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四章 スーパーバイザーとして
66話 引き継がれる思い
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「お姉ちゃん、それのこと言ってなかったと思って来たんだけど」
振り返ると、扉付近に美菜が立っている。
「……もしかせんくても、これ、美菜が使ってるん?」
「うん。私の練習用にちょうどいいサイズやったから。あかんかったかな?」
希美は強く首を横に振った。
「でも、これ捨ててたんやないの?」
「ううん。お母さんに聞いたら、倉庫に置いてたんやって。いつか、お姉ちゃんが使えるように、って」
「そんなん聞いてへんよ、うち」
だめだ、また目が潤んでしまう。
「言ったらお姉ちゃん無理するやろ。やから、お父さんが隠したんやって。……あのな、お姉ちゃん」
「どうしたん、改まって」
声が掠れるのを誤魔化して、姉の体裁を保つ。
「私さ、昔お姉ちゃんに憧れててん。いつも料理にひたむきで、一生懸命で。私が一人やったら、とてもそこまでできへんってところまでストイックにやる」
「……そんなこと」
「ううん、一人やったら絶対無理や。私、忍耐力ないもん。……でもね、この冷蔵庫使ってたら、変に思うかもしれんけど、お姉ちゃんと一緒に料理してる気になれてさぁ。今は、めっちゃやる気になってる」
美菜は、ぱちんと両手を合わせて目を瞑る。
「やから、もう少し貸しといてくれへん? お願い!」
そんな彼女を前に、希美はただ息を呑んだ。
美菜がそんな風に思ってくれていたとは、初めて知った。
そんな彼女を羨ましがって、避けてきた自分が恥ずかしくなった。
希美は妹の身体を引き寄せる。
「ちょっ、お姉ちゃん? どうしたん。うわ、泣きすぎやろ」
「しゃあないやんか。ごめんな、ありがとうな、美菜」
「ね、冷蔵庫は使ってもえぇの?」
彼女が若干戸惑いの色を見せつつ尋ねたのに、希美は渾身の力で頷いた。
振り返ると、扉付近に美菜が立っている。
「……もしかせんくても、これ、美菜が使ってるん?」
「うん。私の練習用にちょうどいいサイズやったから。あかんかったかな?」
希美は強く首を横に振った。
「でも、これ捨ててたんやないの?」
「ううん。お母さんに聞いたら、倉庫に置いてたんやって。いつか、お姉ちゃんが使えるように、って」
「そんなん聞いてへんよ、うち」
だめだ、また目が潤んでしまう。
「言ったらお姉ちゃん無理するやろ。やから、お父さんが隠したんやって。……あのな、お姉ちゃん」
「どうしたん、改まって」
声が掠れるのを誤魔化して、姉の体裁を保つ。
「私さ、昔お姉ちゃんに憧れててん。いつも料理にひたむきで、一生懸命で。私が一人やったら、とてもそこまでできへんってところまでストイックにやる」
「……そんなこと」
「ううん、一人やったら絶対無理や。私、忍耐力ないもん。……でもね、この冷蔵庫使ってたら、変に思うかもしれんけど、お姉ちゃんと一緒に料理してる気になれてさぁ。今は、めっちゃやる気になってる」
美菜は、ぱちんと両手を合わせて目を瞑る。
「やから、もう少し貸しといてくれへん? お願い!」
そんな彼女を前に、希美はただ息を呑んだ。
美菜がそんな風に思ってくれていたとは、初めて知った。
そんな彼女を羨ましがって、避けてきた自分が恥ずかしくなった。
希美は妹の身体を引き寄せる。
「ちょっ、お姉ちゃん? どうしたん。うわ、泣きすぎやろ」
「しゃあないやんか。ごめんな、ありがとうな、美菜」
「ね、冷蔵庫は使ってもえぇの?」
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