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番外編
2018: Naoki and Naoko
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2018年11月19日。
NHKワールドの天気予報が報じる渋谷は木枯らしが吹き荒れていかにも寒そうだ。
年中平均気温30度超えのシンガポールは今日も暑くて、近間と直樹はクーラーの効いた部屋でのんびりと休日を送っている。
土日はワークアウトに精を出したり買い物に出かけることが多いので、昼間にソファーでだらけることはあまりない二人だが、今日は特別だ。
近間は直樹の膝を枕にして、ソファに寝そべっている。
お祝いに便乗して昼からモエ・エ・シャンドンのミニボトルを開けたので、頬が桃色に染まっている。可愛い。
その柔らかな黒髪を左手で撫でながら、直樹は右手で忙しくスマホを操作する。
近間家家族ラインは昼前から通知が絶えることがない。
今朝方、近間家4男の保の妻、市子が女の子を出産したのだ。
歓喜のメッセージと、生まれたての赤ん坊、それを見守る近間の両親と保夫妻の写真が次々に送られてくる。
おくるみに包まれた、まだくしゃくしゃの顔の赤ん坊の写真を見て、先ほどから近間は悶えている。
「どうしよう直樹、可愛すぎる。なんだよ、この爪の小ささ」
直樹にとっては悶えている近間の方が可愛いし、すぐにでもベッドに連れ込みたい。
悶々としていると、近間がじとりと睨んでくる。
「おまえ、変なこと考えてるだろ」
近間の頭はぎりぎり股間には触れていないし、流石にまだ勃ってはいない。
「…う、否定しませんけど」
「赤ん坊に勃つとか」
「勃ってません。違いますよ、可愛い可愛い言ってるあんたが可愛いからでしょうが!」
「ふは。おまえ、本当、俺のこと好きだよな」
近間は楽しそうだ。リラックスしているこの人を見るのが好きだ。
今は大使館付の防衛駐在官という立場だが、ひとたび戦闘機に乗れば、命を懸けて訓練や任務に当たっている人だ。
だからこそ、肩の力を抜いているのを見ると、安心する。
「好きですよ。何回言わせるんですか」
何回どころかもう何百回も言っているでしょう。
そう付け足すと、近間は腹筋を使ってしなやかに上半身を起こし、直樹に口づけた。
馴染んだ唇の感触と近間の匂いに、直樹は相好を崩す。
お祝いラインの応酬も一区切りだし、もうこのまま夜まで、いや、朝までぐずぐずに抱き潰してしまいたい。
欲に駆られて近間のポロシャツの裾に手を差し入れ、胸の飾りに触れる。
条件反射のようにぴくりと震えたくせに、近間は直樹の手を押しとどめた。
「もうちょっと、後でな」
抵抗されたのが癪で、喉を絞り、近間が好きなとびきりの低い声を耳元に吹き込んだ。
「なんで。すげえ、したいのに」
「…いいから。ちょっと待てって」
だったらそんなに瞳を潤ませないで欲しい。
ここは押し切ってしまおうと、体勢を変えて近間の上にのしかかった時、スマホが着信を告げた。
「あれ、市子ちゃんだ」
近間宛の間違いではないだろうか。
近間を見遣ると、出ろよと視線で促してくる。
スマホをタップすると、久方ぶりの市子の声が流れ込んでくる。
「直樹君。おひさー」
「市子ちゃん、おめでとう。めっちゃ可愛いね。俺まですっげー嬉しい」
近間の弟の嫁だ。
保と市子がシンガポール旅行に来て初めて会って以来、直樹も二人のことを弟妹のように思っている。
「ふふ、ありがとう」
「疲れてない?」
「そりゃ疲れるよー。写真撮るために取り繕ってるけど、ボロボロ。でも、泣きそうなくらい幸せ」
「うん。おめでとう。女の人って、本当、すごいな」
「そう言ってくれるの、直樹君らしいね」
「あ、近間さんに変わろうか」
「ううん、まずは直樹君にお願いがあって」
電話越しの市子の声が真面目になる。
出産直後にどんなお願いがあるというのだろう。
