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2章

28話 意外と甘えたがり。

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『彗星の一団』が崩壊へと向かっていることは、サンタナも気づいいたはずだ。
もはや、ただ結束を呼び掛けても、元に戻りそうもない。

限界まで悪化した現状を打破するリーサルウェポンとして、ローズさんの名前を使った。

恩人である彼女の名前を出しておけば、少なくとも引き止められるだろうから。

はじめから、サンタナはメンバーを脱退させる気なんてなかったのだ。

…………と、すればだ。
俺は、嫌な予感に駆られその場で『広範探知(高)』を発動する。
よく知った人物の場所くらいなら、すぐに分かるはずなのだが、捕捉できない。

ソフィアも、ルリも、いなかった。

きっとローズさんからもらったクエストだと偽って、遠征にでも出たのだろう。

唯一ミリリだけは、街角のパン屋にいた。たぶんチーズ目当てだ。

うん、無理にでも連れて行こう。

「ありがとうございます、ローズさん。すいません、急いで行かないといけないところができたので、これで失礼します!」
「そうか。短い時間だが、いい息抜きになったよ。
…………その、私も協力したのだ。頭くらい撫でてくれてもいいんだ、けど」

ローズさんが、身体をもじもじと揺する。

彼女は、意外と甘えたがりだ。
これまでも、会うたびに、こっそりこんなふうに頭を差し出してきた。

ぽんぽん、と軽く叩いて、

「ありがとうございます。お仕事、ほどほどにしてくださいね」

俺は執務室を出んとする。

「……やる気が出たよ。ふふっ」

こんな声が、背後から聞こえた。普段の冴えた声ではなく、クリームほどに蕩けそうなそれだ。

うん、俺も魔力回復したかも。
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