう、マカ」
玄関のドアが閉まり、俺はその場で一つ深呼吸をした。
今日、俺は天和に抱かれる。
天和とセックスする。
自分の覚悟と、マカロの思いやりと、天和の気持ちに──応えたい。
「お、……どうした。チビは出掛けたのか?」
「サバラの家に行くって」
「一丁前に気利かせてんのか」
ソファでテレビを見ていた天和が、立ち上がってテレビを消す。しん、と静まり返ったリビングの中央で、俺と天和は向かい合って視線を合わせた。
「そんな硬くなるな」
「だ、だって……あ、そうだ。風呂沸かして、どうせなら一緒に……」
「要らねえ、後でいい」
伸ばされた天和の手が、俺の腰を絡め取った。
「でも俺、今日いっぱい汗かいたし……」
「言ったろうがよ、我慢できねえって」
「あ、……」
立ったまま唇を塞がれ、優しく抱きしめられる。俺もぎこちなく天和の背中に腕を回し、その逞しい体をめいっぱいに抱きしめた。
「……汗臭せぇか?」
「ううん、……いい匂い」
天和の手が部屋着のハーフパンツの中へと滑り、下着越しに俺の尻を掴む。──そこで俺は、ある重大な事実を思い出した。
「す、すとっぷ」
「あ?」
「ちょっと一旦、着替えさせて!」
「もう着替えてるだろ」
「違うっ、えっと、その……パンツを替えてきたいっていうか、その……そうだ、勝負下着っての、穿こうかなって、……」
「何言ってんだお前」
もちろんそんな物は持っていないけど、尻にクマのプリントが付いた男児用パンツを見られる訳にはいかない。マカロがくれた夢魔印のパンツだと説明すれば分かってくれるだろうけど、だからってこんな大事な時にそんなパンツで挑みたくない。
「気にすんなよそんなモン、どうせ脱がすんだし」
「い、いやいや。結構重要だろ、こういうのって。雰囲気も出るし、パンツがダサくてフラれるとか雑誌に書いてあったし、……」
「炎樽、お前何か隠してるだろ」
「かっ……隠してないけど! マジで一旦、着替えさせてってば! 何なら全裸で登場してやるから!」
「………」
訝しむように天和の目が細くなる。そして──
「っ、……ああああ!」
一気にハーフパンツを下ろされた。
その日の帰り道。マカロはまだ興奮していて、天和の頭の上で飛び回っている。最後のリレーで俺が三人抜きしたことに関しては「炎樽、早かった!」の一言で済ませたというのに。
「天和、青いハチマキ持って帰ってきたか? もらってもいいか?」
「ああ」
今日一日天和が使っていたハチマキを体に巻きながら、マカロが「これで俺も強くなれるかな」と笑っている。
「マカ、すっかり天和のファンの一員だな」
呆れたように俺も笑うと、得意顔のマカロが宙返りをして叫んだ。
「俺が一番のファンだ!」
電車に乗り、空いている席に腰を下ろす。車内には他にも生徒達が乗っていたが、大半の生徒は体育館近くの繁華街へ向かったようだ。
「でも本当に凄かったって俺も思うよ。彰良先輩も強かったし惜しかったけど、天和は流石って感じだった」
「危なかったけどな。あんなにねばられると思ってなかった」
それから地元の駅で降りた俺はマカロと約束していた通りケーキ屋に寄って、ホールのショートケーキを注文した。
「こ、これ全部俺のかっ?」
「いや違うけど……マカも頑張ったから、半分は食っていいよ」
「やった!」
「天和はどうする? ……俺んちで夕飯とか、どうかなって」
「……どうすっかな」
迷われると思っていなかっただけに、少し落胆してしまった。俺から天和を家に誘うということは、「そういう意味」も含まれているのに。
俺とマカロを守ってくれた天和。俺のおにぎりを食べてくれた天和。あんなに大勢の生徒達を感動させてくれた天和──。
……今日なら抱かれてもいいって、思ったのになぁ。鈍い奴。
しゅんとなる俺を見て、天和が笑った。
「何落ち込んでんだ」
「べ、別に落ち込んでねえよ」
「言っとくが今日お前の家に行ったら、我慢できる自信ねえぞ」
「………」
ケーキの箱を持ったまま、俺は唇を噛んで俯いた。
そして──
「俺も、……」
「………」
「俺も多分、我慢できない」
ハチマキに身を包んだマカロが、隙間から目だけを出して「ひゃあ!」と漏らした。
「ご馳走様でした!」
夕飯に買った弁当とケーキを勢いよく平らげたマカロが、パーカを着て玄関へ向かう。
「マカ、どこ行くんだ?」
慌ててその後を追うと、マカロがスニーカーを履きながら「サバラんち」と当然のように返してきた。
「天和、泊まってくんだろ。邪魔しないように俺は出てくよ」
「なっ、……ていうか、別に……ほら。そうなったらなったで、マカも種取れる訳だし……」
自分で言って恥ずかしくなったが、今夜天和に抱かれる覚悟はできている。マカロが気を遣うのも無理はない。
「初夜の種はめちゃくちゃ魅力的だけど、俺、二人に集中してもらいたいからさ。ここは空気読んで我慢して、次から種もらうことにした!」
「マカ……」
「頑張れよ、炎樽」
「……ありがとう、マカ」
玄関のドアが閉まり、俺はその場で一つ深呼吸をした。
今日、俺は天和に抱かれる。
天和とセックスする。
自分の覚悟と、マカロの思いやりと、天和の気持ちに──応えたい。
「お、……どうした。チビは出掛けたのか?」
「サバラの家に行くって」
「一丁前に気利かせてんのか」
ソファでテレビを見ていた天和が、立ち上がってテレビを消す。しん、と静まり返ったリビングの中央で、俺と天和は向かい合って視線を合わせた。
「そんな硬くなるな」
「だ、だって……あ、そうだ。風呂沸かして、どうせなら一緒に……」
「要らねえ、後でいい」
伸ばされた天和の手が、俺の腰を絡め取った。
「でも俺、今日いっぱい汗かいたし……」
「言ったろうがよ、我慢できねえって」
「あ、……」
立ったまま唇を塞がれ、優しく抱きしめられる。俺もぎこちなく天和の背中に腕を回し、その逞しい体をめいっぱいに抱きしめた。
「……汗臭せぇか?」
「ううん、……いい匂い」
天和の手が部屋着のハーフパンツの中へと滑り、下着越しに俺の尻を掴む。──そこで俺は、ある重大な事実を思い出した。
「す、すとっぷ」
「あ?」
「ちょっと一旦、着替えさせて!」
「もう着替えてるだろ」
「違うっ、えっと、その……パンツを替えてきたいっていうか、その……そうだ、勝負下着っての、穿こうかなって、……」
「何言ってんだお前」
もちろんそんな物は持っていないけど、尻にクマのプリントが付いた男児用パンツを見られる訳にはいかない。マカロがくれた夢魔印のパンツだと説明すれば分かってくれるだろうけど、だからってこんな大事な時にそんなパンツで挑みたくない。
「気にすんなよそんなモン、どうせ脱がすんだし」
「い、いやいや。結構重要だろ、こういうのって。雰囲気も出るし、パンツがダサくてフラれるとか雑誌に書いてあったし、……」
「炎樽、お前何か隠してるだろ」
「かっ……隠してないけど! マジで一旦、着替えさせてってば! 何なら全裸で登場してやるから!」
「………」
訝しむように天和の目が細くなる。そして──
「っ、……ああああ!」
一気にハーフパンツを下ろされた。
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