現実を見ろ!〜リアルでは冷たい彼は夢の中で甘々〜

新田 ゆえ

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プロローグ 境目の日

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私、リリーシア・エクタール公爵令嬢とこの国の王太子である、カイド・グランダールは政略結婚をしている婚約関係である。

そしてそんな関係も、あと2年で正式な夫婦となるのだが。

それも愛のない夫婦に。

私は心から殿下を慕っている。

でも殿下は、私を愛していない。

いつも冷たい目で見下ろして。時には憎いものを見るかのように見下すこともある。

でも。

見てくれるならそれでいい。

冷たい目でも、憎いものを見るような目でも私をみてくれるならそれでいいのだ。

例えば、他の令嬢に目移りして、目線すら合わせてくれなかったら目も当てられない。

いやオヤジギャグじゃないからね。

本当にだよ。

それこそ最悪だ。

でもそんな日は遠くない。

なぜなら。

今年、高等部新2年生の殿下(16)は今年、17歳になるため、隣国に留学しに行ってしまうのだ。

私も同じく17歳なのだが、王族しか基本留学はしない。それも女となれば尚更。


あと2年でなるためわたしは王宮に住まわせてもらっているのだが、今年からは一緒に殿下と学校に通えないのだ...

寂しい。

そしてそれだけでなく、殿下がもし隣国のどこかの令嬢に惚れてしまったら...

私倒れてしまうかもしれない。



そんなわけで私の寂しい高等部二年生の生活はスタートしたのだった。

新学年初日...という感じはあまりない。

まあ通常通り授業して説明して終わるだけだからね。

そんなことより、殿下がこの学校にいないことにとても違和感を覚えた。

授業の内容すらあまり脳に入ってこない。

(ぼーーー...)

なにか空っぽのような気持ちになってしまう。

恋とは人を大きく変えるものなのだと、身をもって知った。



その夜。

私はとても幸せで辛い夢をみた。

殿下にとても大切そうに、まるで恋人かのように抱かれる夢だった。

最初はガラス細工を扱うかのように優しく触れ、だんだん、殿下は余裕と理性をなくしていく。

その様子はとてもリアルだった。

そう、感覚もとてもリアルだった。

足と足の間はぐちょぐちょに濡れ、情けないほどに甘い声が耳を震わせる。

それと同時に、殿下の何かこらえるような苦しげな声と小さく喘ぐような声が聞こえて耳が孕んでしまいそうだった。

そして、その顔もよく作られていて。

まるで本当に抱かれているかのように感じた。

部屋は知らない部屋だったけど、その暖かさはまるで殿下のいないこの寂しい生活を慰めてくれているかのような夢だった。



ハッと夢が覚める。

夢が続けばいいな、なんて初めて思ってしまった。

そして同時に続きを見たいな、なんて想いが溢れてしまった。

結果。

遅刻した。

嫌だって二度寝したら見れるかもじゃん?

わたしは恋とは人の夢や生活までもを変えてしまう恐ろしいものだと、改めて身をもって知ったのであった。


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