104 / 122
女装者の夢
第14話 少年が追い求めていたモノ
しおりを挟む
(これまでのあらすじ……)
私は少年が隠し持つ女性衣類につき問いつめ、現場検証と称し深夜の女子テニス部室へ侵入、彼は少女達のスコートで自慰を繰り返します。更に、テニスウェアからバレーのユニフォーム、そして、レオタード姿になり、彼は際限なく自慰にふけります。その間に私はおのがモノをあてて少年のヴァージンを奪い、少年は新たなる快感に目覚めますが、度重なる超常現象にヤケクソに逆ギレした彼はわたしに食って掛かります。その時、少年の周囲が真っ白くまばゆい光に包まれたのです。
**********
まぶしい光がおさまって、恐る恐る、少年が目を開くと、そこは最初にいた場所?……少年にはどこかも分からない部屋の中でした。ただ、今度はマットレスにシーツという簡素なベッドすらもない、テーブルひとつさえもない、本当にガランとした状態でした。
(ま、まただ……、僕は夢でも見ているの……。)
少年は呆然としました。
今の今まで、間違いなく女子テニス部室にいた筈……、テニスコートから歩いてプレハブ作りのテニス部室にたどり着き、次いで男子部室の窓をよじ登ってプレハブ小屋の内部に侵入して、男子部室側の内部から女子の部室に入った……、歩き、窓をよじ登り、コンクリートが打ちっぱなしの部室内に降り立った……すべてにリアルな感触があるのに……、一体、なぜ?
この合理性のかけらもない、まったくもって理由の説明がつかない現象に、再び少年はえもいわれぬ恐怖に支配されてしまいました。
改めて自分の姿に気付くと、少年は、さっきまで着ていたレオタードもありません。テニスウエアでもなく、スカート姿でもなく、それどころか、また、一糸まとわぬ素っ裸の姿になっていました。まったく脱いだ記憶もないのに、ふりだしに戻ったすごろくのごとく、場所も少年の姿も、まったくの最初に戻ったのです。
そんな状況にあらためて気づくと、慌てて少年は部屋の隅にうずくまり、片手で股間を隠しながら、膝を立てて丸くなりました。
不思議なもので、明るい中で素っ裸になっているという状態は、果てしなく無防備で、これほど人間の気持ちを萎えさせるものはありません。わたしに向かって吠えたてていた先程の威勢はどこへやら、少年は無言のまま今度は部屋の隅にうずくまってしまいました。
**********
わたしは改めて少年の目の前に二枚のスカートを置きました。1枚は少年の母親のウール混プリーツスカート、もう1枚は女子生徒の制服の濃紺プリーツスカートです。
「真実は、あなたはどうしてもこの女子制服のスカートを穿きたくてたまらなかった。……だから、唯一、似た感じで手に入れることができたお母さんの総プリーツのスカート、これを好んで着ていたのよね。」
部屋の隅にうずくまりながらも、少年は目を見はりました。
(うるさい!そんな!そんな!……そんなんじゃない!違う!違う!)
心の中でどんなに否定しても、その一方で、この人はどこまで自分のことを知っているのだろうと、恐怖が更に増幅したかもしれません。
しかし、少年は努めて心の動揺を隠そうと、膝を抱いて丸まった姿勢で顔をそむけています。しかし、膝を抱えている腕の指先は、隠しようもなく小刻みに震えていました。
「お母さんのウール混のプリーツスカートを着て、あなたが深夜の学校に来たのは、女装散歩のためじゃないわ。」
少年はそっぽを向いているようでいながら、明らかに聞き耳を立てています。
「テニス部室に入ったのも、バレー部室や体操部室に入ったのも、女子のユニフォームだけが目的じゃないのよ。……もちろん、ちゃっかりと十分に楽しませてもらうことも忘れてはいなかったけど、行きがけの駄賃という奴よね。」
わたしはひと区切りしながら、少年によ様子を眺めつつ、ゆっくりと話をすすめました。
「あなたは全部の教室や家庭科教室にも行った、その理由はただひとつ、……この濃紺のプリーツの制服スカートが欲しかったため。女子のみんなが着用している、あなたにとっては女子の代名詞、女子そのものといっていい、この制服プリーツスカートが欲しかったためよね。あなたは、深夜の学校なんかにあるはずもない幻を求めて、暗闇の校舎を何度も何度もさまよい歩いていたの。」
(ち、違う!……そんな……違う!違う!違う!……そ、そんな……。)
わたしはゆっくりと彼自身の真実の思いを彼に聞かせてあげました。すべてに図星であった彼は、驚愕と羞恥に真っ赤になりながら震えつつ固まっていた。
「どう? ……お母さんのウールのプリーツスカートはとっても気持ちよかったようね。……でもこの制服のプリーツスカートは、まだ穿いたことがないのよね。……ずっと穿きたかったのでしょう、遠慮しなくても良いのよ……。」
彼はまだ裸でそっぽを向いたままで震えています。
(うるさい!そんなんじゃない!……もう、ほっといてくれ!ぼくを家に帰してくれ!)
