9 / 48
1章
9話 初デート(偽装)は二人乗りボート?
しおりを挟む
元カレにに似ているうえ、嫌いなゲームの苦手なキャラだったはずのエリゼオ王子と、なぜか同じボートの上で向き合っている。
緩やかな川の流れに、ふよふよと揺られている。
周りを見渡せば、ちらほら同じボートがあるが、乗っているのはカップルらしき男女ばかりだ。
たぶん私たちも、はたからみればその一部と思われているに違いない。
「こういったものには初めて乗ったけど、結構に心地いいものだね」
「私もです。でもすいません、オールを漕がせてしまって」
「そのことはいいよ。他のペアを見ていれば、男が漕ぐのが普通であることくらい分かるからね」
交わす会話も、恋人同士のそれであった。
作戦という意味では、まったく問題ない。
むしろ正解なのだけど、オールを漕ぐたびに彼の体がぐっとこちらに寄るのが、心臓に悪いったら。
その白銀の髪が揺れると柑橘系の香りまで漂ってきて、脳がくらりと揺れた。
その美しさは暴力だ。
好きとか嫌いとかの感情に関係なく、無差別に襲いかかってくる。
できる限り正面から彼を見ないようにと努めていたら、
「すまないね。こういったものに乗るのは初めてなもので、酔わせてしまったか?」
あらぬ誤解を生んでしまった。
そう思ってもらっていた方が楽なのだけど、彼が心配そうに眉を下げるのを見れば、嘘をつくのも憚られる。
「そうじゃなくて、えっと、思ったよりボートが小さかったので……」
「たしかに小さいな。それが故に新鮮でもあるけどね。僕がこれまで乗った中で、一番小さいかもしれない」
「えと、さすがは王子様ですね。いつもは護送船かなにかですか?」
「そうだね。船で移動するときは、いつも大船。それも仰々しいくらい警護がつく。広いのだけど、窮屈に感じることもあるね」
苦し紛れだった説明から、話が無事に転がりだしてホッと息をつく。
やっと余計な力が抜けて、自然と返事が浮かぶ。
「では今日抜け出してくるのも大変だったのでは?」
「いや、そうでもないさ。王城外にある図書館に篭るといえば、抜け出せる。
こんなところにいると気づかれたら叱られるだろうけど……好きな女性に会うためにはこれくらいやる。それが恋人というものじゃないかな」
少女漫画顔負けのキザな台詞に心の裾を揺すられかけたが、とどまった。
彼が言っているのはあくまで仮の関係のうえでの話だ。
その証拠に、問いかけてくる彼は茶会の場で見せていたのと同じ作り笑いをしている。
「別にいいですよ、私に気を使わなくても」
気づけば、もう口にしてしまっていた。
「密会している、という事実が大事なんです。形式だけで結構ですよ。私を「さん」付で呼ぶ必要もゼロです。たかが男爵令嬢です」
それに、モブだしね。婚約破棄されたて、捨てられ令嬢でもある。
「……はは、なかなか手厳しいな」
「逆ですよ、楽にしてください。要は私相手に好かれる必要はないってことです。無駄に疲れちゃうでしょう?」
余計なことを言ったかな、と後から思う。
が、それら全てが本音であった。
女性関係を強要され悩む彼に手を差し伸べるつもりが、私が足枷になったのでは無意味だ。
それに、私だって必要以上に絡むつもりはない。
オールを漕いでいたエリゼオの手が止まり、沈黙が数秒訪れる。
不思議と、すぐそこから鳴るはずの川音さえが遠くに聞こえた。
自分で作り出しておいてなにだが、気まずい。
シナリオライターだからって、自在に展開を操れるわけじゃない。
新たな話題を探るも、なにも言えずにいたときだ。
ガリッと、嫌な音が後ろから二人を裂いた。
「……え、今の音って」
振り返ってみれば、ボートが岸壁に衝突している。
しかも、川底の地形がいびつなのか、この辺りだけ妙な流れが発生しているのだ。
「……アニータさん。まずいかもしれない。全然戻れそうにないよ」
彼は必死にオールを漕ぐが、ボートはもう渦の中だ。
本来、ボートがこんなところに迷い込むとは想定していなかったのだろう。
緊急事態もいいところであった。
底の浅い川だ。
水の中に飛び込めば戻れるは戻れるが…………仮にも王子を乗せている。
難破は許されないし、救助を頼んで身バレするのも今はまだ避けたい。
「エリゼオ王子! オールを私にくださいっ!」
「……でも僕でも無理だったんだ。女の子の君がやってどうにかなるだろうかーー」
「してみせますよ」
「また自信がありそうだね? でも君も乗ったことがないんじゃ」
そう、アニータとしては。
でも、霧咲祥子としては何度か経験がある。
あの浮気元カレと行ったデートなのがムカつくけれど、しょうがない。
