Re:Play—未来より—

月森朱音

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幕前——ミライより、きみへ。

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 舞台はまだ、暗い。

 観客の気配はあるが、誰も声を出さない。
 照明は点かず、音も流れない。
 けれど、どこかで誰かが、見ている。

 いつも、そうだった。

 これから何かが始まる。
 けれど、それは《最初》ではない。
 同じセリフを、同じ順番で、同じ場所で。
 それでも、何かが少しずつ違う。

 演じる者も、演じさせる者も、
 誰が誰を演じていたのか、だんだん曖昧になっていく。

 今回こそは、正しく記録できるだろうか。

 そう願いながら、わたしはページを開く。
 幕は、もうすぐ上がる。

(暗転。
 静寂の中、ゆっくりとスポットが一つだけ灯る。
 舞台中央に、『記録者』の影が立つ。
 客席を見つめて、静かに語り始める)



 
ミライ《記録者》
 ……君は、誰?
 観客?記録者?
 それとも――
 《ここにいなかった誰か》?

(間をおいて、微笑むように)

 僕?僕は、ミライ。
 記録する者だよ。

 舞台は、整っている。
 照明も、音響も、すべて揃った。
 でも、肝心の《物語》は――
 まだ、始まっていないんだ。

(ひとつ深く息を吸って)

 準備は、どうだい?
 君さえよければ、すぐにでも。
 伝わらなかった、あの物語を。

 君の記憶のなかで、
 誰が泣いて、誰が嘘をついて、
 誰が最後に、舞台を降りたのか。

(スポットがわずかに明滅する。
 語りは静かに、けれど確信を持って)

 ちゃんと、見てて。
 この、最後の舞台が終わるその時まで。

(記録者=ミライは、ゆっくりと振り返る。
 袖の方へと歩き出しながら)

 さあ、始めようか。

 これが――僕たちの、Re:Playだ。

(影は、舞台袖へと消える)

 そして、あの夜から――
 《ひとり》だけが、戻らなかった。

(完全暗転)
 
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