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第2章 水の都アクアエデンと氷の城

クランハウスを買おう2

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全員の猛反対にカガリは目を見開いている。
そして契約書の金額を確認するとたしかに高いが、ものすごく高いが!!
変則クエストで全員が莫大な資金を手に入れている。
全員から3分の2を集めれば買える金額となるのだ。
もちろん、リフォームは必要なしで即入居可能。
しかも、オーナーはかなりの老体で維持がもう出来ない、管理ができないというのだ。
金額を安めに設定、条件が一人でいいからクリーンの魔法を覚える事だけだった。

「………………それだけなの?それだけでこのお宿が買えるの?」

「あぁ」

アレイスターがフラフラと近づき契約書を見る。
それにつられて全員がフラフラと近づいた。

『ほんとだ、信じられない』

「今後のことを考えて、ここは最適じゃないかと思ってな。どうだ?」

『賛成!はい!お金!!!』

「お…おぉ…」

3分の2どころが全部渡してきたクラメン達に、カガリは引きながらとりあえず受け取る。

「ゲームならではよねー!こんな所かえるなんて!」

セラニーチェが笑いながら調度品を見ていう。

「では、クリーンはどなたが使えますか?」

オーナーが優しく笑いながら言うと、全員がキョロキョロと周りを見渡した。

「……クリーン、ってなんですか?」

「片付けの魔法だ。それをしたら一瞬で部屋が綺麗になる。」

隣にいたグレンの袖を軽く引っ張り注意を向けてコソッと聞くと、グレンはスイの困った表情にフッと笑みを浮かべた。
そしてスイが聞いた同じ音量で返事が返ってくる。
ふむふむ、なるほど。お掃除魔法。
たしかに、宿を利用した後片付けを魔法で片付けたら楽だし綺麗。
広いし部屋数あるものね。
カガリはオーナーの話を聞き全員視線を向ける。


「最低4人は欲しい。クエストやインしてない時を考えて」

「確かに」

全員が頷くと、スイが手を挙げた。

「私、クリーンの魔法作ります」

「作る?」

「はい、作曲で!すぐには無理ですけど近々使えるようにしますね」

「……………作曲まじか、魔法作れるとか…」

奏者の実力はまだ未知数、スイの言葉にびっくりする人多数。

その他、ナズナとデオドールが使えるためここはクリアとなった。
ローテーションで出来るように、いつかは全員修得すると話し合いの結果決まった事に全員が納得した。

「では、末永く使ってください。大切にしていたものです、よろしくお願いします」

オーナーはお金を渡され、実際にクリーンの魔法を見たあと満足そうに宿を出ていった。




豪華なお宿を手に入れた!!!





「信じられないわぁ、こんないい所を買えるだなんてー」

使ってなかった室内の為、花はいけてないしもっと手を尽くす所はある。
料理人ももちろん必須だし宿が凄い分その腕も気になるだろう。
あかねのハードルが上がった!!!

「とりあえず、1階の部屋を自室にしようと思う。」

「賛成!あたし、この部屋がいいわぁ」

暖色系で統一された部屋を開けて言うアレイスター。
実は目をつけていた。
柔らかな雰囲気が好きなようだ。
それぞれが部屋を見て決めていく、スイは壁紙から何から綺麗な花で飾られた部屋を気に入った。
ゴテゴテしてるのではなく、あっさり綺麗めな部屋だ。

中に入りベッドに座って室内を見る。
柔らかなスプリングが体を沈ませるが、弾力がありフワフワだ。

「決まったか?」

「カガリさん!はい、ここがいいです!!」

「よし、スイはそこなー」

カガリは頷き次の部屋に向かった。
他の人の部屋割りを確認するためだ。

「凄いなぁ、こんな部屋に住めるなんて。凄いなぁ…」





「ファーレンはそこか?」

ファーレンが佇むのは白一色の部屋だった。
無表情に室内を見るファーレンの目は暗い。
そっとベッドに触れている時にカガリに言われて慌てて振り返る。

「わ!びっくりした!!」

「お。悪かったな」

「いえ!………部屋、あと何処ありましたっけ?」

「ん?後は………」

指示された部屋へと歩くファーレン。
ちらっと白の部屋を見たがすぐに視線を反らせた。

「……あの部屋は嫌いか?」

白と言ってもシルクで出来た高級な部屋だ。文句なく1級品

「……嫌、というか…病室みたいで。ここでまで病室は嫌だなぁ…と。」

「……病気か?……っと、悪いリアルを聞いちまって」

「え!いえ!大丈夫です!俺もすいません」

苦笑して言ったファーレンは、すぐに次の部屋をみる。
そんなファーレンをカガリは目を細めて見ていた。

「………なんか、あるんだよなぁ」

色々問題を起こしているが、どこか突き放せない雰囲気がある子だとは思っていた。
無理矢理クランに入ったことも、クラメンであるスイに突っかかる所も、そのままクラメンに入れて居ていいのか、カガリは葛藤していた。
セラニーチェやリィン、グレン達でさえたまに顔を歪めてファーレンを見ている。
本当は様子を見る必要もないだろうが、気付かないくらいに顔を歪めてスイを見ているのだ。

気になるのだ、ファーレンが。
スイの事もあるがここで突き放していいんだろうか。

「………どうしたの?」

「アレイスター」

「あの子、気になるの?」

じっとファーレンを見ていたのを気づいたのだろう、アレイスターが近づいてきて話しかけた。
部屋を見て回る騒音が聞こえる中2人はとても静かだ。

「………まぁな」

「入ってからそんなに経ってないけど、悪い子じゃないのよね。よく話を聞くし、スイちゃん以外には言葉使いも丁寧な方よ」

まぁ、そこら辺に気づく前にスイちゃんへの態度が目立っちゃうんだけど
そう言うアレイスターはファーレン、そしてスイを良く見ていた。
クエストを一緒にしていないアレイスターだが、リアルの本職はカウンセラー。
人を見ることが仕事なのだ。

「………あたしから話をするわ」

ね?笑って言ったアレイスターに、カガリは苦笑して頷いた。

「悪い、リーダーは俺なのに」

「あら、いいのよー!助け合いましょ?仲間でしょ?それぞれができることをしたらいいのよ!ほら、見て?」

黙って部屋を見るファーレンにデオドールとイズナが近づき何かを話している。
少し困った様子のファーレンは次第に笑みを浮かべていった。

「みんながみんな助け合うのよ、それが私たちフェアリーロードでしょ?」

「………そうだな」

「それにね、ボス戦の様子聞いたんだけど、ファーレンねスイちゃんをちゃんと守ってたみたいよ」

「!!へぇ……」

「悪い子じゃないのよ。」
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