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第3話
第3話 4
しおりを挟む「情報収集をしながらでもいいなら。
いーよー。」
気の抜けた声でピオにそう返事したスー。
医者であるならば、自分達とは違った視点で物事が見えるだろうからいてくれたほうが助かる。
そんなことを考えながら、藤麻はスーを見た。
しかし、残念ながらそんな思惑があるとは思えない表情をしている。
まぁ、自分のやることは変わらない。
そう考えを纏めた藤麻は、まだ痴話げんかを続けている2人を止めると引き続き楓に案内を頼んだ。
ピオも和国は初めてのようで、楓の案内に目を輝かせて聞いていた。
異国の品が集まる雑貨店。
今は、エルトリア製の金髪人形やロボットが流行りらしい。
和国で、唯一コーヒーが口にできる茶屋。
他国の情報が好きな護夫妻は、コーヒーが苦手な体質らしく飲んだ日は1日寝れなくなったらしい。
楓同伴が条件でいける各地の酒が集まる優の行きつけの酒屋。
ピオも酒が好きらしく、かなり食いついて話を聞いていた。
そして文具屋。
樹海近辺ではそんな店はないらしく、計簿を記録している仲間の為にスーが万年筆をかっていた。
「見る物が一杯で、お姉さんびっくり。
お酒をたんまり買って、倭の家で飲み明かそうかしら。」
ピオがそんなことを口にしていると、いきなり知らない人がピオにぶつかり飛ばした。
飛ばされたピオは、空を覆うように倒れる。
楓は何を言おうとしたが…ぐっと堪えて、ピオを吹き飛ばした人物を探す。
ピオを吹き飛ばしたのは、大男のようで外見に見合わず逃げ足が速いようで見開けたときには少し小さくなっていた。
「ひったくりだ!
けが人もいる、誰か手を貸してくれ!!」
必死の男性の声が響く。
治安が良いと言われている和国でも度々、このような事件が起こる。
怪我したのは、藤麻達より小さな子供だった。
その話を聞いた藤麻は、ひったくりの大男を追う。
経験の浅い藤麻ではいきなり1人は無理だ。
止めようとした楓だったが、すでに藤麻は見えなくなっていた。
スーは、考え固まる楓の肩をポンと手を置く。
「藤麻は、オイラが担当するから楓はお医者さんを呼んできて。
空は偉い人の弟子なんでしょ、ある程度の指揮が取れるなら住民の混乱を少しでもいいから抑えてあげて。
頼んだよ。」
ニコっと笑ったスーは、楓や空の答えを聞く前に藤麻を追っていく。
スーは、氣がつかえる。
見失ってしまった自分達とは違い、藤麻を追えるかもしれない。
「ほら、起きて二人とも!」
楓は、頬を軽く叩くと少し癪に感じながらもスーの指示に従った。
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