ギアヒーローズ

オルタナ(並能シウキ)

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第二章、〘飛び交う依頼〙

ギア19、異常事態発生?おむすび転がったその穴へ。

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「皆さんこんばんは。突然ですが、貴方はおにぎりを食べる時、何の具が入っていると幸せですか?私?私はエビマヨです。あの味は本当に、心踊るものがあります……さて、今回の第19話はどのような展開になるのでしょうか?こちらも、心が踊りますね。では、今回もごゆっくりどうぞ。」

「君らはさ、おむすび食うなら何の具材がいい?」「…やけに急だな。朝飯中に。」「ってか、おむすびって言うんですね……僕はおにぎりって言いますけど…」「…俺は握り飯って言う。」「いや穴闇渋っ。」
とある日、3人は朝食におにぎらずと味噌汁とアジの開きを頂いていた。おにぎらずを見たマイナスは、ふと話題のネタを思い付き、それを早速彼らにふっかけていた。
「…そうですね……僕は、梅ですかね。僕にとってのおにぎりと言えばの具材ですし。」「俺は塩だ。あまり具材に頼らず、おにぎりそのものを嗜みたい。」「…真太はともかく、穴闇に関してはそこそこ特殊だなー…」「悪かったな特殊で。だが、それを言うお前はどうなんだ?変な物だったら許さんぞ。」「ツナマヨ。」「…なんとも言えん。」「おいツナマヨ好きに謝れ。」
2人が言い争っている間、止めるのは面倒くさいと察した真太はおにぎらずを黙々とおいしそうに食べていた。
「…あ、そういえば2人とも、おにぎりで思い出したんですけど、これ、今日やる依頼内容です。」
何食わぬ顔でマスタフォンを取り出し、2人は目の前に出された画面を見てみる。
「…[おにぎりころりんすっとんとん]……?」「…依頼名はふざけているが、とりあえず内容を聞こう。何の依頼だ?」「…えーと、おにぎりが転がって、それ追いかけて、そしたら巨大な穴に落っこちて…しまったらしいです。」「「???」」
説明されても何も分からず、2人は眉間にシワを寄せて首を傾げる。
「…つまり、穴に落っこちたから助けてくれとの事です……」「…そういうのってさ、消防隊員とか警察とかの仕事ちゃうの……?」「…もしかしたら、俺達が思ってる以上の異常事態が発生してるのかもな。」「…思ってる以上・・の……異常・・自体……プッw」[ギアバッシャー!]「腕か、足か、それとも頭か?最低一個の生贄を選べ。」
成也は想定されていなかったシャレに気付き吹き笑いしそうになるが、穴闇は怒りと恥ずかしさが7:3の割合の感情になってギアバッシャーを取り出し、刃先を彼に向ける。
「生贄かー…俺のおにぎらずあげる。」「…交渉成立だ。」
穴闇は差し出されたおにぎらずを手に取って1口頬張る。
「穴闇ってほんっとにおにぎり好きですね。いっつも三日三晩食べてますし。」「料理の中ではお手軽だからな。あまり凝りすぎたのは作れんが、これなら美味いし何時でも携帯して食べられるしな。」「それ”おにぎらず”だけどね。」「黙れ。」
穴闇は顔をしかめて成也を見ると、彼は残ったおにぎらずをもう平らげており、真太の方はもう歯を磨いていた。
「…真太早くね?」「貴方達が遅すぎるんですよ…僕黙々と食べていましたし。」
2人は洗面台に行ってしまい、食卓に残された穴闇はため息をして、貰ったおにぎらずを静かに食べるのであった。

[潜像公園モグゾウコウエン]
いつも通り、ネストの転送装置で依頼のあった現場に向かう御一行。3人はバイクから降りて、周囲を見渡す。
「…ここはー……公園?」「だな。遊具にベンチに野外のバスケのコート。そして巨大な穴……」「…思ったより早く見つかりましたね。」「いや、でっっっかくね……??」
穴闇がここが公園であることを証明するために、片っ端からこの公園にあるものを指差しで確認するが、とんでもない存在感を放つ巨大な穴が、嫌でも彼らの視界の中に入ってしまうのであった。
「うーん、やっぱり…さ、こういうのって俺らの仕事じゃなくね…?」「確かに。普通なら至急、110番か119番だな。」
彼らの目の前にある巨大な穴は、おおよそ半径1mあった。男が1人ずつ順番に入れば、詰めることなくそのまま落ちる位の広さだった。そして、成也は恐る恐る穴の中を覗き込むが、どう見てもその深さは底知れなかった。
「…ほんとに依頼人無事なんこれ。ブラジルに繋がってんのかってくらい先が見えん。」「いや、フツーなら多分死にますよこれ。」「だが、依頼はこの中から普通に来てたぞ?」「…もしかして……」「「「…幽霊……?!」」」「あ、あぁ……?ぁあ……!アンッギャアアアーーッ!!!「うるっさいッ!!」