今は顔を思い出してしまった怒りすら力に変えて、私は受け取ったオールを必死で回転させる。
……存外に、あっさりと元の穏やかな流れへと戻ることができた。
つまり、どういうことだろう。
「もしかして、エリゼオ王子……」
「そうらしいね、僕の漕ぎ方がなってなかったみたいだ」
彼は口元を押さえるが、結局吹き出すようにして笑う。
ツボに入ったのか、ボードが揺れるくらい身体を震わせはじめた。
やっと、本当の意味での笑顔を見た気がした。微笑みの仮面ではなく、本当のエリゼオとして笑っている。
「ありがとう、助かったよ。えっと、アニータ。むしろ、どうしてこんなにうまいんだ?」
「えっ、えっと……よーく考えてみたら、昔乗ってたかもなぁと思いまして! ほら私、所詮男爵令嬢ですし? 庶民に混じって遊ぶこともあったようななかったような!」
「男爵令嬢だとしても、普通は女の子がオールを持たないよ」
右頬だけにできるえくぼが可愛らしい。
無理して繕った笑顔ではなく、今みたく自然と笑っていればいいのに。
そう思わされる笑顔だった。
緩やかな川の流れに、ふよふよと揺られている。
周りを見渡せば、ちらほら同じボートがあるが、乗っているのはカップルらしき男女ばかりだ。
たぶん私たちも、はたからみればその一部と思われているに違いない。
「こういったものには初めて乗ったけど、結構に心地いいものだね」
「私もです。でもすいません、オールを漕がせてしまって」
「そのことはいいよ。他のペアを見ていれば、男が漕ぐのが普通であることくらい分かるからね」
交わす会話も、恋人同士のそれであった。
作戦という意味では、まったく問題ない。
むしろ正解なのだけど、オールを漕ぐたびに彼の体がぐっとこちらに寄るのが、心臓に悪いったら。
その白銀の髪が揺れると柑橘系の香りまで漂ってきて、脳がくらりと揺れた。
その美しさは暴力だ。
好きとか嫌いとかの感情に関係なく、無差別に襲いかかってくる。
できる限り正面から彼を見ないようにと努めていたら、
「すまないね。こういったものに乗るのは初めてなもので、酔わせてしまったか?」
あらぬ誤解を生んでしまった。
そう思ってもらっていた方が楽なのだけど、彼が心配そうに眉を下げるのを見れば、嘘をつくのも憚られる。
「そうじゃなくて、えっと、思ったよりボートが小さかったので……」
「たしかに小さいな。それが故に新鮮でもあるけどね。僕がこれまで乗った中で、一番小さいかもしれない」
「えと、さすがは王子様ですね。いつもは護送船かなにかですか?」
「そうだね。船で移動するときは、いつも大船。それも仰々しいくらい警護がつく。広いのだけど、窮屈に感じることもあるね」
苦し紛れだった説明から、話が無事に転がりだしてホッと息をつく。
やっと余計な力が抜けて、自然と返事が浮かぶ。
「では今日抜け出してくるのも大変だったのでは?」
「いや、そうでもないさ。王城外にある図書館に篭るといえば、抜け出せる。
こんなところにいると気づかれたら叱られるだろうけど……好きな女性に会うためにはこれくらいやる。それが恋人というものじゃないかな」
少女漫画顔負けのキザな台詞に心の裾を揺すられかけたが、とどまった。
彼が言っているのはあくまで仮の関係のうえでの話だ。
その証拠に、問いかけてくる彼は茶会の場で見せていたのと同じ作り笑いをしている。
「別にいいですよ、私に気を使わなくても」
気づけば、もう口にしてしまっていた。
「密会している、という事実が大事なんです。形式だけで結構ですよ。私を「さん」付で呼ぶ必要もゼロです。たかが男爵令嬢です」
それに、モブだしね。婚約破棄されたて、捨てられ令嬢でもある。
「……はは、なかなか手厳しいな」
「逆ですよ、楽にしてください。要は私相手に好かれる必要はないってことです。無駄に疲れちゃうでしょう?」
余計なことを言ったかな、と後から思う。
が、それら全てが本音であった。
女性関係を強要され悩む彼に手を差し伸べるつもりが、私が足枷になったのでは無意味だ。
それに、私だって必要以上に絡むつもりはない。
オールを漕いでいたエリゼオの手が止まり、沈黙が数秒訪れる。
不思議と、すぐそこから鳴るはずの川音さえが遠くに聞こえた。
自分で作り出しておいてなにだが、気まずい。
シナリオライターだからって、自在に展開を操れるわけじゃない。
新たな話題を探るも、なにも言えずにいたときだ。
ガリッと、嫌な音が後ろから二人を裂いた。
「……え、今の音って」
振り返ってみれば、ボートが岸壁に衝突している。
しかも、川底の地形がいびつなのか、この辺りだけ妙な流れが発生しているのだ。
「……アニータさん。まずいかもしれない。全然戻れそうにないよ」