直樹はソファの上で背筋を伸ばす。
「俺に出来ることなら」
「この子、ナオコって名づけたくて」
「うん」
音だけでは変換が出来なくて、直樹は曖昧に頷く。
ちらりと近間を見ると、うっとりするくらい穏やかな表情で微笑んでいる。
「ナオは直樹君の直だよ。直樹君の名前、この子に一字くれないかな」
「え」
スマホ越しの思いもよらぬお願いに心臓が鳴る。
「保君ともずっと相談してたんだけど、男の子でも女の子でも、直ってつけたいなって」
「それは、勿論俺も嬉しいけど。でも、なんで」
直樹は唾を飲み込む。
保と市子にとって初めての子供だ。
ラインで見た写真の背後には、両家の両親だって映っていた。
近間家にとっては二人目の、市子の椿原家にとっては待望の初孫だ。
もっと他に、由来とか画数とか。
どうして、俺の名を。
言葉を出せないでいると、がさがさと音がして、声の主が代わった。
「直樹? 久しぶり」
保だ。
感極まっているのだろう、いつもは力強い声が揺れている。
「保君。おめでとう。あの、俺の名前って」
「市子と前々から相談してたんだ。うちの親も、市子の親も賛成してくれてる。恵兄と直樹、籍入れたりできないだろ。だから、なんか、家族の一員みたいな印があってもいいかなって。ああ、印って変だな。証、いや、それも変か。悪い、うまく説明できなくて」
思いを伝えようとする保の声がじんと耳から浸透していく。
息が止まるくらい心臓が痛くなって、ぱたぱたと涙が流れ落ちた。
「あ、っ」
「直樹、大丈夫か?」
近間が差し出してくれたハンカチで涙と鼻水を拭い、直樹は応える。
「保君。市子ちゃん。ありがとう。すごく、すごく嬉しい。ありがとう」
スピーカーに変えたのか、市子と赤ん坊の泣き声が紛れ込んでくる。
「やーだ、泣かないでよ直樹君」
「名付け親として、近いうちに会いに来いよな。直子に」
保がそう締めくくり、ライン通話を終えても直樹の涙は止まらなかった。
近間の家族は、みんないつだって優しくて温かい。
こんな素敵な贈り物を貰えるなんて想像もしていなかった。
起き上がって、ハンカチに次いでティッシュを渡してくれる近間は、直樹の様子に驚いてもいない。
「っ、近間さん、俺」
感極まって近間の胸に飛び込むと、そのまま抱きしめられた。
「良かったな」
「知ってたんですか」
一定のリズムで背中を叩きながら、近間は頷いた。
「ちょっと前に相談されてた。おまえが喜ぶ顔見たくて、黙ってたんだよ。悪かったな」
「いえ、俺、こんなことしてもらえるなんて」
「感激しすぎだろ」
「感激するに決まってるだけじゃないですか」
「俺が生涯の相手って決めたんだから、おまえは保や市子ちゃんの義理の兄で、直子ちゃんの叔父だろ。名前を一字貰われる権利はアリアリだ」
そう言う近間も少し涙ぐんでいる。
互いの髪を指で梳きながら、直樹は近間の体温を堪能する。
「どうしよう、近間さん」
「なんだよ」
「俺、直子ちゃんに貢いでしまうかもしれません」
「あー、だろうな」
「俺の奢りたいリストトップテンには近間さんしかランクインしてなかったのに」
「何のリストだよ」
近間がくすくす笑うので、振動が伝わってきてくすぐったい。
「直子ちゃんが2位に入ってしまうかもしれません」
「おまえの稼いだ金なんだから好きにしろよ。けど、保はともかく市子ちゃんは厳しいから、娘へのプレゼント攻撃は拒否られると思うぞ」
「うっ、そうでしょうか。クマさんとかウサギさんの着ぐるみ着せて写真撮りたかったのに」
「でたよ、コスプレ趣味」
「絶対可愛いですよ!」
力絶する直樹を、近間は面白そうに見ている。
その目はいつもより和やかで慈愛に満ちている。
首を傾げると、近間の手がするりと直樹のシャツの下に潜り込んでくる。
「嬉しいよ。おまえがそんなに喜んでくれて。ありがとうな」
背骨をひとつずつ確認するようになぞられる。直樹は近間の頬を撫でて、唇を合わせた。
