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「ヤンキーDKの献身」番外編
Morning Relay 5
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午後10時の東京。
突然大きなくしゃみが出て、空乃は鼻をこすった。
「冷えたかな」
古いアパートは底冷えがする。空気を入れ替えていた窓を閉めて、カーディガンを羽織った。
三が日を過ぎると、新年の特別感はなくなり日常が始まる。
恋人の行人は公務員で、今日が仕事始めだ。
仕事熱心な行人にしては珍しく、「外、寒い。働きたくない……」と憂鬱そうな顔をしていたが、朝食に丁寧に出汁を取った卵焼きを出してやると、「おいしい」とふわんと笑っていた。
あの顔は可愛かった。食事中に思わず欲情してしまったほどに。
誰が見ているわけでもないが、空乃は思わず緩んだ頬を引き締めた。
部屋の掃除と洗濯を済ませると、ダウンを着込んで外に出た。
大学はまだ冬休みなので、休み中にアパートのあちこちを修繕している。
今夜は高校のクラスメイトとのオンライン飲みがあるので、それまでに、古くなったふすまを張り替える計画だ。
空乃と行人の部屋を合わせて、計8枚。結構な作業だが、DIYは得意だし好きだ。
ホームセンターのふすま紙コーナーに行くと、思いのほか種類が多かった。
定番の白一色から、カラーふすまや和柄に加え、ディズニーやアニメのキャラクター柄まである。
8枚分だから種類は取り混ぜたいが、桜や紅葉は季節を選ぶから避けたい。
迷っていると、エプロン姿の女性店員が声をかけてくれた。
「何かお探しでしょうか?」
「ふすまを張り替えたくて。派手じゃなくて、季節を選ばないものがいいんですが」
女性店員は、答える空乃の顔をまじまじと見つめてくる。あまりに不躾な視線に、空乃は眉を寄せた。
「あの、俺の顔に何か?」
「もしかして、三沢?」
突然名前を呼ばれ、空乃も店員の顔を見返す。化粧っけのない若い女性だ。
どこかで会っただろうか。
記憶を探る空乃に、店員は続けた。
「やっぱり三沢だ。雰囲気変わってるから最初気づかなかった。私、真奈美。覚えてない?」
「え、真奈美先輩?」
今度は三沢が凝視する番だった。
真奈美は高校の2年先輩だった。空乃が高1の時に告白されて、1か月だけ付き合った相手だ。
栗色に染めた髪をくるくるに巻いて、睫毛ばさばさのメイクとデコネイルをして、オシャレ番長と呼ばれていた真奈美だが、今はその面影は全くない。
髪は黒く短く、化粧もほとんどしていない。服装は、高校時代の真奈美だったら袖も通さなそうな黄色のポロシャツに、店名入りの真っ赤なエプロンだ。
「覚えてる?」
「覚えてるけど、見た目変わりすぎ。どういう心境の変化だよ」
心配になるほどの変わりようだが、真奈美の笑顔は健康的で幸せそうだ。
「大学入って、海外ボランティアに参加したりして、価値観変わったんだよね。三沢だって、色々変わったでしょ?」
真奈美は、高校時代は金髪だった空乃の髪を指した。その爪は短く、透明のマニキュアだけが塗られている。
「まあな」
荒れていた頃の自分は黒歴史なので返事を短く留めるが、真奈美はモトカノの特権とばかりに追い打ちをかけてくる。
「狂犬三沢が自分でふすまを張り替えるようになるなんてね」
「狂犬?」
「あんた、影でそう呼ばれてたのよ」
あまりのあだ名に空乃は深く溜め息をつく。
「恥ずかしすぎる」
「あはは。ま、青春なんてみんな恥ずかしいものよ。ほら、三沢の友達でピンクの髪の子いたじゃない?」
「小倉弥彦な」
「そうそう小倉君。あの子も可愛い顔して、ケンカ強かったじゃない。あだ名、殺戮の天使だったから」
真奈美は自分で言って爆笑しているが、あんまりなセンスだ。これは是非とも弥彦に教えてやろう。
「今夜スカイプ飲みするから、本人に伝えておく」
「私が言ったって言わないでね。けどあんたたち、まだ仲良いんだね。羨ましい友情だわ」
真奈美はそう締めくくって、ぽんと手を叩いた。
「さて、昔話はこれくらいにして、どのふすまにする?」
バイトリーダーだという真奈美のアドバイスは的確で、イメージを伝えただけで、無数のふすま紙から一瞬で数点の候補を絞ってくれた。
白無地、渋い和紙風、金魚、水面の月、たなびく雲。どれも行人が好きそうだ。
「こういうのもあるけど」
と笑いながら差し出された風神雷神の柄は丁重にお断りしたが。
8組のふすま紙を選び終えると、真奈美は薄い冊子を渡してくれた。