彼の心の声はわたしには筒抜けです。心の中で激しく否定すればするほど、それはわたしにとっては強い肯定と同じです。図星を言い当てられた犯罪者ほど、どこまでも強く頑固に否定する者なのです。
「そうそう、もうひとつあるのよね。」
次にわたしは、先に母親の下着を並べた時に、敢えて言及しなかった水色のペーズリー柄ジャガードのスリップと水色のパンティを出しました。どちらも少年の母親の下着です。
わたしはそのパンティを手に取り、両手で両端を広げて少年に見せました。
「これは生理用のパンティ、もちろん、知っているわよね、あなたの大のお気に入りだもの。」
少年は、かすかに顔を動かし、目を細めてそのパンティを見つめました。
「これは今ではもう見かけない古いタイプよね。クロッチの防水生地は比較的薄くて固め、それに内側にメッシュが入っているタイプはもうないわ。……でも、それがあなたには良かったのよね。」
わたしはパンティの裏側も開いて、防水生地とメッシュ生地の重なったクロッチを、少年から見えるように広げました。少年は横目で見ていましたが、驚きを表すように、一瞬、目元をピクリとさせていました。
(……え?……あれは、まさか!……そんなものまで!)
「恥ずかしがらなくてもいいわ。御立派な大会社の管理職の重役さんでも、幼児趣味のオムツフェチのおじさんがいっぱいいるのよ。この生理用のパンティのオムツに似た感じが、何かあなたのフェチ的な心と身体の琴線に触れたのかしらね。」
少年は冷静に分析されたことで余計に羞恥心をほじくり出されたように、耳まで真っ赤にしながら再びそっぽを向いています。でも、その聴覚はわたしの声を聞き逃せないほどに研ぎ澄まされていることを、わたしは知っています。
わたしは十分に少年がパンティについて確認できたことが分かると、次のものに移りました。
「それと、次はこの水色のスリップ。……これはあなたにとって特別な意味を持っているの。お母さんのスリップ以上の意味が。」
わたしは、次に水色のスリップを手にして、両手でストラップを持ち上げ、少年の前にそれを広げました。
「あなたが大好きな、クラスの右隣の女子生徒、……彼女はスリップ着用派の子。夏、ベストを脱いだブラウスだけの姿になると、彼女の背中には綺麗なスリップが透けて見えるのよね。」
わたしは、嬉しそうに話したのでした。
「そのスリップが、……水色のスリップ。……そうよね。」
その瞬間、もう少年はそっぽを向いてはいませんでした。少年は驚きの表情で私を見つめていました。
「もちろん彼女はありがちな純白のスリップもよく着ていたけど、たまに見る彼女の水色のスリップはよほどあなたに印象的だったのよね。……だから、あなたは、あなたが愛しいと思う隣の席の少女に虚想して、このスリップをこよなく愛していたのよ。」
少年は言葉も出ないかのように、口をパクパクさせています。
(なんだ、この人は! 心が読めるのか! 僕の頭の中をのぞけるとでも言うの! )
その少年の心の叫びは、しっかりとわたしの脳裡にまで届いています。
彼は、好むと好まざるとに関わらず、もはやわたしに逆らうことはないでしょう。
そして、彼の恐怖は、まもなくわたしへの畏怖となることでしょう。
しかし、最後には、彼はわたしに対して、心から感謝することになるでしょう。
**********
(おわりに)
まばゆい光がおさまると、そこは最初にいた謎の部屋でした。しかも、少年は再び裸のままでそこにいたのです。そして、わたしは少年の深夜の女装校舎徘徊の行動分析を、少年に語り聞かせます。次々に少年の胸の内や性癖の傾向を言い当てられ、心の中までもすべてを見透かされていることを知った少年は、再び恐怖に打ち震えてしまいます。
私は少年が隠し持つ女性衣類につき問いつめ、現場検証と称し深夜の女子テニス部室へ侵入、彼は少女達のスコートで自慰を繰り返します。更に、テニスウェアからバレーのユニフォーム、そして、レオタード姿になり、彼は際限なく自慰にふけります。その間に私はおのがモノをあてて少年のヴァージンを奪い、少年は新たなる快感に目覚めますが、度重なる超常現象にヤケクソに逆ギレした彼はわたしに食って掛かります。その時、少年の周囲が真っ白くまばゆい光に包まれたのです。