俺たちは自分の子供は持てないけれど。
家族の子供を愛で、その成長を見守ることはできる。
その機会を与えてくれた近間家の全員に心からありがとうを伝えよう。
NHKワールドの天気予報が報じる渋谷は木枯らしが吹き荒れていかにも寒そうだ。
年中平均気温30度超えのシンガポールは今日も暑くて、近間と直樹はクーラーの効いた部屋でのんびりと休日を送っている。
土日はワークアウトに精を出したり買い物に出かけることが多いので、昼間にソファーでだらけることはあまりない二人だが、今日は特別だ。
近間は直樹の膝を枕にして、ソファに寝そべっている。
お祝いに便乗して昼からモエ・エ・シャンドンのミニボトルを開けたので、頬が桃色に染まっている。可愛い。
その柔らかな黒髪を左手で撫でながら、直樹は右手で忙しくスマホを操作する。
近間家家族ラインは昼前から通知が絶えることがない。
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歓喜のメッセージと、生まれたての赤ん坊、それを見守る近間の両親と保夫妻の写真が次々に送られてくる。
おくるみに包まれた、まだくしゃくしゃの顔の赤ん坊の写真を見て、先ほどから近間は悶えている。
「どうしよう直樹、可愛すぎる。なんだよ、この爪の小ささ」
直樹にとっては悶えている近間の方が可愛いし、すぐにでもベッドに連れ込みたい。
悶々としていると、近間がじとりと睨んでくる。
「おまえ、変なこと考えてるだろ」
近間の頭はぎりぎり股間には触れていないし、流石にまだ勃ってはいない。
「…う、否定しませんけど」
「赤ん坊に勃つとか」
「勃ってません。違いますよ、可愛い可愛い言ってるあんたが可愛いからでしょうが!」
「ふは。おまえ、本当、俺のこと好きだよな」
近間は楽しそうだ。リラックスしているこの人を見るのが好きだ。
今は大使館付の防衛駐在官という立場だが、ひとたび戦闘機に乗れば、命を懸けて訓練や任務に当たっている人だ。
だからこそ、肩の力を抜いているのを見ると、安心する。
「好きですよ。何回言わせるんですか」
何回どころかもう何百回も言っているでしょう。
そう付け足すと、近間は腹筋を使ってしなやかに上半身を起こし、直樹に口づけた。
馴染んだ唇の感触と近間の匂いに、直樹は相好を崩す。
お祝いラインの応酬も一区切りだし、もうこのまま夜まで、いや、朝までぐずぐずに抱き潰してしまいたい。
欲に駆られて近間のポロシャツの裾に手を差し入れ、胸の飾りに触れる。
条件反射のようにぴくりと震えたくせに、近間は直樹の手を押しとどめた。
「もうちょっと、後でな」
抵抗されたのが癪で、喉を絞り、近間が好きなとびきりの低い声を耳元に吹き込んだ。
「なんで。すげえ、したいのに」
「…いいから。ちょっと待てって」
だったらそんなに瞳を潤ませないで欲しい。
ここは押し切ってしまおうと、体勢を変えて近間の上にのしかかった時、スマホが着信を告げた。
「あれ、市子ちゃんだ」
近間宛の間違いではないだろうか。
近間を見遣ると、出ろよと視線で促してくる。
スマホをタップすると、久方ぶりの市子の声が流れ込んでくる。
「直樹君。おひさー」
「市子ちゃん、おめでとう。めっちゃ可愛いね。俺まですっげー嬉しい」
近間の弟の嫁だ。
保と市子がシンガポール旅行に来て初めて会って以来、直樹も二人のことを弟妹のように思っている。
「ふふ、ありがとう」
「疲れてない?」
「そりゃ疲れるよー。写真撮るために取り繕ってるけど、ボロボロ。でも、泣きそうなくらい幸せ」
「うん。おめでとう。女の人って、本当、すごいな」
「そう言ってくれるの、直樹君らしいね」
「あ、近間さんに変わろうか」
「ううん、まずは直樹君にお願いがあって」
電話越しの市子の声が真面目になる。
出産直後にどんなお願いがあるというのだろう。
直樹はソファの上で背筋を伸ばす。
「俺に出来ることなら」
「この子、ナオコって名づけたくて」