[少年抑制中…]
「…ったく。父さんも”幽霊”って単語くらいでビビらないで下さいよ。もしかしたら何かしらの理由で無事なのかもしれませんし。」「だからってゲンコツはヤバない?ねぇ?君は俺よりよっぽど鍛えてるんだよね?ねぇ?」
成也は涙目になりつつ頭に2~3個ほどのタンコブができており、対して真太はため息をつきながら手をはたいていた。真太のゲンコツは気持ち生のかぼちゃ並みの硬さだったという。
「…しかし、仮に無事だったとしても重症の可能性はある。もし俺たちが早めに行かなくて間に合わなかったーなんてことあってみろ。割と本気で呪われるぞ。」「なッ!?呪われるのはごめんだわ?!」
父さんはちょっとしたジョークにすら反応する程ビビりなんだなーとつくづく思う真太であった。
「…よし、ここからは仕事だ。マイナス(成也)、エヌ(真太)、行くぞ。」「はい!行きましょう!」「おー!…って言いたいんだけど、こんな底なし大穴、どうやって安全に降りるんだ?」
改めて大穴を覗き込むが、何度見てもやはり先程と変わらず底なしで、喋る度に遅れて声が響く程であった。こだまの原理すらも知らない3人でさえも、これはヤバイとすぐにわかるほどであった。
「…そうだな。こういう時こそ、ギアの出番だな。」「んーでも、モグラみたいな奴でもう1個穴を作ろうにも、大穴を沿って掘るには流石に難しいし、アスレチックみたいに両手両足を使って上手く壁をつたるにも、俺はアスレチックなんてあんまやってこなかったから多分無理だし、そもそもどれくらい時間がかかるかも憶測さえつきやしないし。」「…マスタフォンには何かないんですか?」「…」
真太の言葉に一同は「…あぁー……」とその手があったかと言わんばかりの反応をし、早速成也はマスタフォンを起動し武器一覧を見てみる。
「…あるやんバリバリのロープ。」「…」

「「「困った時はマスタフォン!!」」」

「ってなんでマスタフォン使いこなしてる2人も感心してんの…」「いやー、僕は変身できるクイップの能力が能力ですし。」「俺は遺伝子操作できるしな。」「…え、遠回しに足でまといって言ってません??ヒーロー歴ビギナーズレベルの俺が足でまといって遠回しに言ってません!?」「…」「なんか言ってッ?!」

