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女装者の夢
第19話 女装魔法使いVS少年
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(これまでのあらすじ……)
様々なコスチュームで自慰にふけった少年の前に、彼の愛する少女本人を連れて来るとともに、私が少年の未来の存在であるとの驚愕の真実を伝えます。驚きを隠せぬ少年でしたが、目前の愛する少女の誘惑には勝てず、少女の身体を堪能し始めます。しかし、少年は少女の目に光るものを見つけてしまい、彼の心の中で何かが動き始めます。私は、少女を自分のものにするよう少年に迫り、妄想の中で少女を凌辱する姿を思い浮かべ、夢がかないつつある喜びに打ち震えていたのでした。
**********
「栄理……いくわよ、私の熱くたぎるものを、今からあなたの大事なところに、たっぷりと注ぎ入れてあげる……。」
わたしは、いつか将来に起きるであろう栄理との永遠の別れ、そして既に知っているその苦い思い出を振り切るかのように、延々と妄想の中に遊んでいるのでした。
わたしは、スカートをめくり、栄理の可愛い白いパンティに手をかけました。そしてそれを一気に……
「えっ!!!! 」
一気にパンティを引こうとしたのでしたが……しかし、それはかないませんでした。急に妄想の中の栄理が、わたしの目の前からかき消すようにいなくなってしまったのです。
「な! ……なにが……! 」
わたしは驚き、妄想世界から現実世界へと強制的に連れ戻されたのでした。
**********
その時、少年の目の前の栄理の瞳から溢れ出た大粒の涙が、ツーッとそのふっくらした頬を伝って流れ落ちたのです。
それを見た瞬間、少年の決意は固まりました。
少年は、涙に濡れる栄理の瞳を見つめながら話し始めます。
「もう、いい加減にしてください。……彼女を、……栄理を自由にしてあげてください。」
少年の思いがけない反抗にわたしは驚きました。でも、驚きはしたものの、わたしはまだ少年を説得できる自信がありました。
わたしは、余裕のある鷹揚な口調で少年に語りかけます。
「わたしはそれでも一向に構わないけど、変態として恥をさらすのはあなた。……きっと彼女はみんなに言うわ、『わたしの下着や制服を盗んで女装している変態だ!』とね。」
それは少年にとって予想された答えでしたが、わたしは余裕たっぷりに、まずはそれを指摘してあげました。
しかしながら、少年は視線を彼女の瞳に向けたまま、躊躇なく即答します。
「構わないよ。僕はそれだけひどいことをしたし、変態と言われるだけのこともしている。今も栄理にひどいことをしている。……全部、自業自得だよ。」
少年は、やや震えたような声ながらも、きっぱりと答えました。
「あなた、後悔するわよ。……わたしの言う通りにさえすれば、あなたは大好きなこの子と永遠に一緒にいられるのよ。あなたの夢がかなうの。……人形にされた彼女がかわいそう? そんなこと、ほんの一時のことよ。夢をあきらめられる程のことかしら。」
「栄理の意思を無視して、人形の栄理と一緒にいられても意味なんかない。そんなのは僕の夢じゃないし、僕はそんなことを望んでもいない!」
「いいえ、それは違う。もうすぐ、まもなく、彼女が心からそう願うようになるわ。もちろん、彼女の自分の意思でね。」
「栄理にそう仕向けるために、今、栄理の意思に反して拘束してるんじゃないか。それは本当の栄理の意思なんかじゃない。……そんなこと、栄理にはさせない。」
「あら、奇麗事……、誰でもみんなそうしてるのに。恋愛に入るきっかけなんて、みんな強引で作為的なものよ。小説みたいな偶然の出逢いなんて、現実にはそんなことありはしないわ。若いわね。」
しかし、少年はわたしのその言葉に返事を返すことはありませんでした。
少年は、少女の背中を抱いていた腕を離し、合わせていたおでこも離して顔を上げました。
しかし、ふと、少年の右手の手のひらが、少女の左胸のベストの膨らみの上で固まります。
わたしはその様子を楽しみながら眺めていました。わたしの微笑みの先で少年の心の葛藤が揺れ動いているのです。
少年は、心の中で少女の名前を何度も連呼しています。わたしには丸聞こえです。いかに強がって理性的に振る舞おうとしても、まだまだ迷いの中にいるのです。
(そう、そのまま手のひらを彼女の胸の膨らみに置きなさい。それだけで、あなたの夢の続きが得られるのよ。)
少年の右手の手のひらが、吸い寄せられるかのように、濃紺サージ生地のベストに近づきます。
(そうよ、そのまま柔らかい彼女の胸を優しく揉んであげるのよ。自分に素直におなりなさい。)
……と、その刹那、少年の右手がブルブル震えると、少年は自らの葛藤に耐え勝ったかのごとく拳をギュッと握り締めました。そして、両の手のひらで少女の両肩をギュッと掴みます。
そして、そのまま顔を横に向けると、わたしに力強い眼差しを真っ直ぐに向けてきました。少年はわたしを見つめたまま、それまでのやりとりとはまったく別の話しを始めました。
「あなたは未来の僕だと言いましたよね。……どっから見ても女性のあなたが未来の僕だなんて、それに、なんでそうなったか、とても信じられないけど、……もし本当にあなたが僕なら、今の僕を、あなたは精神的にも肉体的にも傷つけられない筈ですよね。」
ドキドキと早鐘を打つような少年の心臓の鼓動は変わりませんが、少年は次第に堂々とした自信に溢れた口調になりました。
それになんとしたことか、それまではわたしに読み取れていた少年の胸の裡が、次第に霞んでつかみにくい状況になっていきました。
「それに、もし、僕がここで死んだら、未来の僕も無事では済まされない筈だ。いや、存在出来ないよね。」
彼の意識が、考えが読めない?どうして?初めてのことに、情けないことにわたしはささやかなパニックに陥ってしまいました。
「あなたの言う通り、僕は彼女と結ばれる誘惑には勝てそうにない。しかし、だからといって彼女の意思を無視するようなことは僕にはできない。だから……、だから……。」
少年は何を考え、何をしようと言うのか?未知の状況にわたしは辛うじて平静を装いつつも、心の中では混乱をしていました。
「だから……、……だから、彼女を解放して、変態と言われて彼女に嫌われるくらいなら、僕はここで死んでも構わない。」
我ながら、やはりわたしは面倒な性格をしています。この面倒モードに入ったら、もう、すべてが無理だということは、このわたし自身が一番良く知っています。
「そうね、あなたの言う通りよ。わたしがあなたに直接に手をくだせない以上……、それならわたしはいったいどうすると思う?残された道はただひとつ、この子の口を封じないと、あなたもわたしも無事では済まないのよ。」
再び、少年は栄理に向き直り、栄理の瞳を見つめながら言葉を続けます。
「今、言ったろう。栄理には、お前の指一本、触れさせない。……栄理に傷ひとつでも付けてみろ、このネームプレートのピン一本だけでも、お前の目を突き刺して目玉をえぐり出すくらいはできるし、僕自身、自分で自分の命を絶つことだってできる。」
そう言うと、少年は自分の着ている制服のネームプレートを外し、裏側のピンを真っ直ぐに伸ばすと、右手に持ちかえます。そして、おもむろにそのピンを、ブラウスの上から自分の左腕に突き立てました。
(ズッ!)
「ぐっ!……。」
白いブラウスの左袖にはみるみる血が染み出て、真っ赤に染まっていきます。ただの虫ピンですから命にかかわるような傷ではないものの、まっすぐに深く刺しましたから、それなりに血が溢れてきました。もちろん、少年にはそれなりの激痛もあった筈です。
少年は針を腕に突き刺したまま、再び、私に視線を戻し、痛みに耐えているからでしょうか、睨み付けるような目をしながら言葉を続けます。
「うっ……ううっ……そ、それでも、もし栄理を守れなかったとしたら、僕はビルでも橋でも、どこからでも飛び降りてやる。……ううっ……ぼ、僕の未来とともに、お前をこの世から抹殺してやる。本気だ。」
静かな口調ながら、それだけに、却って少年の強い意思は、凄味と共に明確に感じられました。
**********
(おわりに)
少年は自由を奪われた少女に向かって、まるで懺悔でもするかのように、自らの恥ずべき性癖を告白します。そして、私の命令に背き、身動きの出来ぬ少女の貞操を守るべく動きます。寸鉄も帯びていない彼は、ネームプレートのピンを手に、自らの腕にそのピンを深々と差し貫きます。そして、彼の望みを叶えさせてあげようとしている私に対して、遂に正面切って叛意をあらわにしたのです。
様々なコスチュームで自慰にふけった少年の前に、彼の愛する少女本人を連れて来るとともに、私が少年の未来の存在であるとの驚愕の真実を伝えます。驚きを隠せぬ少年でしたが、目前の愛する少女の誘惑には勝てず、少女の身体を堪能し始めます。しかし、少年は少女の目に光るものを見つけてしまい、彼の心の中で何かが動き始めます。私は、少女を自分のものにするよう少年に迫り、妄想の中で少女を凌辱する姿を思い浮かべ、夢がかないつつある喜びに打ち震えていたのでした。
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「栄理……いくわよ、私の熱くたぎるものを、今からあなたの大事なところに、たっぷりと注ぎ入れてあげる……。」
わたしは、いつか将来に起きるであろう栄理との永遠の別れ、そして既に知っているその苦い思い出を振り切るかのように、延々と妄想の中に遊んでいるのでした。
わたしは、スカートをめくり、栄理の可愛い白いパンティに手をかけました。そしてそれを一気に……
「えっ!!!! 」
一気にパンティを引こうとしたのでしたが……しかし、それはかないませんでした。急に妄想の中の栄理が、わたしの目の前からかき消すようにいなくなってしまったのです。
「な! ……なにが……! 」
わたしは驚き、妄想世界から現実世界へと強制的に連れ戻されたのでした。
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その時、少年の目の前の栄理の瞳から溢れ出た大粒の涙が、ツーッとそのふっくらした頬を伝って流れ落ちたのです。
それを見た瞬間、少年の決意は固まりました。
少年は、涙に濡れる栄理の瞳を見つめながら話し始めます。
「もう、いい加減にしてください。……彼女を、……栄理を自由にしてあげてください。」
少年の思いがけない反抗にわたしは驚きました。でも、驚きはしたものの、わたしはまだ少年を説得できる自信がありました。
わたしは、余裕のある鷹揚な口調で少年に語りかけます。
「わたしはそれでも一向に構わないけど、変態として恥をさらすのはあなた。……きっと彼女はみんなに言うわ、『わたしの下着や制服を盗んで女装している変態だ!』とね。」
それは少年にとって予想された答えでしたが、わたしは余裕たっぷりに、まずはそれを指摘してあげました。
しかしながら、少年は視線を彼女の瞳に向けたまま、躊躇なく即答します。
「構わないよ。僕はそれだけひどいことをしたし、変態と言われるだけのこともしている。今も栄理にひどいことをしている。……全部、自業自得だよ。」
少年は、やや震えたような声ながらも、きっぱりと答えました。
「あなた、後悔するわよ。……わたしの言う通りにさえすれば、あなたは大好きなこの子と永遠に一緒にいられるのよ。あなたの夢がかなうの。……人形にされた彼女がかわいそう? そんなこと、ほんの一時のことよ。夢をあきらめられる程のことかしら。」
「栄理の意思を無視して、人形の栄理と一緒にいられても意味なんかない。そんなのは僕の夢じゃないし、僕はそんなことを望んでもいない!」
「いいえ、それは違う。もうすぐ、まもなく、彼女が心からそう願うようになるわ。もちろん、彼女の自分の意思でね。」
「栄理にそう仕向けるために、今、栄理の意思に反して拘束してるんじゃないか。それは本当の栄理の意思なんかじゃない。……そんなこと、栄理にはさせない。」
「あら、奇麗事……、誰でもみんなそうしてるのに。恋愛に入るきっかけなんて、みんな強引で作為的なものよ。小説みたいな偶然の出逢いなんて、現実にはそんなことありはしないわ。若いわね。」