彼は必死にオールを漕ぐが、ボートはもう渦の中だ。
本来、ボートがこんなところに迷い込むとは想定していなかったのだろう。
緊急事態もいいところであった。
底の浅い川だ。
水の中に飛び込めば戻れるは戻れるが…………仮にも王子を乗せている。
難破は許されないし、救助を頼んで身バレするのも今はまだ避けたい。
「エリゼオ王子! オールを私にくださいっ!」
「……でも僕でも無理だったんだ。女の子の君がやってどうにかなるだろうかーー」
「してみせますよ」
「また自信がありそうだね? でも君も乗ったことがないんじゃ」
そう、アニータとしては。
でも、霧咲祥子としては何度か経験がある。
あの浮気元カレと行ったデートなのがムカつくけれど、しょうがない。
今は顔を思い出してしまった怒りすら力に変えて、私は受け取ったオールを必死で回転させる。
……存外に、あっさりと元の穏やかな流れへと戻ることができた。
つまり、どういうことだろう。
「もしかして、エリゼオ王子……」
「そうらしいね、僕の漕ぎ方がなってなかったみたいだ」
彼は口元を押さえるが、結局吹き出すようにして笑う。
ツボに入ったのか、ボードが揺れるくらい身体を震わせはじめた。
やっと、本当の意味での笑顔を見た気がした。微笑みの仮面ではなく、本当のエリゼオとして笑っている。
「ありがとう、助かったよ。えっと、アニータ。むしろ、どうしてこんなにうまいんだ?」
「えっ、えっと……よーく考えてみたら、昔乗ってたかもなぁと思いまして! ほら私、所詮男爵令嬢ですし? 庶民に混じって遊ぶこともあったようななかったような!」
「男爵令嬢だとしても、普通は女の子がオールを持たないよ」
右頬だけにできるえくぼが可愛らしい。
無理して繕った笑顔ではなく、今みたく自然と笑っていればいいのに。
そう思わされる笑顔だった。
11
あなたにおすすめの小説
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」
魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。
鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。
(な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?)
実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。
レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。
「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」
冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。
一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。
「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」
これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。
キズモノ転生令嬢は趣味を活かして幸せともふもふを手に入れる
藤 ゆみ子
恋愛
セレーナ・カーソンは前世、心臓が弱く手術と入退院を繰り返していた。
将来は好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたい。そんな夢を持っていたが、胸元に大きな手術痕のある自分には無理だと諦めていた。
入院中、暇潰しのために始めた刺繍が唯一の楽しみだったが、その後十八歳で亡くなってしまう。
セレーナが八歳で前世の記憶を思い出したのは、前世と同じように胸元に大きな傷ができたときだった。
家族から虐げられ、キズモノになり、全てを諦めかけていたが、十八歳を過ぎた時家を出ることを決意する。
得意な裁縫を活かし、仕事をみつけるが、そこは秘密を抱えたもふもふたちの住みかだった。
聖女の力は「美味しいご飯」です!~追放されたお人好し令嬢、辺境でイケメン騎士団長ともふもふ達の胃袋掴み(物理)スローライフ始めます~
夏見ナイ
恋愛
侯爵令嬢リリアーナは、王太子に「地味で役立たず」と婚約破棄され、食糧難と魔物に脅かされる最果ての辺境へ追放される。しかし彼女には秘密があった。それは前世日本の記憶と、食べた者を癒し強化する【奇跡の料理】を作る力!
