【完結】英雄小学生アフター~氷の女王と春の歌姫~

森原ヘキイ

文字の大きさ
52 / 124
第四章 ケーキと優しさ、いただきます

4-11

しおりを挟む
「……ん?」

 二十七だった数字が、二十八になった。二十九、三十、三十一と、マコトの瞬きよりも早く、数字がどんどん増えていく。

「え、あの、タイシくん!? なんかケーキの予約数がおかしなことになってるんだけど!?」

 マコトの反応も、おそらくは数字の増殖も、タイシにとっては想定内なのだろう。いつも通り眼鏡を上げる姿に、まったく動じた様子はない。

「世の中には酔狂な人間が多い。キャッチーな画像に感動的なストーリーをつけてやれば、おのずと注目が集まる」
「つ、つまり?」
「サッキノ写真ニサッキノ実話ヲツケテ、ネットニ流シマシタ。コノオ店ノ名前ト地図ト、クリスマスケーキノ予約受付中トイウ情報ヲ添エテ」

 優秀な執事が、デバイスの中から主人の台詞を補足してくれる。つまり、マコトやミサキ、ユウやエリヤが試食販売を頑張っている間、タイシはネットを使って予約を取っていたのだ。四人にも黙って、たった一人で。

「それならそうと、ちゃんと説明しなさいよね。がっかりして損したじゃない」
「サプライズのつもりなのか知らねぇが、振り回されるこっちの身にもなりやがれ」

 ミサキとエリヤがタイシに不満をぶつけている間にも、数字は目まぐるしく変化していく。やがて、とある数字に辿り着くと、ぴたっと動きを止めた。その数――きっかり、五十。

「これでなんの文句もないな、ゴンタ。大人しく参加券を渡してもらおう」

 なぜか最後まで悪役然とした態度を貫いたタイシは、そう言って満足そうに笑ったのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート

谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。 “スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。 そして14歳で、まさかの《定年》。 6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。 だけど、定年まで残された時間はわずか8年……! ――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。 だが、そんな幸弘の前に現れたのは、 「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。 これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。 描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。

ノースキャンプの見張り台

こいちろう
児童書・童話
 時代劇で見かけるような、古めかしい木づくりの橋。それを渡ると、向こう岸にノースキャンプがある。アーミーグリーンの北門と、その傍の監視塔。まるで映画村のセットだ。 進駐軍のキャンプ跡。周りを鉄さびた有刺鉄線に囲まれた、まるで要塞みたいな町だった。進駐軍が去ってからは住宅地になって、たくさんの子どもが暮らしていた。  赤茶色にさび付いた監視塔。その下に広がる広っぱは、子どもたちの最高の遊び場だ。見張っているのか、見守っているのか、鉄塔の、あのてっぺんから、いつも誰かに見られているんじゃないか?ユーイチはいつもそんな風に感じていた。

星降る夜に落ちた子

千東風子
児童書・童話
 あたしは、いらなかった?  ねえ、お父さん、お母さん。  ずっと心で泣いている女の子がいました。  名前は世羅。  いつもいつも弟ばかり。  何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。  ハイキングなんて、来たくなかった!  世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。  世羅は滑るように落ち、気を失いました。  そして、目が覚めたらそこは。  住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。  気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。  二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。  全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。  苦手な方は回れ右をお願いいたします。  よろしくお願いいたします。  私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。  石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!  こちらは他サイトにも掲載しています。

【完結】エス★まほ ~エスパーと魔法使い、出会う~

みなづきよつば
児童書・童話
とあるエスパーいわく、「魔法使い? そんなのおとぎ話だろ」。 とある魔法使いいわく、「エスパー? そんな人間いないでしょ」。 そんなエスパーと魔法使いの少年ふたりが……、出会っちゃった!! ※※※ 完結しました! よかったら、 あとがきは近況ボードをご覧ください。 *** 第2回きずな児童書大賞へのエントリー作品です。 投票よろしくお願いします! *** <あらすじ> 中一の少年リキヤは、超能力者(エスパー)だ。 リキヤはさびしさから、同じエスパー仲間を探していたが、 ひょんなことから、同じく中一の少年マナトとテレパシーがつながる。 しかし、妙なことに、マナトは自身のことを「魔法使い」と言っていて……? *** ご意見・ご感想お待ちしてます!

異世界転移が決まってる僕、あと十年で生き抜く力を全部そろえる

谷川 雅
児童書・童話
【第3回きずな児童書大賞 読者賞受賞作品】 「君は25歳の誕生日に異世界へ飛ばされる――準備、しておけよ」 そんなリアルすぎる夢を見たのは、中学3年・15歳の誕生日。 しかも、転移先は「魔法もあるけど生活水準は中世並み」、しかも「チート能力一切なし」!? 死ぬ気で学べ。鍛えろ。生き抜け。 目指すのは、剣道×農業×経営×工学を修めた“自己完結型万能人間”! 剣道部に転部、進学先は国立農業高校。大学では、園芸、畜産・農業経営・バイオエネルギーまで学び、最終的には油が採れるジャガイモを発見して学内ベンチャーの社長に―― そう、全部は「異世界で生きるため」! そしてついに25歳の誕生日。目を覚ますと、そこは剣と魔法の異世界。 武器は竹刀、知識はリアル、金は……時計を売った。 ここから始まるのは、“計画された異世界成り上がり”! 「魔法がなくても、俺には農業と剣がある――」 未来を知る少年が、10年かけて“最強の一般人”になり、異世界を生き抜く! ※「準備型転移」×「ノンチートリアル系」×「農業×剣術×起業」異色の成長譚!

9日間

柏木みのり
児童書・童話
 サマーキャンプから友達の健太と一緒に隣の世界に迷い込んだ竜(リョウ)は文武両道の11歳。魔法との出会い。人々との出会い。初めて経験する様々な気持ち。そして究極の選択——夢か友情か。  大事なのは最後まで諦めないこと——and take a chance! (also @ なろう)

【3章】GREATEST BOONS ~幼なじみのほのぼのバディがクリエイトスキルで異世界に偉大なる恩恵をもたらします!~

丹斗大巴
児童書・童話
 幼なじみの2人がグレイテストブーンズ(偉大なる恩恵)を生み出しつつ、異世界の7つの秘密を解き明かしながらほのぼの旅をする物語。  異世界に飛ばされて、小学生の年齢まで退行してしまった幼なじみの銀河と美怜。とつじょ不思議な力に目覚め、Greatest Boons(グレイテストブーンズ:偉大なる恩恵)をもたらす新しい生き物たちBoons(ブーンズ)とアイテムを生みだした! 彼らのおかげでサバイバルもトラブルもなんのその! クリエイト系の2人が旅するほのぼの異世界珍道中。  便利な「しおり」機能を使って読み進めることをお勧めします。さらに「お気に入り登録」して頂くと、最新更新のお知らせが届いて便利です! レーティング指定の描写はありませんが、万が一気になる方は、目次※マークをさけてご覧ください。

「いっすん坊」てなんなんだ

こいちろう
児童書・童話
 ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。  自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・           

処理中です...