しかし、少年はわたしのその言葉に返事を返すことはありませんでした。
少年は、少女の背中を抱いていた腕を離し、合わせていたおでこも離して顔を上げました。
しかし、ふと、少年の右手の手のひらが、少女の左胸のベストの膨らみの上で固まります。
わたしはその様子を楽しみながら眺めていました。わたしの微笑みの先で少年の心の葛藤が揺れ動いているのです。
少年は、心の中で少女の名前を何度も連呼しています。わたしには丸聞こえです。いかに強がって理性的に振る舞おうとしても、まだまだ迷いの中にいるのです。
(そう、そのまま手のひらを彼女の胸の膨らみに置きなさい。それだけで、あなたの夢の続きが得られるのよ。)
少年の右手の手のひらが、吸い寄せられるかのように、濃紺サージ生地のベストに近づきます。
(そうよ、そのまま柔らかい彼女の胸を優しく揉んであげるのよ。自分に素直におなりなさい。)
……と、その刹那、少年の右手がブルブル震えると、少年は自らの葛藤に耐え勝ったかのごとく拳をギュッと握り締めました。そして、両の手のひらで少女の両肩をギュッと掴みます。
そして、そのまま顔を横に向けると、わたしに力強い眼差しを真っ直ぐに向けてきました。少年はわたしを見つめたまま、それまでのやりとりとはまったく別の話しを始めました。
「あなたは未来の僕だと言いましたよね。……どっから見ても女性のあなたが未来の僕だなんて、それに、なんでそうなったか、とても信じられないけど、……もし本当にあなたが僕なら、今の僕を、あなたは精神的にも肉体的にも傷つけられない筈ですよね。」
ドキドキと早鐘を打つような少年の心臓の鼓動は変わりませんが、少年は次第に堂々とした自信に溢れた口調になりました。
それになんとしたことか、それまではわたしに読み取れていた少年の胸の裡が、次第に霞んでつかみにくい状況になっていきました。
「それに、もし、僕がここで死んだら、未来の僕も無事では済まされない筈だ。いや、存在出来ないよね。」
彼の意識が、考えが読めない?どうして?初めてのことに、情けないことにわたしはささやかなパニックに陥ってしまいました。
「あなたの言う通り、僕は彼女と結ばれる誘惑には勝てそうにない。しかし、だからといって彼女の意思を無視するようなことは僕にはできない。だから……、だから……。」
少年は何を考え、何をしようと言うのか?未知の状況にわたしは辛うじて平静を装いつつも、心の中では混乱をしていました。
「だから……、……だから、彼女を解放して、変態と言われて彼女に嫌われるくらいなら、僕はここで死んでも構わない。」
我ながら、やはりわたしは面倒な性格をしています。この面倒モードに入ったら、もう、すべてが無理だということは、このわたし自身が一番良く知っています。
「そうね、あなたの言う通りよ。わたしがあなたに直接に手をくだせない以上……、それならわたしはいったいどうすると思う?残された道はただひとつ、この子の口を封じないと、あなたもわたしも無事では済まないのよ。」
再び、少年は栄理に向き直り、栄理の瞳を見つめながら言葉を続けます。
「今、言ったろう。栄理には、お前の指一本、触れさせない。……栄理に傷ひとつでも付けてみろ、このネームプレートのピン一本だけでも、お前の目を突き刺して目玉をえぐり出すくらいはできるし、僕自身、自分で自分の命を絶つことだってできる。」
そう言うと、少年は自分の着ている制服のネームプレートを外し、裏側のピンを真っ直ぐに伸ばすと、右手に持ちかえます。そして、おもむろにそのピンを、ブラウスの上から自分の左腕に突き立てました。
(ズッ!)
「ぐっ!……。」
白いブラウスの左袖にはみるみる血が染み出て、真っ赤に染まっていきます。ただの虫ピンですから命にかかわるような傷ではないものの、まっすぐに深く刺しましたから、それなりに血が溢れてきました。もちろん、少年にはそれなりの激痛もあった筈です。
少年は針を腕に突き刺したまま、再び、私に視線を戻し、痛みに耐えているからでしょうか、睨み付けるような目をしながら言葉を続けます。
「うっ……ううっ……そ、それでも、もし栄理を守れなかったとしたら、僕はビルでも橋でも、どこからでも飛び降りてやる。……ううっ……ぼ、僕の未来とともに、お前をこの世から抹殺してやる。本気だ。」
静かな口調ながら、それだけに、却って少年の強い意思は、凄味と共に明確に感じられました。
**********
(おわりに)
少年は自由を奪われた少女に向かって、まるで懺悔でもするかのように、自らの恥ずべき性癖を告白します。そして、私の命令に背き、身動きの出来ぬ少女の貞操を守るべく動きます。寸鉄も帯びていない彼は、ネームプレートのピンを手に、自らの腕にそのピンを深々と差し貫きます。そして、彼の望みを叶えさせてあげようとしている私に対して、遂に正面切って叛意をあらわにしたのです。
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