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第一章、〘運命の歯車〙

ギア8、可憐な華と可憐な悪

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「前回、ジャアクヒゲジロハサミムシの正体が判明し、そのジャアクカルマは友達であるナナミを連れ去り何処かへ行ってしまう。そして、ナルヤ改めマイナス兼ギアヒーローエヴォは、二人を追いかけ廃病院へとたどり着く。しかし、そこでエヴォは双剣のトランスギアを持つ謎のギアヒーローと出会ってしまう。さぁ、エヴォの運命はいかに。...しかし、謎のギアヒーローは小柄でまだ可愛らしい女の子のような声。一体彼女は、何者であるのか...私も楽しみです。ん?もしかしてネストはロリコンですかって?…ハハハ。...では、今回もお楽しみに。」「なんだったの今の間?」「ちょ...入ってこないでください...!違いますから!あ、ちょっ((」

エヴォは廃病院の古びたエントランスで、謎のギアヒーローなに悪戦苦闘を強いられていた。
「ッ...!速いなこいつ...!まだ戦闘経験積んでない俺からしたらクソ強い...!」
「ハハハ!もっともっと!楽しませてー!」
禍々しい花柄の双剣は、紫色の残像を描きつつエヴォを追い込んでいく。どんどん後ろへ下がっていくエヴォは、遂に廊下の突き当たりの壁に背中を付けてしまう。
「やべ⁉」
「くらえー!」
もう後ろへ逃げられないエヴォをお構い無しに放たれた双剣の斬撃は壁を切り裂き、そこから更に放たれた余波が壁を砕き、崩壊させる。しかし謎のギアヒーローは、人を斬った手応えを感じていなかった。あったのは壁を切り裂いた感覚。
「ん?あれぇ?英雄さんはー?」
[カワラバッタ!]
「こっちだ!」
エヴォはカワラバッタギアのジャンプで舞い上がり、斬撃を紙一重で避けていた。そしてそのままの勢いで、強烈なキックをお見舞いする。
「へへっ♪そこかー♪」
しかし、カワラバッタのキックは右の剣で容易に防がれてしまう。左の剣の斬撃が来る前に、エヴォはキックした際に溜めていた足のバネを利用し、謎のギアヒーローの後方へジャンプして攻撃を避ける。
「ちっくしょーこいつ...マジで強くてなんかむかつくわー...つーかお前!何者だよ!」
「えっとねー、フォリカの名前はねっ♪言えなーい♪」
「言ったやん。」
エヴォは思わずツッコむ。
「あ、因みにこの姿はね!ジャアクギアヒーローって言うんだよ!」
「ジャアクギアヒーロー....?...名前まんまやなー。...じゃなくて!てことはお前、ノーネームって奴の仲間か!」
そしてエヴォは、バックルのホルダーからギアを取り出す。
「じゃあ、遠慮は要らないな!フォリカって野郎!」
「んー?」
[ディンゴ!]
「フォームチェンジ!」
カワラバッタギアとディンゴギアを入れ換える。
[TRANS FROM.]
[ディンゴォ…コンボォ…パネェ速さでReady Go…]
[EVO THE HENSHIN.][ディンゴ!]
ディンゴ。それは野生に生息する犬であり、きつね色をした家畜ハンターである。エヴォは、体の至るところのパーツがディンゴを模した姿になる。
「わぁー可愛いー♪」
「へ!見た目は可愛いかもだけど、バラに棘ならディンゴに爪だ!」
エヴォは、フォリカというギアヒーローに匹敵する速度で距離を詰める。獲物を捕らえんとするその速さは、フォリカでさえも少しだけ驚く。
「わっ⁉もー急だよー!」
「知るかよオラァァ!」
エヴォは鋭く立てた爪で、フォリカを剣ごと切り裂こうとする。
「でも...♪」
「⁉」
...が、その攻撃は即座に、そして余裕に、あっさりと受け止められてしまう。
「...マァジかよぉ....」
エヴォは思わず苦笑いし、「正直侮ってたわ…」とフォリカに煮え湯を飲まされてしまう。
「じゃあ今度は!こっちの番!」
フォリカは、双剣の鍔に取り付けられている二つのギアを回す。
[呪炎剣破滅じゅえんけんはめつ...!][狂乱剣殺意きょうらんけんさつい...!]
「右の破滅...左の殺意...二つが揃えし刻、絶望の扉...今、開かん...!」
エヴォは、フォリカの背後から伸びてきた刺々しく禍々しい花のツルに捕まってしまう。
「ヤベッしくった...⁉」
[呪・炎・狂・乱じゅ えん きょう らん崩落滅斬華ほうらくめつざんか...!]
双剣は禍々しく光り大きく燃える。フォリカは身動きの取れないエヴォに突撃してくる。
「...ごめんね....」
するとそこで聴こえた、泣きそうな震えた声。
「え...?」
その声は、フォリカから聴こえた。しかしフォリカはそれとは裏腹に、エヴォの周りをぐるぐると回り、連撃を叩き込む。
「ア…ガハッ…!?」
フォリカの言葉に戸惑ったエヴォだったが、無数の斬撃をもろに喰らい、強制変身解除をしてしまう。そのままマイナスはバッタリと倒れてしまい、目を静かに瞑る。謎のギアヒーローフォリカの最後の言葉の意味が分からないまま、意識を失う。
「...まだ生きてる....」
フォリカは右の剣、破滅を逆手に持ち、マイナスにトドメを刺そうとする。
...だがしかし、その手は震えていて躊躇いがあった。
「!」
フォリカは、どこからともなく現れた大きなハサミを避ける。そしてそのハサミはマイナスを連れて何処かへ行ってしまった。1人残された謎のギアヒーローは、膝をついて俯いてしまう。
「...ラカは...どうしたら....」

