13 / 122
第1章
13話 特A級解体ショー
この日も魔物討伐隊からの持ち込みで特A級の魔物が2体持ち込まれた。
これに目の色を変える上級解体者達。
レティリアも、勿論含まれていてギラギラした眼差しで先輩を押しのけている。
まだ今日が始まったばかりなのだ、特A級は争奪戦である。
「えっと、ガイザーディスとマンマータンの2体、特A級です。どちらに……」
「「「「「こっちにお願いします!! 」」」」」
ピンッ! と伸ばされる手が数人分。
特A級は、特S級とは違う為それなりに捌ける人数がいる。
夜勤明けですら、手を伸ばして張り合っていた。
「あっ!! お前夜勤明けだろ! 帰れよ!! 寝ろ!! 」
「誰が帰るか! 特A級も最近少ないっつーのに!! 」
「私最近取られてるからガイザーディス頂戴!! 」
「レティ! Bが山ほど来てるぞ!! 」
「ガイザーディスするのぉぉぉぉ!! 」
「ここは最年長が優先だろ! 」
「ジジィは引っ込んでろ! 」
「ああん?! やんのかこらぁ!! 」
「あ……あの……えーっと……」
伝令班と運搬係が喧嘩を始めた解体作業員達に困惑してオロオロする。
何故か2人とも内股になり右往左往しているのが喧騒の中シュールだ。
「なぁーにしてる、騒がしい!! 」
「ぎゃ!! いっっっっっ!! 」
落ち着かない解体場に響く頭を殴られた音と、渋い声。
全員が顔を向けると、 何故か殴られている在籍3年目の運搬員と、腰に手を当てて呆れている解体班の長であるギルバート・センセイリブ。
既に65近い年齢で、若い頃は黒々と艶があった美丈夫も、今では髪の大半が白に変わっている。
だが肉体は鍛え抜かれていて、そこらにいる騎士など一瞬で地面に叩き落としてしまうくらいの覇気がある。
それもそうだろう、35年近く魔物討伐隊で働き怪我の為にドロップアウトした御仁なのだ。
彼が解体場に来て解体スキルが飛躍的に上がり、職員育成が捗ったのは誰の目にも明らかなのだ。
レティリアの事を理解して他言無用を貫くが、基本的には大雑把な性格で広場で肩車した最初の人物である。
魔物討伐隊の人達は、それはそれは驚いたものだった。
当時、辞めたばかりの元魔物討伐隊副隊長が少女を肩車して魔物を指さし笑っているのだから。
本人も注目されやすい人物であるのにレティリアを担いだ当時の兄の荒れようは凄まじいの一言だった。
だが、彼が居ることで解体の技術は一気に上昇した。
以前は新人が直ぐに解体に手を出すことを禁じられていたのにあっさりとやらせてみたり、今では浸透した銅1、2、3の練習もギルバートによって始められたものである。
そして、これから行われることもギルバート発案である。
「そんなに騒ぐなら解体ショーでもするか? 」
「解体ショー!! 」
「私! 私やる!! 」
「レティはB!! 」
「やだっ!! ガイザーディスすーるーのー!! 」
最早駄々っ子である。
両手を胸の前で上下に振っているレティリアを全員がギリギリと見ている。
いつもはふざける解体班の仲間たちだが、特上の魔物を前に全員がピリピリとしていた。
だれが譲るもんか!! その気迫にため息を履いたギルバートが提案した。
「………………わかったわかった。じゃあよ、次の休みにでも特A以上の魔物を狩ってくるから。これでいいだろ? 」
「何体ですか! 」
「最低5体はいるんでしょうね!! 」
「どんだけ貪欲なんだよ!! 」
激しくつっこんでくるギルバートは、真っ白な歯を見せて屈託なく笑った。
「むしろ、生きてる魔物見たいからついて行きたいくらいだよな」
「あー、このしなやかな筋肉がどう動くのか見たい」
「この翼が羽ばたく姿が見たい……」
「相変わらず怖いもの知らずだな……お前ら」
ドン引きだよ……と魔物愛を語る解体員たちを引き攣りながら見るギルバート。
勿論、特上解体が出来る人達だけで、その他の人達はギルバートと同じく引いている。
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】
iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
結婚式の翌朝、夫に「皇太子の愛人だろう」と捨てられました――ですが私は、亡き国王の娘です
柴田はつみ
恋愛
母の遺した薬草店を守りながら、慎ましく暮らしていたアンリ。
そんな彼女に求婚してきたのは、国内でも名高い騎士にして公爵家当主、アルファだった。
真っすぐな想いを向けられ、彼を信じて結婚したアンリ。
けれど幸せなはずの結婚式の翌朝、夫は冷たく言い放つ。
「君を愛していると本気で思っていたのかい? 」
彼はアンリが第一皇太子と深い仲にあり、自分との結婚は身を隠すための偽装だと誤解していたのだ。
アンリは実は、亡き国王の婚外子。
皇太子にとっては、隠して守らなければならない妹だったのである。
「三年間、誕生日のたびに記録していたら、彼氏より先に幸せになれました」 ──全部、メモしてたんで。
まさき
恋愛
三年間、瀬川凛は笑い続けた。
誕生日のディナーを予約しても、記念日にプレゼントを用意しても——彼氏の柊悠樹は、幼馴染の水瀬奈々からLINEが届くたびに、「すぐ戻る」と言って消えた。
戻ってくるのは、いつも二〜三時間後。
「大丈夫だよ、気にしないで」
凛はそう言い続けた。ただし——スマホのメモには、全部記録していた。
日付、時刻、状況。感情は一切書かなかった。ただ、事実だけを。
三年分の記録が積み重なったころ、悠樹は言った。
「奈々と付き合いたい。別れよう」
凛は静かに微笑んで、答えた。
「——わかった」
そしてその翌週、悠樹の会社のライバル企業への転職が決まった。
内定通知は、別れ話の一ヶ月前に届いていた。
泣かなかったのは、強かったからじゃない。
ずっと、準備していたからだ。
「お前がいると息が詰まる」と追放された令嬢——翌週から公爵家の予定が全て狂った
歩人
ファンタジー
クラリッサは公爵家の日程管理を一手に担う令嬢。前世の社畜経験を活かし、行事計画、来客対応、予算管理まで完璧にこなしていた。
だが婚約者ヴィクトルは言った。「お前がいると息が詰まる。もっと華やかな女がいい」
追放されたクラリッサが去った翌週、公爵家の予定が全て狂い始める。
舞踏会の招待状は届かず、外交晩餐会の料理は手配されず、決算書類は行方不明。
一方クラリッサは、若き領主の元で「定時退社」という夢を叶えていた。
「もう、残業はしません」
「仲睦まじい夫婦」であるはずのわたしの夫は、わたしの葬儀で本性をあらわした
ぽんた
恋愛
サヤ・ラドフォード侯爵夫人が死んだ。その葬儀で、マッケイン王国でも「仲睦まじい夫婦」であるはずの彼女の夫が、妻を冒涜した。その聞くに堪えない本音。そんな夫の横には、夫が従妹だというレディが寄り添っている。サヤ・ラドフォードの棺の前で、夫とその従妹はサヤを断罪する。サヤは、ほんとうに彼らがいうような悪女だったのか?
※ハッピーエンド確約。ざまぁあり。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。
本の虫な転生赤ちゃんは血塗りの宰相の義愛娘~本の世界に入れる『ひみちゅのちから』でピンチの帝国を救ったら、冷酷パパに溺愛されてます
青空あかな
ファンタジー
ブラック企業に勤める本の虫でアラサーOLの星花は、突然水に突き落とされた衝撃を感じる。
藻掻くうちに、自分はなぜか赤ちゃんになっていることを理解する。
溺死寸前の彼女を助けたのは、冷徹な手腕により周囲から「血塗りの宰相」と恐れられるアイザック・リヴィエール公爵だった。
その後、熱に浮かされながら見た夢で前世を思い出し、星花は異世界の赤ちゃんに転生したことを自覚する。
目覚めた彼女は周囲の会話から、赤ちゃんの自分を川に落としたのは実の両親だと知って、強いショックを受けた。
前世の両親もいわゆる毒親であり、今世では「親」に愛されたかったと……。
リヴィエール公爵家の屋敷に連れて行かれると、星花にはとても貴重な聖属性の魔力があるとわかった。
アイザックに星花は「ステラ」と名付けられ彼の屋敷で暮らすようになる。
当のアイザックとはほとんど会わない塩対応だが、屋敷の善良な人たちに温かく育てられる。
そんなある日、精霊と冒険する絵本を読んだステラはその世界に入り込み、実際に精霊と冒険した。
ステラには「本の世界に入り込み、その本の知識や内容を実際に体験したように習得できる特別な力」があったのだ。
彼女はその力を使って、隣国との条約締結に関する通訳不在問題や皇帝陛下の病気を治す薬草探索など、様々な問題を解決する。
やがて、アイザックは最初は煩わしかったはずのステラの活躍と愛らしさを目の当たりにし、彼女を「娘として」大切に思うようになる。
これは赤ちゃんに転生した本好きアラサーの社畜OLが、前世の知識と本好きの力を活かして活躍した結果、冷徹な義父から溺愛される話である。
生贄として捧げられた「忌み子」の私、あやかし皇帝の薬膳料理番になります ~呪いで拒食症の白虎陛下は、私のおかゆに胃袋を掴まれたようです~
腐ったバナナ
恋愛
実家の「一条家」で霊力なしの忌み子として虐げられてきた凛。生贄としてあやかしの国・天厳国へ捧げられた彼女を待っていたのは、呪いによって食事がすべて「泥の味」に変わる孤独な白虎皇帝・白曜だった。
死を覚悟した凛だったが、前世で培った「管理栄養士」の知識は、あやかしの国では伝説の「浄化の力」として目醒める!
最高級の出汁、完璧な栄養バランス、そして食べる者を想う真心。凛が作る一杯の「黄金の粥」が、数年間不食だった王の味覚を劇的に呼び起こした。
「美味い。……泥ではない味がする」
胃袋を掴まれた皇帝の態度は一変。冷酷な暴君から、凛を誰にも触れさせたくない「超絶過保護な独占欲の塊」へと豹変してしまい……!?
嫌がらせをする後宮の妃や、手の平を返して擦り寄る実家を「料理」と「陛下からの愛」で一掃する、美味しくて爽快な異世界中華風ファンタジー。