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第3話
第3話 1
しおりを挟む夜が明けた次の日。
1日だけ時間をくれと蓮に言われたスーは、とりあえず和国を一周して話を聞く事にした。
お供は、空と籐麻と……楓。
「あれ、楓も一緒に行くの?」
「当たり前じゃない!
そこの二人より、私の方がこの領地は詳しいのよ。」
楓には楓の生活がある。
昨日、護に指示があった訳ではない為スーは来ないと思っていたのだろう驚いた様子で楓を見ていた。
しかし、ついてきて当然と腕を組み胸を張る楓。
空の土地勘はともかく籐麻はこの領地に住んで日が浅い為、何も分からないだろう。
「…まぁ、楓がいいならいいんじゃない。
道に詳しい人がいると俺は助かるし…同性のスーも嬉しいだろう。」
籐麻は、淡々とそう答えた。
だが、体はソワソワしている。
それもその筈、今日から籐麻にも武器が支給されたのだ。
刃の背に細かいギザギザがある2本の小太刀。
蓮の力作らしく、火の四大使いの侍の刀を参考にして2本の小太刀を擦れば火花が散り火の四大が使えるらしい。
訓練が捗るし、何より自分専用の新品が貰えることが初めてなので走り回れるくらい嬉しいだろう。
「時間は有限!
早速行こうか、えすこーとを頼むよ3人とも?」
手を後ろに組み少し屈んでスーは3人に言った。
仮にも美人の部類にあるスーの笑顔に、照れたのか空は少し下を向く。
楓は頬を膨らませると、そんな空の脛あたりを小突くように蹴る。
スーは、巷でいう光属性というコミュニケーション能力お化けらしく和国の街中でどんどんと情報を集めて行く。
しかし、見かけたら教えるばかりの答えでヨウにかかわる決定的な情報が集まらない。
「こんな人の多い場所でも集まらないものだねぇ。」
「そもそも、そのヨウとやらの調査は?
エルトリアとの交流が増えた結果何を知りたかった?
その内容に関係性のあるものを調べたら何かわかるんじゃないか?」
茶屋で休憩するスーは、団子を頬張りながらそうぼやく。
本日は晴天。
人通りも悪くないのに結果が出ない。
調査は進めるが半分諦めモードに入ったスーに藤麻はそう言った。
仲間の調査の一点張りで調査内容は一切口にしていない事に気が付いた藤麻は、スーにそう聞いてみる。
「…そうだね…。
…一言でいえば…怪事件…かな。」
言葉を選ぶように慎重にそう言ったスー。
怪事件。
何だか現実味の無い答えに藤麻達は首を傾げる。
同時に首を傾げた藤麻達の行動にクスッと笑ったスーは、お茶を飲みこんで続きを話始めた。
「怪事件はわかりやすく言っただけだよ。
例えば…原因不明で建物や物が壊れたり、人が亡くなったりしていること。
純粋にこの国の医療が進んで無いだけかもしれないけど、それがエルトリアの交流が増えてから目立ち始めたから、それを防ぐために一番身軽で適応力があるヨウに調査をお願いしたんだ。」
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