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深雪先輩の章
第5話 学園スキャンダル余波
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(これまでのあらすじ……)
とある中学校に侵入したわたしは、色々な楽しみを堪能しつつ、女子の更衣室代わりに使用されている空き教室で、思い焦がれる先輩女子の制服で、ひとり遊びに興じる可愛い美少年を見つけたのでした。一方で、自己チュー部長と中岡優子の件は意外な広がりを見せていたのでした。
**********
週末の土曜日、中学校での授業はないものの、様々な部活動で少なからぬ生徒や顧問の先生が学校に来ています。
でも、さすがに夕方近くにもなると、まだまだ明るいとはいえ、生徒たちの部活も終わり、三々五々、家路につくジャージ姿の中学生が校門を出て行きます。
今しも、校門から走り出てきた白い半袖体操着に紺色のハーフパンツ姿の少女が、ポニーテールを揺らしながら、友人の後を追いかけて駆け出してきます。
「深雪~! 待って、待って~! 」
その声に、これまた体操着にハーフパンツの少女が振り返ります。こちらはショートカットに軽い天然パーマ気のあるカールした髪型の瞳の大きな美少女でした。彼女は手を挙げて後ろから駆けて来る少女に応えます。
「愛美~! 」
「はぁ~、疲れたぁ! 」
ようやく追いついた少女が息を切らして膝に手をつきます。笑顔で迎えたショートカットの深雪という少女が、肩で息をしている少女に話しかけました。
「大変だったんだって? テニス部。先生は箝口令がどうのって言ってるらしいけど、昨日からもうバレバレだよ。」
ポニーテールの愛美という子が、それに答えます。どうやら、愛美という少女は、今や学校中の話題となっているテニス部に所属しているようです。
「……なのよ。それどころか、優子も宏樹にやられちゃったみたいでさぁ、……あ、これ、まだ内緒だから、誰にも言わないでね。」
「優子って……、え!3組の優子ちゃん!」
意外な新情報に深雪は驚きを隠せません。
「だぁよ、ほんと、男子って、みんなあんなのかな? いつの間にか優子の背中にかけられてさ。」
「かけられて? ……それって、まさかアレ? 」
深雪がポニーテールの少女に驚いたように顔を向けます。それに対して愛美が真面目ぶった深刻そうな顔付きで首肯きます。
「それを……背中に? 」
再び、愛美が首肯きます。
「……ヒェ~~! マジィ~~! ヤバすぎ~~! ……って、それって、優子の後ろで宏樹が……(シコシコ)……って、やってたの!」
ショートカットの深雪が右手の親指と人差し指で作った輪っかを上下させるジェスチャーをしながら言いました。まだ中学生の少女には口にするのも恥ずかしい言葉でしょうから。
しかし、それに対する愛美の答えも不得要領で、なんとも歯切れが良くありません。
「それが、いつの間にかでさぁ。わたしもいた時にそれに気づいたんだけど、わたしも優子も、いつやられたか、さっぱりで。真後ろで誰かがそんなことしてたら気づかないわけ、ないっしょ。」
「ひどい……。優子、かわいそう……。」
親友の災難に、深雪は自分のことのように顔を曇らせるました。
「噂が広がっちゃったから、顔にかけられた下級生の子も優子も、ふたりともショックで学校を休んでるし……。」
「優子、心配だよね……。」
少女たちは心から親友の身の上を案じています。
「昨日は、うちの4組も授業になんなかったよ。……でも、宏樹って、そんな奴だったの? わたし、小学校も中学校も同じクラスになったこと、ないし。」
「男子なんて、みんな一緒だよ。……ひょっとしたら、優子んちに出た下着泥棒まがいの変質者だって宏樹かもしんない。」
愛美から出た、またまた新たな事件の話しに深雪は再び目をひんむいて驚きをあらわにします。
「え~! なにそれ、なにそれ! 聞かせて聞かせて聞かせて! 」
ちょうどその時、おしゃべりで夢中になっている二人に、後ろから追いついた格好になった体操着姿の下級生が、おずおずと挨拶をしました。
「せ、せんぱい、さようなら。」
ふいに声をかけられた二人が驚いて振り向きました。愛美には誰か分かりませんでしたが、深雪の方では見知った下級生であったらしく、にっこり微笑んで返事を返します。
「あ、ヨシくん、さよなら。気をつけて帰るんだよ。」
「は、はい! 先輩、お先に失礼します。」
深雪は屈託のない笑顔でその少年に手を振ります。少年の方が恥ずかしそうにお辞儀をして、振り替えると早足で駆けていきました。
「可愛いね、1年生? 」
「うん、男子がみんな、ヨシくんみたいだったら良いのにね。」
愛美が笑って深雪を冷やかします。
「まだ、毛も生えてないでしょ。」
「良いの、そういう子だから可愛いんじゃない。」
「へぇ、深雪、しょたこんの気があったんだ。あの子、深雪に声かけられて真っ赤になってたよ。可愛いね。案外、深雪に気があるんじゃない? ……あ~っ! 憧れのお姉さま~! ……なんてね。」
愛美が笑って絶叫しながら、スポーツバッグを両手でギュッと抱きしめます。
「もお、愛美ったら、冗談、よしてよ。純朴な1年生を悪の道に引き込んじゃダメだよ。」
深雪も冗談と分かっていて、半笑いながら頬を可愛らしく膨らませます。二人は箸が転んでも可笑しい年頃を地で行くように、楽しくじゃれあいながら家路についたのでした。
**********
(おわりに)
部活動帰りの女子中学生の話題は、やはり学園スキャンダルとなったテニス部事件でした。そして、いよいよ今回の主役となる深雪先輩が登場いたしました。
