異世界ラーメン屋台~俺が作るラーメンを食べるとバフがかかるらしい~

橘まさと

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四杯目 火竜討伐

第2話 ラーメン屋、火竜の巣へいく

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■火山地帯への街道

 準備を整えた討伐隊が街を離れて進む。
 馬だけでなく、徒歩や馬車も使っての移動のため、時間を駆けての行軍となっていた。
 〈アイテムボックス〉持ちの冒険者達はそれらの人員や馬を癒すための食料を積み込んで振る舞う担当である。
 かくゆう俺も今回は徒歩での移動だ。
 野営地になったら、キッチンカーを出して料理を振る舞うことを繰り返しているため、行軍速度は思ったより落ちていない。

「で、ザビーネもそのままついて来ているのはなんでだ?」
「この人数へ振る舞うにしたって、人手いるだろ?」
「そりゃそうだけどなぁ……俺としては街で待ってくれた方がよかったんだがな」

 荷物がないとはいえ、長距離を歩きなれていないザビーネを連れていくのは心苦しい。
 できれば馬車に乗ってくれた方が良かったが、一緒に行くと聞かないので仕方なかった。
 代わりと言っては何だが、俺ら後方支援部隊の護衛は【夜鴉】が担当している。
 ざわざわと前方の方が騒がしくなり、斥候が戻ってきた。

「前方にフレイムジャイアントが数体。こちらに向かってきている!」
「よし、それじゃあ全員、迎撃態勢だ!」

 斥候の言葉に全員を見渡せるように馬に乗っていたアルヴィンが剣を掲げて指揮をする。
 ドスンドスンという音と共に地鳴りがして、真っ赤な肌をした巨人が山陰から顔をのぞかせて来た。
 魔術師達が〈水魔法〉をぶつけていく。
 
「おー、派手にやっているわねぇ……」
「派手だなぁ……これだけの人数がいれば火竜も楽勝、か?」
「火竜は数じゃないところが問題ですわね。場所によっては逆に邪魔となるケースもありますわ」

 前方で戦闘が行われている中、周囲を警戒しつつも話かけてくれるカリンやセシリアさんに俺は心が軽くなる。
 戦闘ができない後方部隊でしかない俺は引け目があった。
 俺の袖をザビーネがぎゅっと掴んでくるので、その手を取って落ち着かせる。

——戦闘が終わった

 戦闘が終われば俺の出番である。
 俺は〈アイテムボックス〉から包帯やポーションを出していった。

「手当の方を頼む」
「あいよ」

 回復魔法使いには数の限りがあるので、ポーションとかで治療できるときはしておきたい。
 本番は火竜との闘いなので、戦力の温存も必要なのだ。

「治療が終わったら、少し休んでから進軍ね。今日中に火竜の巣の付近までいって、一休みの予定だそうよ」
「わかった。ザビーネも軽く休んでおけよ」
「ああ、じゃあ遠慮なく」
 
 木の傍に座っていた俺にもたれかかるようにザビーネが体を預けて目を閉じる。
 かなり懐かれてしまったなと思いながら、俺も目を閉じて軽く休むことにした。
 目を閉じているとき、クスクスと笑い声が聞こえるが聞かなかったことにする。
 いちいち気にしてられるか!
 
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