**********
まぶしい光がおさまって、恐る恐る、少年が目を開くと、そこは最初にいた場所?……少年にはどこかも分からない部屋の中でした。ただ、今度はマットレスにシーツという簡素なベッドすらもない、テーブルひとつさえもない、本当にガランとした状態でした。
(ま、まただ……、僕は夢でも見ているの……。)
少年は呆然としました。
今の今まで、間違いなく女子テニス部室にいた筈……、テニスコートから歩いてプレハブ作りのテニス部室にたどり着き、次いで男子部室の窓をよじ登ってプレハブ小屋の内部に侵入して、男子部室側の内部から女子の部室に入った……、歩き、窓をよじ登り、コンクリートが打ちっぱなしの部室内に降り立った……すべてにリアルな感触があるのに……、一体、なぜ?
この合理性のかけらもない、まったくもって理由の説明がつかない現象に、再び少年はえもいわれぬ恐怖に支配されてしまいました。
改めて自分の姿に気付くと、少年は、さっきまで着ていたレオタードもありません。テニスウエアでもなく、スカート姿でもなく、それどころか、また、一糸まとわぬ素っ裸の姿になっていました。まったく脱いだ記憶もないのに、ふりだしに戻ったすごろくのごとく、場所も少年の姿も、まったくの最初に戻ったのです。
そんな状況にあらためて気づくと、慌てて少年は部屋の隅にうずくまり、片手で股間を隠しながら、膝を立てて丸くなりました。
不思議なもので、明るい中で素っ裸になっているという状態は、果てしなく無防備で、これほど人間の気持ちを萎えさせるものはありません。わたしに向かって吠えたてていた先程の威勢はどこへやら、少年は無言のまま今度は部屋の隅にうずくまってしまいました。
**********
わたしは改めて少年の目の前に二枚のスカートを置きました。1枚は少年の母親のウール混プリーツスカート、もう1枚は女子生徒の制服の濃紺プリーツスカートです。
「真実は、あなたはどうしてもこの女子制服のスカートを穿きたくてたまらなかった。……だから、唯一、似た感じで手に入れることができたお母さんの総プリーツのスカート、これを好んで着ていたのよね。」
部屋の隅にうずくまりながらも、少年は目を見はりました。
(うるさい!そんな!そんな!……そんなんじゃない!違う!違う!)
心の中でどんなに否定しても、その一方で、この人はどこまで自分のことを知っているのだろうと、恐怖が更に増幅したかもしれません。
しかし、少年は努めて心の動揺を隠そうと、膝を抱いて丸まった姿勢で顔をそむけています。しかし、膝を抱えている腕の指先は、隠しようもなく小刻みに震えていました。
「お母さんのウール混のプリーツスカートを着て、あなたが深夜の学校に来たのは、女装散歩のためじゃないわ。」
少年はそっぽを向いているようでいながら、明らかに聞き耳を立てています。
「テニス部室に入ったのも、バレー部室や体操部室に入ったのも、女子のユニフォームだけが目的じゃないのよ。……もちろん、ちゃっかりと十分に楽しませてもらうことも忘れてはいなかったけど、行きがけの駄賃という奴よね。」
わたしはひと区切りしながら、少年によ様子を眺めつつ、ゆっくりと話をすすめました。
「あなたは全部の教室や家庭科教室にも行った、その理由はただひとつ、……この濃紺のプリーツの制服スカートが欲しかったため。女子のみんなが着用している、あなたにとっては女子の代名詞、女子そのものといっていい、この制服プリーツスカートが欲しかったためよね。あなたは、深夜の学校なんかにあるはずもない幻を求めて、暗闇の校舎を何度も何度もさまよい歩いていたの。」
(ち、違う!……そんな……違う!違う!違う!……そ、そんな……。)
わたしはゆっくりと彼自身の真実の思いを彼に聞かせてあげました。すべてに図星であった彼は、驚愕と羞恥に真っ赤になりながら震えつつ固まっていた。
「どう? ……お母さんのウールのプリーツスカートはとっても気持ちよかったようね。……でもこの制服のプリーツスカートは、まだ穿いたことがないのよね。……ずっと穿きたかったのでしょう、遠慮しなくても良いのよ……。」
彼はまだ裸でそっぽを向いたままで震えています。
(うるさい!そんなんじゃない!……もう、ほっといてくれ!ぼくを家に帰してくれ!)
彼の心の声はわたしには筒抜けです。心の中で激しく否定すればするほど、それはわたしにとっては強い肯定と同じです。図星を言い当てられた犯罪者ほど、どこまでも強く頑固に否定する者なのです。
「そうそう、もうひとつあるのよね。」
次にわたしは、先に母親の下着を並べた時に、敢えて言及しなかった水色のペーズリー柄ジャガードのスリップと水色のパンティを出しました。どちらも少年の母親の下着です。
わたしはそのパンティを手に取り、両手で両端を広げて少年に見せました。
「これは生理用のパンティ、もちろん、知っているわよね、あなたの大のお気に入りだもの。」
少年は、かすかに顔を動かし、目を細めてそのパンティを見つめました。
「これは今ではもう見かけない古いタイプよね。クロッチの防水生地は比較的薄くて固め、それに内側にメッシュが入っているタイプはもうないわ。……でも、それがあなたには良かったのよね。」
わたしはパンティの裏側も開いて、防水生地とメッシュ生地の重なったクロッチを、少年から見えるように広げました。少年は横目で見ていましたが、驚きを表すように、一瞬、目元をピクリとさせていました。
(……え?……あれは、まさか!……そんなものまで!)
「恥ずかしがらなくてもいいわ。御立派な大会社の管理職の重役さんでも、幼児趣味のオムツフェチのおじさんがいっぱいいるのよ。この生理用のパンティのオムツに似た感じが、何かあなたのフェチ的な心と身体の琴線に触れたのかしらね。」
少年は冷静に分析されたことで余計に羞恥心をほじくり出されたように、耳まで真っ赤にしながら再びそっぽを向いています。でも、その聴覚はわたしの声を聞き逃せないほどに研ぎ澄まされていることを、わたしは知っています。
わたしは十分に少年がパンティについて確認できたことが分かると、次のものに移りました。
「それと、次はこの水色のスリップ。……これはあなたにとって特別な意味を持っているの。お母さんのスリップ以上の意味が。」
わたしは、次に水色のスリップを手にして、両手でストラップを持ち上げ、少年の前にそれを広げました。
「あなたが大好きな、クラスの右隣の女子生徒、……彼女はスリップ着用派の子。夏、ベストを脱いだブラウスだけの姿になると、彼女の背中には綺麗なスリップが透けて見えるのよね。」
わたしは、嬉しそうに話したのでした。
「そのスリップが、……水色のスリップ。……そうよね。」
その瞬間、もう少年はそっぽを向いてはいませんでした。少年は驚きの表情で私を見つめていました。
「もちろん彼女はありがちな純白のスリップもよく着ていたけど、たまに見る彼女の水色のスリップはよほどあなたに印象的だったのよね。……だから、あなたは、あなたが愛しいと思う隣の席の少女に虚想して、このスリップをこよなく愛していたのよ。」
少年は言葉も出ないかのように、口をパクパクさせています。
(なんだ、この人は! 心が読めるのか! 僕の頭の中をのぞけるとでも言うの! )
その少年の心の叫びは、しっかりとわたしの脳裡にまで届いています。
彼は、好むと好まざるとに関わらず、もはやわたしに逆らうことはないでしょう。
そして、彼の恐怖は、まもなくわたしへの畏怖となることでしょう。
しかし、最後には、彼はわたしに対して、心から感謝することになるでしょう。
**********
(おわりに)
まばゆい光がおさまると、そこは最初にいた謎の部屋でした。しかも、少年は再び裸のままでそこにいたのです。そして、わたしは少年の深夜の女装校舎徘徊の行動分析を、少年に語り聞かせます。次々に少年の胸の内や性癖の傾向を言い当てられ、心の中までもすべてを見透かされていることを知った少年は、再び恐怖に打ち震えてしまいます。
0
あなたにおすすめの小説
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる