122 / 151
第4話
第4話 11
しおりを挟む遊郭の近くまでいくとその大きさに二人は圧巻する。
4階建ての城のような大きな建物で、大きな塀と堀で建物を囲んでいる。
堀には、先程の小川と違い色とりどりのコイが泳いでいた。
綺麗と目を輝かせながら見るシュリ。
籐麻の嫌な予感が辺り、自分達を見る視線が妙に痛い。
触らぬ祟りなんとやら。
籐麻はシュリの手を引きこの場を去ろうとするが、声をかけられた。
「お前たち、何処から来た?」
「…和国から。
父の付き添いで花街までやってきたのだが、剥がれてしまい土地勘が分からないまま歩いてここまで来た。
俺達がここに迷い込んで何か問題でもあるのか?」
おそらく遊郭の警備の侍だろう。
威圧的に話しかけて来た為に籐麻は咄嗟にシュリを自分の背中に隠すように移動させた。
籐麻の態度が気に入らないのが少し眉をピクッと動かした後に頭をバリバリと掻き始める。
「子供がくるような場所ではない。」
「それは悪かった、すぐにこの場を離れる。」
籐麻は、そう言ってシュリの手を引いてこの場を離れようとしたが警備の男は籐麻の手を掴んだ。
内心で舌打ちを響かせた何に籐麻は後ろを振り返る。
「まだ何かようか?」
「また迷い込まれても面倒だ。
親は誰だ?
呼んできてやるから、教えろ。」
自分みたいな小物になぜそんな高圧的に話しているのだろう。
籐麻は、侍の態度に呆れた表情を浮かべてしまった。
「案内が必要なほど幼くはない。
この道は覚えた、もうここにはこない…失礼する。」
籐麻は、侍の手を振り払って進む。
その態度に腹を立てたのか、侍は腰にある刀を抜いて籐麻に向けた。
「痛い思いはしなくないだろ。
俺に従え。」
…ぁあ、男尊女卑が酷い街の一つだったか。
大人の男が上であとは下。
子供なら尚更…ってやつかな。
籐麻は息を深く吐き出した。
「おう、ビビって声がでないのか?」
侍は油断しているようで籐麻を小馬鹿にするように声を張り上げた。
訓練は手を抜いていない。
訓練とはいえ、あの侍より格上の人達と何度も手合わせをしてきた。
「シュリ、舌を噛まないように気をつけてね。」
籐麻は、身を低くして振り返った後に掌底で侍の刀を弾き飛ばした。
咄嗟の事に驚いた侍の姿を確認すると、シュリを勢いよく背中に乗せて思い切り走り出しす。
誰かを乗せているとはいえ、一回の跳躍で建物の3階分の高さまでいける脚力があるのだ。
下り坂の勢いもあってグングンと侍との距離をあける。
侍が遠くから待てっーと声を響かせているが、姿は見えない。
シュリはベーっと舌を出して姿が見えなくなった侍を挑発しているようだった。
挑発はやめろ。
そう言いかかったが、安全な場所についてから。
籐麻は、とりあえずシュリと会った高台まで足を進めた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
親友面した女の巻き添えで死に、転生先は親友?が希望した乙女ゲーム世界!?転生してまでヒロイン(お前)の親友なんかやってられるかっ!!
音無砂月
ファンタジー
親友面してくる金持ちの令嬢マヤに巻き込まれて死んだミキ
生まれ変わった世界はマヤがはまっていた乙女ゲーム『王女アイルはヤンデレ男に溺愛される』の世界
ミキはそこで親友である王女の親友ポジション、レイファ・ミラノ公爵令嬢に転生
一緒に死んだマヤは王女アイルに転生
「また一緒だねミキちゃん♡」
ふざけるなーと絶叫したいミキだけど立ちはだかる身分の差
アイルに転生したマヤに振り回せながら自分の幸せを掴む為にレイファ。極力、乙女ゲームに関わりたくないが、なぜか攻略対象者たちはヒロインであるアイルではなくレイファに好意を寄せてくる。
王妃様は死にました~今さら後悔しても遅いです~
由良
恋愛
クリスティーナは四歳の頃、王子だったラファエルと婚約を結んだ。
両親が事故に遭い亡くなったあとも、国王が大病を患い隠居したときも、ラファエルはクリスティーナだけが自分の妻になるのだと言って、彼女を守ってきた。
そんなラファエルをクリスティーナは愛し、生涯を共にすると誓った。
王妃となったあとも、ただラファエルのためだけに生きていた。
――彼が愛する女性を連れてくるまでは。
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる