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手紙
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彩葉から腕時計をもらった数日後、智樹宛てに父親からの手紙が届いた。
そこには、ある一冊の本についての私見が記されていた。
『この前は、せっかく智樹が帰省したのに、留守にしてしまって悪かったね。
囲碁クラブの爺さん達が、「新年会をやるから顔を出せ」としつこくてね。
挨拶だけして帰るつもりだったんだが、酒を勧められて、酔い潰れてしまったんだよ。
まぁ、そんなことはどうでもいい。
本題はここからだ。
智樹は、プラトンという哲学者が書いた『饗宴』という作品を知ってるか?
読んだことが無いかもしれないから簡単に説明しておくと、“ソクラテスという哲学者とその仲間達が、宴会の席で愛についての議論を交わす”というのが、おおまかな内容だ。
哲学者というと、気難しくて偉そうな人物像を思い浮かべるかもしれないが、この本から浮かび上がるソクラテスの姿は、そういった堅苦しいイメージとはかけ離れている。
考えることが好きで好奇心旺盛。勇気と忍耐力があり、謙虚で仲間思い。少々変わり者ではあるが、道徳を実践し、知恵を愛する探求者。
ソクラテスとは、そんな人物だったんじゃないかと、父さんは思っている。
『饗宴』の中には、面白い話がいろいろと書かれていてね。
その中でも、“かつて人間は球体で、四本の手足と二つの頭を持っていたが、神の怒りに触れて半分に引き裂かれ、それから自分の半身を探し求めるようになった”というエピソードは有名だから、智樹もどこかで耳にしたことがあるかもしれないね。
他にもいろいろと“愛”にまつわる話が書いてあるんだけども、父さんが一番好きなのは、“ディオティマという女性から聞いた話”として、ソクラテスが語る部分なんだ。
作中には、ディオティマの言葉として、こんなことが書かれている。
“人間には、体に子を宿す者と、心に子を宿す者がいる。
彼らは美しきもの——すなわち善きものを探し求め、その相手との間に子をなす。
体に子を宿した者は人間の子を生み、心に子を宿した者は知恵を生み出す”
若かりし頃の父さんは、この部分を読んで大いに感銘を受けた。
智樹も、機会があればぜひ読んでみてほしい。
そしてもしいつか、心に美しきものを持つ人と出会い、その人とならば善きものを生み出し、共に育んでいけると感じたら、誰に何を言われても、決してその手を離さないように。
そんな相手と巡り会えることは、奇跡に近いのだから。
父さんの伝えたかったことは以上だ。
体に気をつけて、無理をしないように。
それから、鈴木さんにもよろしく言っといてくれ。
それでは、また。』
手紙を読み終えた智樹は、すぐに彩葉の部屋へと向かい、手紙を見せながら問いただした。
「もしかして、父さんに会った?」
「あ……うん」
「なんで? いつ? 何を話したの?」
「智樹に腕時計を渡したあと、朝から出かけた日があっただろ? あの日、会いに行ってたんだ。自宅まで行くと近所の人に見られて変な噂が立つかもしれないから、長野駅まで来てもらって一緒に食事をした。その時に『息子さんを下さい』ってお願いして、『もし智樹が了承してくれたら、専業主夫として家庭に入ってもらうつもりです』ってことも伝えてきた」
彩葉の話に、智樹は顔色を失う。
「なんで、そんな……」
「どうしても智樹と別れたくなくて……喧嘩が増えた頃から、いろいろと香澄ちゃんに相談してたんだ。『専業主夫になってもらいたいって、智樹にお願いしてみる』って話したら、『お兄ちゃんの性格からして断る可能性が高いから、外堀を埋めた方がいい』ってアドバイスされて、お父さんとの食事会をセッティングしてもらった」
「香澄がセッティングしたの? ……いつの間にそんなに仲良くなったんだよ」
「帰省から戻ったあと、何かあった時のためにって、智樹から実家の電話番号と香澄ちゃんの連絡先を教えてもらっただろ? 向こうにも俺の連絡先を伝えておいた方がいいかなと思って、お邪魔した時のお礼がてら、香澄ちゃんに連絡したんだ。何回かやり取りを続けてるうちに、いろいろと相談にのってもらうようになって……」
「僕に隠れて、そんなことしてたのかよ」
「黙って勝手なことをしたのは悪かったよ。本当にごめん。だけど、もし香澄ちゃんが相談にのってくれてなかったら、俺達の関係はもっとずっと悪化してたと思うよ」
言われてみると、確かにそうかもしれない。
実際、ここ最近の二人は喧嘩ばかりだった。
香澄が間に入ってくれなければ、修復できない状態にまで追い込まれていた可能性だってある。
