コバナシ

鷹美

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第二話

第二話 3

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「父様、椿姉さん、おかえりなさい。」


テテテーと軽やかな足取りで、洋服の子供は椿に向かってきた。
声の高さや声質で洋服の子供は、女の子なのが分かる。

優は、嬉しそうな笑みを浮かべて女の子の両脇を抱えて高く持ち上げた。



「ただいま、楓。
無事に留守番はできたかな?
予定より遅くなってごめんよ。」

「私なら大丈夫。
そこら辺の賊なら、簡単に撃退できるわ!」


キラキラと目を輝かせて、優にそう言う楓。

そう言う問題ではないんだけどなぁ。
優は、そんな様子を困った顔で見た。


そんな中、籐麻は呻き声を上げながら吹き飛んできた男の子と一緒は起き上がる。



「籐麻、紹介するよ。
この子が、僕の娘の楓。

そして、君にぶつかってきたのは空。

楓、空、そこにいる金髪の子は籐麻。
新しい守護者候補としてこの地にきたんだよ。

ほら、挨拶なさい。」


優に下された楓は、テコテコと籐麻の所まで歩くと手を差し出した。
差し出された手首からわずかに包帯のようなものが見える。


黒いブカッとした帽子に、タートルネックの灰色のシャツに暗めのジーパンとスニーカー。
完全に、戦の服ではないが黒髪と黒い瞳は紛れもなく戦の人間のものだ。


「私は、楓。
優父様の娘よ、よろしく。」


ハキハキとして堂々とした姿は、優の教育の賜物だろう。

しかし守護者候補とは言っていない。
なのに、なぜこんな訓練紛いの事をしていたのだろう…。


そんな事を考えながら、籐麻は差し出された手を握る。


「俺は、籐麻。
優様に声をかけてもらって守護者候補となったよろしく…お願いします。」


籐麻は、少し間を開けてお願いしますと言った。
こんな所で暴れていたとはいえ、優の娘。

護の義理の弟なので、あれば…彼女も高貴な身分のものなのでは?
うっかり失言を言ってないだろうかと思考を巡らせていると、楓はクスッと笑った。


「別に言葉遣いは気にしなくていいわよ。
別に私は、籐麻の上司でもなんでもないもの。

友人として、対等に接してくれると嬉しいわ。」


なるほど、この性格なら人が集まるわけだ。
そんな事を考えていると、楓はぐったりしている空を籐麻から引き離して立ち上がらせる。


ほら、シャキッとするの!
小声で、空にそう言いながら服の土を払う姿はまるで姉や母のようだった。

…これかなぁ、椿姉さんが自分にやたら構う理由は。
そんな事を考えながら二人を見ていると、空は籐麻に向かって歩いてきた。

着物の中に楓と同じタートルネックのシャツ、袴の代わりにズボンと、エルトリアと戦の服がミックスしたような姿をしていた。
髪は優と同様に髷を結っていない黒い短髪、瞳はわずかに赤みがかった黒をしている。


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