絶望的な状況でもお人好しなリリアーナは、得意の料理で人々を助け始める。温かいスープは病人を癒し、栄養満点のシチューは騎士を強くする。その噂は「氷の辺境伯」兼騎士団長アレクシスの耳にも届き…。
最初は警戒していた彼も、彼女の料理とひたむきな人柄に胃袋も心も掴まれ、不器用ながらも溺愛するように!? さらに、美味しい匂いに誘われたもふもふ聖獣たちも仲間入り!
追放令嬢が料理で辺境を豊かにし、冷徹騎士団長にもふもふ達にも愛され幸せを掴む、異世界クッキング&溺愛スローライフ! 王都への爽快ざまぁも?
公爵様のバッドエンドを回避したいだけだったのに、なぜか溺愛されています
六花心碧
恋愛
お気に入り小説の世界で名前すら出てこないモブキャラに転生してしまった!
『推しのバッドエンドを阻止したい』
そう思っただけなのに、悪女からは脅されるし、小説の展開はどんどん変わっていっちゃうし……。
推しキャラである公爵様の反逆を防いで、見事バッドエンドを回避できるのか……?!
ゆるくて、甘くて、ふわっとした溺愛ストーリーです➴⡱
◇2025.3 日間・週間1位いただきました!HOTランキングは最高3位いただきました!
皆様のおかげです、本当にありがとうございました(ˊᗜˋ*)
(外部URLで登録していたものを改めて登録しました! ◇他サイト様でも公開中です)
追放された令嬢ですが、隣国公爵と白い結婚したら溺愛が止まりませんでした ~元婚約者? 今さら返り咲きは無理ですわ~
ふわふわ
恋愛
婚約破棄――そして追放。
完璧すぎると嘲られ、役立たず呼ばわりされた令嬢エテルナは、
家族にも見放され、王国を追われるように国境へと辿り着く。
そこで彼女を救ったのは、隣国の若き公爵アイオン。
「君を保護する名目が必要だ。干渉しない“白い結婚”をしよう」
契約だけの夫婦のはずだった。
お互いに心を乱さず、ただ穏やかに日々を過ごす――はずだったのに。
静かで優しさを隠した公爵。
無能と決めつけられていたエテルナに眠る、古代聖女の力。
二人の距離は、ゆっくり、けれど確実に近づき始める。
しかしその噂は王国へ戻り、
「エテルナを取り戻せ」という王太子の暴走が始まった。
「彼女はもうこちらの人間だ。二度と渡さない」
契約結婚は終わりを告げ、
守りたい想いはやがて恋に変わる──。
追放令嬢×隣国公爵×白い結婚から溺愛へ。
そして元婚約者ざまぁまで爽快に描く、
“追い出された令嬢が真の幸せを掴む物語”が、いま始まる。
---
美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ
さら
恋愛
会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。
ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。
けれど、測定された“能力値”は最低。
「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。
そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。
優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。
彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。
人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。
やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。
不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。
好きすぎます!※殿下ではなく、殿下の騎獣が
和島逆
恋愛
「ずっと……お慕い申し上げておりました」
エヴェリーナは伯爵令嬢でありながら、飛空騎士団の騎獣世話係を目指す。たとえ思いが叶わずとも、大好きな相手の側にいるために。
けれど騎士団長であり王弟でもあるジェラルドは、自他ともに認める女嫌い。エヴェリーナの告白を冷たく切り捨てる。
「エヴェリーナ嬢。あいにくだが」
「心よりお慕いしております。大好きなのです。殿下の騎獣──……ライオネル様のことが!」
──エヴェリーナのお目当ては、ジェラルドではなく獅子の騎獣ライオネルだったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる