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第一話
第一話14
しおりを挟む矢島を処刑した人間を収める石碑のようなものに埋葬すると、東野の砦から警鐘が響いた。
護の読みが合っていたみたいで、東が拠点から離れると敵が襲ってきたようだ。
東は蓮の背に乗り朱雀で砦まで向かい、その他の者も走って砦に向かう。
処刑場は東野の敷地内。
離れたとはいえ、走れば15分もあれは帰れる距離だ。
優は、先陣を切るように走る抜ける。
尾行する椿に意識が向かないように。
自分がそんなことをしなくても、もっと目立つ人間がいるから問題ないと思うけれども。
そんな事を考えているとあっという間に、騒ぎが起こっている場所につく。
予め避難は済ませてあるとはいえ、非戦闘員を巻き込んでも知らないと言わんばかりの暴れっぷりに優は憤りを感じる。
「穏やかじゃないね。
いい歳なんだ、もう少し落ち着いたらどうだい。」
不意打ちで目の前にいる賊達を倒すことはできるが、できるだけ情報を引きだす為に話しかけた。
しかし、賊達は何の返事もなく優に襲い掛かる。
矢島の仲間ではないのか、顔を隠している様子はない。
狡猾さもないし、何より人の話を聞いて情報を集めようともしない。
有益な情報は得られそうになさそうだ。
やれやれ…年齢は、僕達と同じくらいなのに領主になれると言う怪しい話に食いついたのか情けない。
優は心の中で呆れながら、襲い掛かる賊達を斬り捨てた。
手ごたえが無さすぎる。
なんだか僕1人でも行けそうだな…。
欠伸をしながら辺りを見回す優。
他の者は別々の所から砦を目指しているのだろう、優の周りには仲間は見当たらない。
しかし、剛の馬鹿でかい声は聞こえる。
「あーはっは、もっと骨のあるやつはいないのか!
拙者は、まだまだ物足りんぞぉ!!」
豪快な笑い声と悲痛な悲鳴が響く。
暴れん坊の剛に捕まるなんて運の運の無い人達だ。
砦のほうも、騒ぎが落ち着いてきたようだ。
使い捨てのような寄せ集めの集団を作れる、指揮がとれる、簡単な罠にあっさりと食いつく。
この条件を満たすのは…権力に甘えた頭悪いどこかの貴族か、金持ち道楽の息子らへんが主犯だろうと予想を立てる優。
そんな人間がいる場所は安全な場所と相場は決まっている。
そう考えた優は、高台を探すように見回した。
「いた。」
あまりにも予想通りの行動をしていたことに優は驚き思わずそう言ってしまった。
ふっくらとした男だ。
男は優が見ていることに気が付くとぎょっとした表情を浮かべて、木々に隠れながら東野から離れていく。
椿も気が付いたようで、男の視覚外から朱雀で尾行を始めていた。
素早い行動に関心しつつ、優も椿が飛んだ方向と風の動きを見ながら男の後を追う。
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