【完結】英雄小学生アフター~氷の女王と春の歌姫~

森原ヘキイ

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第四章 ケーキと優しさ、いただきます

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「そうですか、あのときの……」

 ケーキ職人として、ケーキの味を褒められることは、もちろん嬉しいことだろう。けれど、ケーキの存在そのものが誰かの喜びの一因になることだって、同じくらいうれしいに違いない。大きな顔を大きな手で覆い隠して震えているゴンタがパンダのように可愛らしく見えて、マコトまで幸せな気持ちになった。

『パパとママのけっこんきねんびに、かわいいおにんぎょうのケーキをつくってくれてありがとうございました。クリスマスになったら、パパとママとうまれたばかりのおとうとといっしょにケーキをうけとりにいきます。またおいしいケーキをつくってください』

 とどめとばかりに、タイシが新しい立体画像を表示する。きっと、その子どもから預かったメッセージなのだろう。丸いフォントの文字がカラフルに輝きながら、空中をダンスしている。

「どうだ、ゴンタ。ここまで期待されてしまっては、とても握手会などに行けんな」

 まるで悪代官のようにニヤリと、タイシが口の端を上げる。いいことをしているはずなのに、なぜかいつも悪い顔をするタイシの不器用さが面白い。

「……っ、はい! 不肖、茶摘ゴンタ! 全力でケーキを作らせていただきます!」

 うっすらと目の端に涙をにじませながら、ゴンタが大きく何度もうなずいた。そんなゴンタの隣で、笑顔の仲間たちと顔を見合わせたマコトは、自分のデバイスの画面に視線を落とす。

 二十六という数字が、二十七になった。たった今、話に出ていた子どもの予約分が加算されたのだろう。たかがひとつ。されど、ひとつ。この一という数字の重さを、この場にいる全員が知っている。当初の五十という目標は達成できなかったが、なんとか参加券を譲ってもらうことはできそうだ。ほっと安堵の息をはくマコトの目の前で――ふと、明らかな異常が発生する。
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