「張り替えのマニュアル。無料だからどうぞ」
「お、サンキュ。助かるわ」
作業要領はネットで調べていたが、ありがたく受け取っておく。
「張り替えの道具はあるの?」
「劇団で大道具のバイトやってっから、そこから借りてきた」
「そう」
頷きながら、真奈美は耳もとのイヤホンに手をあてた。業務連絡らしい。
すぐに行きますと小声で答えて、真奈美は空乃を見た。
「ごめん。呼ばれたから行かないと。あ、障子のりはあっちの棚よ」
気が利くことだ。知人であることを差し引いても、気持ちがいい接客だ。バイトリーダーに抜擢されるだけのことはある。
ここで会えたのも何かの縁だ。
空乃は真奈美に向き直って、頭を下げた。
「真奈美先輩。昔、付き合ってる時、ちゃんと大事にしなくてごめん」
別れた理由も思い出せないが、自分が誠実な彼氏ではなかったことだけは確かだ。
あの頃は、自分勝手で、告白されれば好きでもないのに付き合ってすぐに別れてを繰り返していた。
真奈美は懐かしそうに目を細めて、空乃を見つめた。
「三沢。いい男になったね」
「先輩も、いい女になったよ。今の方が、すげえ綺麗」
そう言うと、真奈美はくしゃっと顔をゆがめて笑った。
「会えて良かった。元気でね!」
手を振って、小走りに売り場を離れていった。見た目は変わっても、すっと背筋が伸びた後ろ姿は昔のままだった。
会計を済ませて外に出て、新年の空気を肺一杯に吸った。
予期せぬ邂逅は懐かしいような清々しいような不思議な気持ちをもたらし、不意に、行人に会いたくなった。
腕時計を見ると、12時ジャスト。東京国税局も昼休みだ。
「ふすま紙、売ってたよ。真っ白とか金魚柄とか何パターンか買った」
信号を待ちながら行人にメッセージを送ると、すぐに返信が来た。
「おつかれ。金魚、風情があっていいな」
「だろ? 楽しみにしてて」
「張り替え、頑張りすぎるなよ。残った分は週末、俺も手伝うから」
OKのスタンプを送って、少し迷ってから、メッセージを追加した。
「今、電話していい?」
既読になると同時に、コールが鳴る。
「空乃? どうした?」
「ユキちゃん。すげえ、好き。愛してる」
唐突な告白に、行人は少し笑ってから、「俺も好きだよ」と密やかに返してくれる。
それだけで、胸がじんわりと温かくなって、泣きたくなる。
好きな相手に好きだと伝えて、同じ言葉を返してもらえる。
それがどれほど幸福なことか、行人に出会うまで知らなかった。
突然大きなくしゃみが出て、空乃は鼻をこすった。
「冷えたかな」
古いアパートは底冷えがする。空気を入れ替えていた窓を閉めて、カーディガンを羽織った。
三が日を過ぎると、新年の特別感はなくなり日常が始まる。
恋人の行人は公務員で、今日が仕事始めだ。
仕事熱心な行人にしては珍しく、「外、寒い。働きたくない……」と憂鬱そうな顔をしていたが、朝食に丁寧に出汁を取った卵焼きを出してやると、「おいしい」とふわんと笑っていた。
あの顔は可愛かった。食事中に思わず欲情してしまったほどに。
誰が見ているわけでもないが、空乃は思わず緩んだ頬を引き締めた。
部屋の掃除と洗濯を済ませると、ダウンを着込んで外に出た。
大学はまだ冬休みなので、休み中にアパートのあちこちを修繕している。
今夜は高校のクラスメイトとのオンライン飲みがあるので、それまでに、古くなったふすまを張り替える計画だ。
空乃と行人の部屋を合わせて、計8枚。結構な作業だが、DIYは得意だし好きだ。
ホームセンターのふすま紙コーナーに行くと、思いのほか種類が多かった。
定番の白一色から、カラーふすまや和柄に加え、ディズニーやアニメのキャラクター柄まである。
8枚分だから種類は取り混ぜたいが、桜や紅葉は季節を選ぶから避けたい。
迷っていると、エプロン姿の女性店員が声をかけてくれた。
「何かお探しでしょうか?」
「ふすまを張り替えたくて。派手じゃなくて、季節を選ばないものがいいんですが」
女性店員は、答える空乃の顔をまじまじと見つめてくる。あまりに不躾な視線に、空乃は眉を寄せた。
「あの、俺の顔に何か?」
「もしかして、三沢?」
突然名前を呼ばれ、空乃も店員の顔を見返す。化粧っけのない若い女性だ。
どこかで会っただろうか。
記憶を探る空乃に、店員は続けた。
「やっぱり三沢だ。雰囲気変わってるから最初気づかなかった。私、真奈美。覚えてない?」
「え、真奈美先輩?」
今度は三沢が凝視する番だった。
真奈美は高校の2年先輩だった。空乃が高1の時に告白されて、1か月だけ付き合った相手だ。