とある中学校に侵入したわたしは、色々な楽しみを堪能しつつ、女子の更衣室代わりに使用されている空き教室で、思い焦がれる先輩女子の制服で、ひとり遊びに興じる可愛い美少年を見つけたのでした。一方で、自己チュー部長と中岡優子の件は意外な広がりを見せていたのでした。
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週末の土曜日、中学校での授業はないものの、様々な部活動で少なからぬ生徒や顧問の先生が学校に来ています。
でも、さすがに夕方近くにもなると、まだまだ明るいとはいえ、生徒たちの部活も終わり、三々五々、家路につくジャージ姿の中学生が校門を出て行きます。
今しも、校門から走り出てきた白い半袖体操着に紺色のハーフパンツ姿の少女が、ポニーテールを揺らしながら、友人の後を追いかけて駆け出してきます。
「深雪~! 待って、待って~! 」
その声に、これまた体操着にハーフパンツの少女が振り返ります。こちらはショートカットに軽い天然パーマ気のあるカールした髪型の瞳の大きな美少女でした。彼女は手を挙げて後ろから駆けて来る少女に応えます。
「愛美~! 」
「はぁ~、疲れたぁ! 」
ようやく追いついた少女が息を切らして膝に手をつきます。笑顔で迎えたショートカットの深雪という少女が、肩で息をしている少女に話しかけました。
「大変だったんだって? テニス部。先生は箝口令がどうのって言ってるらしいけど、昨日からもうバレバレだよ。」
ポニーテールの愛美という子が、それに答えます。どうやら、愛美という少女は、今や学校中の話題となっているテニス部に所属しているようです。
「……なのよ。それどころか、優子も宏樹にやられちゃったみたいでさぁ、……あ、これ、まだ内緒だから、誰にも言わないでね。」
「優子って……、え!3組の優子ちゃん!」
意外な新情報に深雪は驚きを隠せません。
「だぁよ、ほんと、男子って、みんなあんなのかな? いつの間にか優子の背中にかけられてさ。」
「かけられて? ……それって、まさかアレ? 」
深雪がポニーテールの少女に驚いたように顔を向けます。それに対して愛美が真面目ぶった深刻そうな顔付きで首肯きます。
「それを……背中に? 」
再び、愛美が首肯きます。
「……ヒェ~~! マジィ~~! ヤバすぎ~~! ……って、それって、優子の後ろで宏樹が……(シコシコ)……って、やってたの!」
ショートカットの深雪が右手の親指と人差し指で作った輪っかを上下させるジェスチャーをしながら言いました。まだ中学生の少女には口にするのも恥ずかしい言葉でしょうから。
しかし、それに対する愛美の答えも不得要領で、なんとも歯切れが良くありません。
「それが、いつの間にかでさぁ。わたしもいた時にそれに気づいたんだけど、わたしも優子も、いつやられたか、さっぱりで。真後ろで誰かがそんなことしてたら気づかないわけ、ないっしょ。」
「ひどい……。優子、かわいそう……。」
親友の災難に、深雪は自分のことのように顔を曇らせるました。
「噂が広がっちゃったから、顔にかけられた下級生の子も優子も、ふたりともショックで学校を休んでるし……。」
「優子、心配だよね……。」
少女たちは心から親友の身の上を案じています。
「昨日は、うちの4組も授業になんなかったよ。……でも、宏樹って、そんな奴だったの? わたし、小学校も中学校も同じクラスになったこと、ないし。」
「男子なんて、みんな一緒だよ。……ひょっとしたら、優子んちに出た下着泥棒まがいの変質者だって宏樹かもしんない。」
愛美から出た、またまた新たな事件の話しに深雪は再び目をひんむいて驚きをあらわにします。
「え~! なにそれ、なにそれ! 聞かせて聞かせて聞かせて! 」
ちょうどその時、おしゃべりで夢中になっている二人に、後ろから追いついた格好になった体操着姿の下級生が、おずおずと挨拶をしました。
「せ、せんぱい、さようなら。」
ふいに声をかけられた二人が驚いて振り向きました。愛美には誰か分かりませんでしたが、深雪の方では見知った下級生であったらしく、にっこり微笑んで返事を返します。
「あ、ヨシくん、さよなら。気をつけて帰るんだよ。」
「は、はい! 先輩、お先に失礼します。」
深雪は屈託のない笑顔でその少年に手を振ります。少年の方が恥ずかしそうにお辞儀をして、振り替えると早足で駆けていきました。
「可愛いね、1年生? 」
「うん、男子がみんな、ヨシくんみたいだったら良いのにね。」
愛美が笑って深雪を冷やかします。
「まだ、毛も生えてないでしょ。」
「良いの、そういう子だから可愛いんじゃない。」
「へぇ、深雪、しょたこんの気があったんだ。あの子、深雪に声かけられて真っ赤になってたよ。可愛いね。案外、深雪に気があるんじゃない? ……あ~っ! 憧れのお姉さま~! ……なんてね。」
愛美が笑って絶叫しながら、スポーツバッグを両手でギュッと抱きしめます。
「もお、愛美ったら、冗談、よしてよ。純朴な1年生を悪の道に引き込んじゃダメだよ。」
深雪も冗談と分かっていて、半笑いながら頬を可愛らしく膨らませます。二人は箸が転んでも可笑しい年頃を地で行くように、楽しくじゃれあいながら家路についたのでした。
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(おわりに)
部活動帰りの女子中学生の話題は、やはり学園スキャンダルとなったテニス部事件でした。そして、いよいよ今回の主役となる深雪先輩が登場いたしました。
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