そう思うと、彩葉の行動を責める気持ちにはなれなかった。
「そうだね、彩葉と香澄が頑張ってくれなかったら、今ごろ別れ話をしていたかもしれないんだもんな……感謝しないといけないね。わざわざ長野まで会いに行ってくれてありがとう。あとで香澄にもお礼の連絡を入れとくよ」
そう言うと、智樹は自分の部屋へ腕時計を取りに行き、戻ってくるなり彩葉の前に差し出した。
「決めた。専業主夫になるよ。ただし、アルバイトはこの先も続けたい。主夫業に支障が出ないように、シフトは減らすから。それでも良ければ、この時計を……彩葉の手で、僕の腕に嵌めてくれない?」
彩葉は差し出された腕時計を手に取り、智樹の手首へ巻きつけると、少し照れくさそうな顔をして、耳慣れない言葉を口にした。
「Σ΄ αγαπώ. 」
「え?」
「古代ギリシャ語で、“愛してます”って意味らしいよ。智樹のお父さんが教えてくれた。この言葉で、お母さんにプロポーズしたんだってさ。でも『何それ?』って笑われちゃって、真剣に受け止めてもらえなかったから、すぐに日本語で言い直したって言ってたけど」
「……うちの父さん、昔からくだらないことばかりするんだよね……」
智樹が溜め息まじりに言うと、彩葉はおかしそうに声を上げて笑った。
智樹が専業主夫になり、鈴木家は平穏な日常を取り戻した。
そして、草木が芽吹きはじめる季節を迎えたある日の午後。リビングで洗濯物を畳んでいる智樹のところへ、神妙な顔つきをした彩葉がやってきた。
手には、分厚い紙の束を持っている。
「どうしたの?」
智樹が問いかけると、彩葉はソファに腰掛けて話し始めた。
「伊藤さんから、『橘光希の復帰作を書籍化する企画は、編集会議に通りませんでした』って連絡があった」
「そっか……」
智樹は自分のことのように残念な気持ちになりながら、彩葉に尋ねる。
「もう小説は書かないの?」
「書くよ。ライターとしての仕事を頑張りながら、小説も書き続ける。伊藤さんからの助言を参考にして、また新しい企画を出すよ」
思いの外すっきりとした表情で答えると、彩葉は手に持った紙の束を智樹に差し出した。
「これ、プリントアウトした小説。本にはならなかったけど、最後まで書き上げたから……智樹にだけは読んでもらいたい」
智樹は、受け取った原稿を慈しむような仕草で胸に抱える。
「大切に読むよ」
智樹の言葉に、彩葉がやわらかく微笑む。
表紙をめくると、最初のページには、こんな献辞の言葉が綴られていた。
“この物語を、最愛の君に捧ぐ”
そこには、ある一冊の本についての私見が記されていた。
『この前は、せっかく智樹が帰省したのに、留守にしてしまって悪かったね。
囲碁クラブの爺さん達が、「新年会をやるから顔を出せ」としつこくてね。
挨拶だけして帰るつもりだったんだが、酒を勧められて、酔い潰れてしまったんだよ。
まぁ、そんなことはどうでもいい。
本題はここからだ。
智樹は、プラトンという哲学者が書いた『饗宴』という作品を知ってるか?
読んだことが無いかもしれないから簡単に説明しておくと、“ソクラテスという哲学者とその仲間達が、宴会の席で愛についての議論を交わす”というのが、おおまかな内容だ。
哲学者というと、気難しくて偉そうな人物像を思い浮かべるかもしれないが、この本から浮かび上がるソクラテスの姿は、そういった堅苦しいイメージとはかけ離れている。
考えることが好きで好奇心旺盛。勇気と忍耐力があり、謙虚で仲間思い。少々変わり者ではあるが、道徳を実践し、知恵を愛する探求者。
ソクラテスとは、そんな人物だったんじゃないかと、父さんは思っている。
『饗宴』の中には、面白い話がいろいろと書かれていてね。
その中でも、“かつて人間は球体で、四本の手足と二つの頭を持っていたが、神の怒りに触れて半分に引き裂かれ、それから自分の半身を探し求めるようになった”というエピソードは有名だから、智樹もどこかで耳にしたことがあるかもしれないね。
他にもいろいろと“愛”にまつわる話が書いてあるんだけども、父さんが一番好きなのは、“ディオティマという女性から聞いた話”として、ソクラテスが語る部分なんだ。
作中には、ディオティマの言葉として、こんなことが書かれている。
“人間には、体に子を宿す者と、心に子を宿す者がいる。
彼らは美しきもの——すなわち善きものを探し求め、その相手との間に子をなす。
体に子を宿した者は人間の子を生み、心に子を宿した者は知恵を生み出す”
若かりし頃の父さんは、この部分を読んで大いに感銘を受けた。
智樹も、機会があればぜひ読んでみてほしい。
そしてもしいつか、心に美しきものを持つ人と出会い、その人とならば善きものを生み出し、共に育んでいけると感じたら、誰に何を言われても、決してその手を離さないように。
そんな相手と巡り会えることは、奇跡に近いのだから。
父さんの伝えたかったことは以上だ。
体に気をつけて、無理をしないように。
それから、鈴木さんにもよろしく言っといてくれ。
それでは、また。』
手紙を読み終えた智樹は、すぐに彩葉の部屋へと向かい、手紙を見せながら問いただした。
「もしかして、父さんに会った?」
「あ……うん」
「なんで? いつ? 何を話したの?」
「智樹に腕時計を渡したあと、朝から出かけた日があっただろ? あの日、会いに行ってたんだ。自宅まで行くと近所の人に見られて変な噂が立つかもしれないから、長野駅まで来てもらって一緒に食事をした。その時に『息子さんを下さい』ってお願いして、『もし智樹が了承してくれたら、専業主夫として家庭に入ってもらうつもりです』ってことも伝えてきた」
彩葉の話に、智樹は顔色を失う。
「なんで、そんな……」
「どうしても智樹と別れたくなくて……喧嘩が増えた頃から、いろいろと香澄ちゃんに相談してたんだ。『専業主夫になってもらいたいって、智樹にお願いしてみる』って話したら、『お兄ちゃんの性格からして断る可能性が高いから、外堀を埋めた方がいい』ってアドバイスされて、お父さんとの食事会をセッティングしてもらった」
「香澄がセッティングしたの? ……いつの間にそんなに仲良くなったんだよ」
「帰省から戻ったあと、何かあった時のためにって、智樹から実家の電話番号と香澄ちゃんの連絡先を教えてもらっただろ? 向こうにも俺の連絡先を伝えておいた方がいいかなと思って、お邪魔した時のお礼がてら、香澄ちゃんに連絡したんだ。何回かやり取りを続けてるうちに、いろいろと相談にのってもらうようになって……」
「僕に隠れて、そんなことしてたのかよ」
「黙って勝手なことをしたのは悪かったよ。本当にごめん。だけど、もし香澄ちゃんが相談にのってくれてなかったら、俺達の関係はもっとずっと悪化してたと思うよ」
言われてみると、確かにそうかもしれない。
実際、ここ最近の二人は喧嘩ばかりだった。
香澄が間に入ってくれなければ、修復できない状態にまで追い込まれていた可能性だってある。
そう思うと、彩葉の行動を責める気持ちにはなれなかった。
「そうだね、彩葉と香澄が頑張ってくれなかったら、今ごろ別れ話をしていたかもしれないんだもんな……感謝しないといけないね。わざわざ長野まで会いに行ってくれてありがとう。あとで香澄にもお礼の連絡を入れとくよ」
そう言うと、智樹は自分の部屋へ腕時計を取りに行き、戻ってくるなり彩葉の前に差し出した。
「決めた。専業主夫になるよ。ただし、アルバイトはこの先も続けたい。主夫業に支障が出ないように、シフトは減らすから。それでも良ければ、この時計を……彩葉の手で、僕の腕に嵌めてくれない?」
彩葉は差し出された腕時計を手に取り、智樹の手首へ巻きつけると、少し照れくさそうな顔をして、耳慣れない言葉を口にした。
「Σ΄ αγαπώ. 」
「え?」
「古代ギリシャ語で、“愛してます”って意味らしいよ。智樹のお父さんが教えてくれた。この言葉で、お母さんにプロポーズしたんだってさ。でも『何それ?』って笑われちゃって、真剣に受け止めてもらえなかったから、すぐに日本語で言い直したって言ってたけど」
「……うちの父さん、昔からくだらないことばかりするんだよね……」
智樹が溜め息まじりに言うと、彩葉はおかしそうに声を上げて笑った。
智樹が専業主夫になり、鈴木家は平穏な日常を取り戻した。
そして、草木が芽吹きはじめる季節を迎えたある日の午後。リビングで洗濯物を畳んでいる智樹のところへ、神妙な顔つきをした彩葉がやってきた。
手には、分厚い紙の束を持っている。
「どうしたの?」
智樹が問いかけると、彩葉はソファに腰掛けて話し始めた。
「伊藤さんから、『橘光希の復帰作を書籍化する企画は、編集会議に通りませんでした』って連絡があった」
「そっか……」
智樹は自分のことのように残念な気持ちになりながら、彩葉に尋ねる。
「もう小説は書かないの?」
「書くよ。ライターとしての仕事を頑張りながら、小説も書き続ける。伊藤さんからの助言を参考にして、また新しい企画を出すよ」
思いの外すっきりとした表情で答えると、彩葉は手に持った紙の束を智樹に差し出した。
「これ、プリントアウトした小説。本にはならなかったけど、最後まで書き上げたから……智樹にだけは読んでもらいたい」
智樹は、受け取った原稿を慈しむような仕草で胸に抱える。
「大切に読むよ」
智樹の言葉に、彩葉がやわらかく微笑む。
表紙をめくると、最初のページには、こんな献辞の言葉が綴られていた。
“この物語を、最愛の君に捧ぐ”
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