栗色に染めた髪をくるくるに巻いて、睫毛ばさばさのメイクとデコネイルをして、オシャレ番長と呼ばれていた真奈美だが、今はその面影は全くない。
髪は黒く短く、化粧もほとんどしていない。服装は、高校時代の真奈美だったら袖も通さなそうな黄色のポロシャツに、店名入りの真っ赤なエプロンだ。
「覚えてる?」
「覚えてるけど、見た目変わりすぎ。どういう心境の変化だよ」
心配になるほどの変わりようだが、真奈美の笑顔は健康的で幸せそうだ。
「大学入って、海外ボランティアに参加したりして、価値観変わったんだよね。三沢だって、色々変わったでしょ?」
真奈美は、高校時代は金髪だった空乃の髪を指した。その爪は短く、透明のマニキュアだけが塗られている。
「まあな」
荒れていた頃の自分は黒歴史なので返事を短く留めるが、真奈美はモトカノの特権とばかりに追い打ちをかけてくる。
「狂犬三沢が自分でふすまを張り替えるようになるなんてね」
「狂犬?」
「あんた、影でそう呼ばれてたのよ」
あまりのあだ名に空乃は深く溜め息をつく。
「恥ずかしすぎる」
「あはは。ま、青春なんてみんな恥ずかしいものよ。ほら、三沢の友達でピンクの髪の子いたじゃない?」
「小倉弥彦な」
「そうそう小倉君。あの子も可愛い顔して、ケンカ強かったじゃない。あだ名、殺戮の天使だったから」
真奈美は自分で言って爆笑しているが、あんまりなセンスだ。これは是非とも弥彦に教えてやろう。
「今夜スカイプ飲みするから、本人に伝えておく」
「私が言ったって言わないでね。けどあんたたち、まだ仲良いんだね。羨ましい友情だわ」
真奈美はそう締めくくって、ぽんと手を叩いた。
「さて、昔話はこれくらいにして、どのふすまにする?」
バイトリーダーだという真奈美のアドバイスは的確で、イメージを伝えただけで、無数のふすま紙から一瞬で数点の候補を絞ってくれた。
白無地、渋い和紙風、金魚、水面の月、たなびく雲。どれも行人が好きそうだ。
「こういうのもあるけど」
と笑いながら差し出された風神雷神の柄は丁重にお断りしたが。
8組のふすま紙を選び終えると、真奈美は薄い冊子を渡してくれた。
「張り替えのマニュアル。無料だからどうぞ」
「お、サンキュ。助かるわ」
作業要領はネットで調べていたが、ありがたく受け取っておく。
「張り替えの道具はあるの?」
「劇団で大道具のバイトやってっから、そこから借りてきた」
「そう」
頷きながら、真奈美は耳もとのイヤホンに手をあてた。業務連絡らしい。
すぐに行きますと小声で答えて、真奈美は空乃を見た。
「ごめん。呼ばれたから行かないと。あ、障子のりはあっちの棚よ」
気が利くことだ。知人であることを差し引いても、気持ちがいい接客だ。バイトリーダーに抜擢されるだけのことはある。
ここで会えたのも何かの縁だ。
空乃は真奈美に向き直って、頭を下げた。
「真奈美先輩。昔、付き合ってる時、ちゃんと大事にしなくてごめん」
別れた理由も思い出せないが、自分が誠実な彼氏ではなかったことだけは確かだ。
あの頃は、自分勝手で、告白されれば好きでもないのに付き合ってすぐに別れてを繰り返していた。
真奈美は懐かしそうに目を細めて、空乃を見つめた。
「三沢。いい男になったね」
「先輩も、いい女になったよ。今の方が、すげえ綺麗」
そう言うと、真奈美はくしゃっと顔をゆがめて笑った。
「会えて良かった。元気でね!」
手を振って、小走りに売り場を離れていった。見た目は変わっても、すっと背筋が伸びた後ろ姿は昔のままだった。
会計を済ませて外に出て、新年の空気を肺一杯に吸った。
予期せぬ邂逅は懐かしいような清々しいような不思議な気持ちをもたらし、不意に、行人に会いたくなった。
腕時計を見ると、12時ジャスト。東京国税局も昼休みだ。
「ふすま紙、売ってたよ。真っ白とか金魚柄とか何パターンか買った」
信号を待ちながら行人にメッセージを送ると、すぐに返信が来た。
「おつかれ。金魚、風情があっていいな」
「だろ? 楽しみにしてて」
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OKのスタンプを送って、少し迷ってから、メッセージを追加した。
「今、電話していい?」
既読になると同時に、コールが鳴る。
「空乃? どうした?」
「ユキちゃん。すげえ、好き。愛してる」
唐突な告白に、行人は少し笑ってから、「俺も好きだよ」と密やかに返してくれる。
それだけで、胸がじんわりと温かくなって、泣きたくなる。
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