「うん」
音だけでは変換が出来なくて、直樹は曖昧に頷く。
ちらりと近間を見ると、うっとりするくらい穏やかな表情で微笑んでいる。
「ナオは直樹君の直だよ。直樹君の名前、この子に一字くれないかな」
「え」
スマホ越しの思いもよらぬお願いに心臓が鳴る。
「保君ともずっと相談してたんだけど、男の子でも女の子でも、直ってつけたいなって」
「それは、勿論俺も嬉しいけど。でも、なんで」
直樹は唾を飲み込む。
保と市子にとって初めての子供だ。
ラインで見た写真の背後には、両家の両親だって映っていた。
近間家にとっては二人目の、市子の椿原家にとっては待望の初孫だ。
もっと他に、由来とか画数とか。
どうして、俺の名を。
言葉を出せないでいると、がさがさと音がして、声の主が代わった。
「直樹? 久しぶり」
保だ。
感極まっているのだろう、いつもは力強い声が揺れている。
「保君。おめでとう。あの、俺の名前って」
「市子と前々から相談してたんだ。うちの親も、市子の親も賛成してくれてる。恵兄と直樹、籍入れたりできないだろ。だから、なんか、家族の一員みたいな印があってもいいかなって。ああ、印って変だな。証、いや、それも変か。悪い、うまく説明できなくて」
思いを伝えようとする保の声がじんと耳から浸透していく。
息が止まるくらい心臓が痛くなって、ぱたぱたと涙が流れ落ちた。
「あ、っ」
「直樹、大丈夫か?」
近間が差し出してくれたハンカチで涙と鼻水を拭い、直樹は応える。
「保君。市子ちゃん。ありがとう。すごく、すごく嬉しい。ありがとう」
スピーカーに変えたのか、市子と赤ん坊の泣き声が紛れ込んでくる。
「やーだ、泣かないでよ直樹君」
「名付け親として、近いうちに会いに来いよな。直子に」
保がそう締めくくり、ライン通話を終えても直樹の涙は止まらなかった。
近間の家族は、みんないつだって優しくて温かい。
こんな素敵な贈り物を貰えるなんて想像もしていなかった。
起き上がって、ハンカチに次いでティッシュを渡してくれる近間は、直樹の様子に驚いてもいない。
「っ、近間さん、俺」
感極まって近間の胸に飛び込むと、そのまま抱きしめられた。
「良かったな」
「知ってたんですか」
一定のリズムで背中を叩きながら、近間は頷いた。
「ちょっと前に相談されてた。おまえが喜ぶ顔見たくて、黙ってたんだよ。悪かったな」
「いえ、俺、こんなことしてもらえるなんて」
「感激しすぎだろ」
「感激するに決まってるだけじゃないですか」
「俺が生涯の相手って決めたんだから、おまえは保や市子ちゃんの義理の兄で、直子ちゃんの叔父だろ。名前を一字貰われる権利はアリアリだ」
そう言う近間も少し涙ぐんでいる。
互いの髪を指で梳きながら、直樹は近間の体温を堪能する。
「どうしよう、近間さん」
「なんだよ」
「俺、直子ちゃんに貢いでしまうかもしれません」
「あー、だろうな」
「俺の奢りたいリストトップテンには近間さんしかランクインしてなかったのに」
「何のリストだよ」
近間がくすくす笑うので、振動が伝わってきてくすぐったい。
「直子ちゃんが2位に入ってしまうかもしれません」
「おまえの稼いだ金なんだから好きにしろよ。けど、保はともかく市子ちゃんは厳しいから、娘へのプレゼント攻撃は拒否られると思うぞ」
「うっ、そうでしょうか。クマさんとかウサギさんの着ぐるみ着せて写真撮りたかったのに」
「でたよ、コスプレ趣味」
「絶対可愛いですよ!」
力絶する直樹を、近間は面白そうに見ている。
その目はいつもより和やかで慈愛に満ちている。
首を傾げると、近間の手がするりと直樹のシャツの下に潜り込んでくる。
「嬉しいよ。おまえがそんなに喜んでくれて。ありがとうな」
背骨をひとつずつ確認するようになぞられる。直樹は近間の頬を撫でて、唇を合わせた。
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