コバナシ

鷹美

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第一話

第一話 15

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茂みを進んでいく。
援軍は、朱雀を扱える蓮のみ。

今回みたいな事があると機動力があるのが蓮と椿だけだと、心許ないな。
今度、蓮から朱雀を習おうかな。


そんな事を考えていると、進む先で雷が落ちた時のような重たい音が響く。
ビリビリとが震える程の衝撃に驚いた優は、更に走る速度を上げた。

そして、優は音の発生した場所につくと思わず足を止める。


「こんな晴天だけど、ほんとに雷でも落ちたのかな?」


音が発生した場所につくと、そこは雷が落ちたように真っ黒に焦げている。
空を見上げてみれも雲一つない晴天。

焼けた一面から熱は感じたが、進めないわけではない。
あり得ない…そう考える優はそのまま、焼けた一面を散策するべく進む。


焦げた場所の中心には、真っ黒な人影があった。
完全に炭化し、丸くなっている人影を見つけた優は血の気が一気に下がり我を忘れたように側まで走った。


「椿!!」


青ざめた表情で駆け寄った優。
護のように医学の心得が多少なりあれば、これの詳細がわかったとおもうが…少なくともこの人影が男性のものなのは素人の優でも分かった。
おそらく、優から逃げていた男だろうと思うが…。


亡くなった人には失礼な話だが、優は人影の正体が椿でなかったことに胸をホッと撫で下ろし、男の検死を後回しにして椿を探す。
長く戦ってきた自分でも得体のしれない状態だ、情報は得られなかったとしても策もなく作戦は望めない。
早急に合流して、撤退しよう。


道なりに進んでいくと、椿の悲鳴が聞こえた。

まだ間に合う。
そんなことを考えて少しでも足を前に前に進ませると少し開けたところに2人の人間がいた。

胸倉を掴まれて持ち上げられている椿。
そして、優に背中を向けて椿を左手で持ち上げている洋服を着た男。


「女性の胸倉を掴むなんて穏やかじゃないね?」


優は息の乱れを抑えながら、極力それを表情にださないように男に声をかけた。
男はややドスのきいた声で反応すると、そのままの姿勢で振り返る。

襟足を縛った明るい茶色の少し長い髪で、瞳は少し青みがある黒。
歳は、椿より少し年上な位で眉間にシワを寄せている。
右手には大きい七支刀が握られていた。


「なんだ、てめぇは?」

「その娘の親じゃよ!」


男がそういうと優は気が付かなかったが椿が起こした狼煙を追ってきた蓮が男に向けてトンファーを振りながらそう答える。
不意打ちにも関わらず男は難なく蓮の攻撃を右手の七支刀ではじくとめんどくさそうな表情を見せた。



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