校舎裏
「くっ!この女!やはりノーネームの!」
「それにこいつら!また増えて...!」
一方でダヌアとクイップは、謎の女が引き連れているパンツ一丁の覆面男たちの猛攻に苦戦している。
「あらあら?あんたたち、そんなもんかい?あたしの奴隷達に負けてるようなら、まだひよっこねぇ?」
その女は、露出度の高いバニーガールのような服装をしており、胸が大きく、目が虚ろである。手に持った太めの黒い鞭は、定期的にパンツ一丁の男たちを打ち、操っている。まるで下僕のように。奴隷のように。
「じゃあそろそろ、終わらせてあ・げ・る♡」
「チッ!」
「ブラック!一旦引きますよ!」
「遅いわ!味わいなさい...奴隷ノ特攻自爆インパクトデストラクション!」
「「「姫様の命令はぜったーい!!!」」」
男たちは、ハートの描かれたダイナマイトを体に巻き付け、ダヌアとクイップに特攻してしがみつく。
「まずい...!」
「ギアを取り出せる暇が...!」
男たちは、二人をおしくらまんじゅうのように詰め寄り、大爆発を起こす。その爆発は、学校を巻き込んでしまう。
「「ぐあぁぁぁ⁉」」
町中には二つの爆発音が響き、大混乱に陥る。悲鳴、泣き声、炎の音...二人は強制変身解除され、その光景を目に焼き付けてしまう。
「そんな...この光景は...あの時と同じ...」
「...PIG・QUEENピッグ・クイーン...!貴様...!」
「あらあら、怖いわぁその目。でも、残念ねぇ。怪我人も居なければ死者もいないわねぇ...」
PIG・QUEENは半壊した学校を見る。二人も視線に釣られて見てみると、そこにはボロボロのエヴォとジャアクヒゲジロハサミムシの姿があった。
「ハァ...ハァ...インドサイギア...!」
インドサイとは、鎧のように見える厚い皮膚を纏った生物で、その装甲は天敵から身を守り抜くには十分過ぎるほど頑丈なのである。
エヴォは、インドサイギアとディンゴギアを組み合わせ、瞬時に校舎内の生徒達を守り抜いた。しかし、エヴォは力を振り絞り切ったのか、そのまま膝から順に倒れてしまう。
「...この坊や....ふふ、なるほどねぇ。でも、今はここまでね。じゃあね、二人とも♡」
「待て...!貴様....は....俺...が....」
「ブラック!...ここは....皆に正体がバレる前に....!」
クイップはパンサーカメレオンギアを起動する。
[パンサーカメレオン!]
[GOOD!WEAPON UP!][カメレオンマント!]
カメレオンを模したマントで、ダヌアとエヴォをマジックショーのごとくマントを纏わせ、姿を消させる。
「ここは、撤退します....!」
「エヌ....!待ってくれ....!ハサミ野郎と眼鏡...あいつらも一緒に....!」
クイップは半壊した学校を見上げる。そこには、身を呈して生徒を守ったジャアクヒゲジロハサミムシ、その怪物を涙目で見つめるナナミの姿があった。
「父さん...分かりました。フッ!」
しっかり校舎内の生徒が全員脱出したことを確認したクイップは、カメレオンマントの付いている肩パットから、舌のようなムチを伸ばし、二人を取り巻く。
「キャ⁉」
「コ…コレハ……?」
クイップは2人をしっかり掴めたことを確認し、すぐに撤退しようとする。
「ハァ....ハァ....まだだ....!俺は....あいつを....!あのクソアマを....!」
しかし、ダヌアには決して、皆に姿がバレるバレないの考えがなかった。そんなことより、何処かへ消えたあのPIG QUEENという女を本能の赴くままに探していた。必ず殺すという感情が、表情から溢れでている。
「いいえ...撤退です....もう、こんな光景は見たくない....」
「...クソッ....!」
突如現れた謎の戦士、ジャアクギアヒーローフォリカとPIG QUEEN。三人は新たな二つの脅威に倒され、守るべき物に傷を付けられる。...ナルヤ達には、一体どのような試練が待ち受けるのか。
(...ごめんね....)
「...あいつは....一体.....」

第一章[始まりの英雄達]、完結。ギアヒーロー達の運命は如何に。

次回ギア9、正義の代償は失う事

おまけ
「はーい第一章が終わりましたー。ナルヤ改めマイナス兼エヴォだよー。なーんかすぐ第一章終わったけど、これって最初だからな。速く終わるのは当たり前田のクラッカー体操か。へへ。さてっと...何々?せっかくの記念すべき第一章完結なので、読者へ感謝の言葉を。by.オルタナ(作者)。...って言われてもなぁ....まぁ、そうだな。んーと...皆!ギアヒーローズ第一章を観てくれてありがとうな!俺もこの先どうなるかは分からんけど、第二章もよろしくな!いぇーい!....んじゃ、次回もまた見てね!」
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