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2.ヒノモトオンライン
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顔を上げた僕は、思わず二度見というものをしてしまった。まるでリアクションの大きい芸人さんのコントみたいだけど、それくらい驚いたんだから仕方ない。
「書生風衣装だって。カッコいいでしょ」
「カッコいいよ! え、どうしたの? 装備を新しくしたの?」
袴姿の中にスタンドカラーの白ワイシャツを着るという、いわゆる大正時代の代表的なスタイルで登場したメイくんは文句なしにカッコよかった。落ちついた淡い空色の着物は青い瞳によく映えるし、その上に羽織っている袖なしのマントも、黒というよりは灰に近い色なので柔らかい印象を受ける。
戦闘時の凛とした鎧姿も似合っていたけど、目の前にいるメイくんは穏やかさと涼やかさが前面に出ていて、むしろこっちのほうが現実世界の彼の雰囲気に近い気がした。
「特コスだよ。夏樹だって、きょうのログインのときにもらってるはずだけど」
「トッコスって……ああ、特殊コスチュームのこと? そういえば、運営からメールが来てたかも」
特殊コスチューム――略して《特コス》は、ふだん身につけている装備品とはまた別枠の、いわゆるファッションアイテムだ。攻撃力や防御力が上がったりするわけじゃないので、物怪と戦うときには普通は着ないものだけど、街の中などの安全な場所では特コスを着ているアバターを見かけることも多かった。
特コスの主な入手方法は、たしか三つ。
一つ。ゲーム内通貨を使って、ヒノモト各地の服飾店で購入すること。
二つ。物怪退治などの依頼を達成して、報酬として手に入れること。
最後は、そう。メイくんが、さっき言っていた。このゲームを運営している会社が、プレイヤーへのプレゼントとして特別に配布してくれることがあるらしい。
「ちょっと確認してもいい?」と、ひとこと断ってから、開いたままだったメニューウインドウへ視線を落とす。新着マークが点滅しているメールアイコンに意識を向けると、今までに送られてきたメールのタイトルがずらりと表示された。僕はその中でも一番上の、一番新しい、未開封状態のメールを開く。
「書生風衣装だって。カッコいいでしょ」
「カッコいいよ! え、どうしたの? 装備を新しくしたの?」
袴姿の中にスタンドカラーの白ワイシャツを着るという、いわゆる大正時代の代表的なスタイルで登場したメイくんは文句なしにカッコよかった。落ちついた淡い空色の着物は青い瞳によく映えるし、その上に羽織っている袖なしのマントも、黒というよりは灰に近い色なので柔らかい印象を受ける。
戦闘時の凛とした鎧姿も似合っていたけど、目の前にいるメイくんは穏やかさと涼やかさが前面に出ていて、むしろこっちのほうが現実世界の彼の雰囲気に近い気がした。
「特コスだよ。夏樹だって、きょうのログインのときにもらってるはずだけど」
「トッコスって……ああ、特殊コスチュームのこと? そういえば、運営からメールが来てたかも」
特殊コスチューム――略して《特コス》は、ふだん身につけている装備品とはまた別枠の、いわゆるファッションアイテムだ。攻撃力や防御力が上がったりするわけじゃないので、物怪と戦うときには普通は着ないものだけど、街の中などの安全な場所では特コスを着ているアバターを見かけることも多かった。
特コスの主な入手方法は、たしか三つ。
一つ。ゲーム内通貨を使って、ヒノモト各地の服飾店で購入すること。
二つ。物怪退治などの依頼を達成して、報酬として手に入れること。
最後は、そう。メイくんが、さっき言っていた。このゲームを運営している会社が、プレイヤーへのプレゼントとして特別に配布してくれることがあるらしい。
「ちょっと確認してもいい?」と、ひとこと断ってから、開いたままだったメニューウインドウへ視線を落とす。新着マークが点滅しているメールアイコンに意識を向けると、今までに送られてきたメールのタイトルがずらりと表示された。僕はその中でも一番上の、一番新しい、未開封状態のメールを開く。
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