[潜像公園:地下]
[ギアロープ!]
「うっへぇ…暗ぇ……ロープと生身だけで突っ込まなくて良かったー……」「父さんはヒガシゴリラ、ダヌアはハクビシン、僕はボリビアリスザル…」「なんでマイナスだけゴリラなんだ?」「君たちほど手持ちのギアのレパートリーがないんですぅー!」
マイナス達は生身で大穴に突入するのは危険と予測したため、穴に入る前にそれぞれの変身形態へと姿を変える。エヴォ(成也)はヒガシゴリラフォーム、クイップ(真太)はボリビアリスザルグローブ、ダヌア(穴闇)はハクビシンフォームと、それぞれがロープを伝って下る際に最適だと判断した形態なのだが、ギアをあまり持っていないエヴォだけが、剛腕かつノロマな形態に変身していた為、2人に先をどんどんと越されることとなる。
「え、いやいやちょ、待つって知ってる?」「ギアを持ってない父さんが悪い。同じギアを2人で使うのは無理ですし。」「そんなに言うなら、ギアの複製をネストに頼めば良かっただろ。」「お前ら慈悲無いんかッ!!ってかギア複製出来るのかよ先言えやッ!!なんか前々から思ってたけどお前ら説明不足が過ぎるだろって?!遊園地の時も同じことあったぞおい!!」「…えーんなんでそんな責めるんですかーヒックヒックー(棒)」「おいエヌを泣かすな親父さんよ。それでも親か?」「ッかぁー、お前らこのまま飛び降りたろか?」
親子喧嘩によってグダグダになりつつも、彼らは着実にロープを伝って、未だに行き先不明の大穴を下っていく。
「…というか、そろそろ着いて欲しいんすけど。もう上の入口見てみぃや?」「…光が消えてるな。」「…確かにこの大穴の底、深すぎですね。まるでブラックホールです。」「なるほど…なら、ブラックホールがあるんならホワイトホールも(多分)絶対(とは言えないけど)ある!諦めずに下ってこー!」「プラス思考なのはご勝手だが、少し雑念としてネガティブ思考の要素が入っていた気がしたのだが気のせいか?」
3人はまるでピクニックのような気分になり、一周回って少し楽しくなる。
「いやーなんか、ちょっとピクニック気分になってるからさ、こういう時こそおにぎりが欲しいよなー。おにぎらず持ってくればよかったなー。」「こんなデンジャラスチックな遠足があってたまるか。」「…でも、流石に朝ごはん食べたあととは言え、少しお腹は減ってきているような気がしますね。」「…そんなたわいもない話をしている間に、着いたらしいぞ。」「あ、ホントですね!地面が見えました!」「え?マジ?俺最後尾だから分からん見せて見せ――」ツルッ「は?」「え?」
やっと着いたという一瞬の油断がゴリラの腕力をほぼ0にし、エヴォはそのままロープを離して2人を巻き込みながら落下する。
「ちょっと待っ――」「ごめん無理ぃーッ!!」「はぁ…結局こうなるか…グハッ!?」
「「「ッあぁぁぁああーー?!!」」」「イタッ!イテテ……ッぐぇえッ?!」「ホゲァッ!?うぅ…なんかクッションが……ッほがァ?!」「ッぐぇぇえまたですかァァッ?!!」「…おぉ、いいクッションだな。まるで倒れた人が重なったところに降りたみたいだ。」「お前…空中で上手いことわざと俺の後ろに行ったろ……」「ほう?なんの事だ?」「…え、ぶちのめされたい!!?」「…いやちょっと僕は?!僕は2人の下敷きになったんですよ!?」「「あ、すまんすまん若干忘れてた。」」「若干でも忘れないでください?!」
エヴォ達はハチャメチャな喧嘩を繰り広げていたが、その喧嘩を繰り広げていた口以外はしっかりと今すべき行動をしっかり行っており、マスタフォンで懐中電灯を出して光の確保、いざと言う時用にギアバッシャーやギアシューターの先出しなど、脳と体の神経が分断されてるのかと言いたいほどの手際の良さであった。
「…さて、ライトONした訳だが、この大穴、道は一方通行っぽいなぁ。」「…2人とも!「「はい/おう2人ともです/だ。」」…これ見てください…」
クイップがあるものを壁際で見つけ、2人は彼が見つけたものを覗き込むように見てみる。
「…これはぁ……えーと、ご飯粒?」「……マスタフォンで解析したが、これは新潟コシヒカリだな。」「いや品種は良いんだけども…なんでこんなとこに?」「…もしかして……2人とも!依頼内容を思い出してください!」「ん?んーと……」

(おにぎり落としたー追いかけたー大穴レッツラゴー助けてーヘルプミー。)

「……おにぎりレッツラゴー!!」「…え、どんな思い出し方したんですか?」「しかし、もしかしたらこの新潟コシヒカリは、依頼主のおにぎりの可能性があるな。」「え、依頼主泥漬けおにぎり食ったのか!?」「なわけありますか。多分、何かしらの生物か、または…この大穴を作った何か……の可能性も。」「…あー、となると、デスブレイドの手先の可能性もあんのか。」「…とにかく、これは回収しとこう。こういうのは、案外いざと言う時に役立つからな。」
ダヌアはまるで犯行現場の証拠となる遺品を回収するように、透明のポチ袋に米粒を入れる。
「…よし、では、先を急ごう。」「ってか、今思ったら俺らが降りたところに一滴の血もなかったな。」「…確かに、言われてみればそうですね……」
3人は先程クイップがうつ伏せになった痕跡のある所をマジマジと見てみる。ダヌアは周辺をマスタフォンで解析してみるが、エヴォの言う通り血の痕跡は一滴もない。それどころか不思議なことに、人の足跡すらないのだ。
「…足跡の痕跡すらない。この事実を元に考えて、依頼主の正体は……幽霊…」「え。」「…では無いと思うが、さしずめ、一般人では無いだろうな。」「…てことは僕たちは、まんまとデスブレイドの策中にハマったということですか?まぁ、依頼内容の怪しさから何となく分かってましたけど…」「…つまりえーと、今回の敵は……」「依頼主…の可能性が高いってことだな。」「…策にハマったのは事実、ここまで来たら、僕たち自らで策に突っ込みましょう。」「…だなぁ……行くか……。」

次回ギア20、螺旋洞穴、ネズミの思う壷?

おまけ
「ふん⤴︎ふん⤵︎ふーん→♪ふふふんのォー⤴︎⤴︎ふぅーん⤵︎⤵︎♪このワシ天ァァ⤵︎⤵︎才ィ⤴︎⤴︎イチゲン博士ぇー⤴⤴♪」「音痴ですね。」「ネスト……フン♪今この私はとっても気分がいい……♪たとえホワイトライオンギアのようにワシの天才ソングを書き消されても、今なら許せるぅぅ…⤵︎⤵︎♪」「…そんなにまた急な……何があったんですか? 」「…聞いてもののけッ!」「それを言うなら”驚け”です。」「……驚けッ!!!私は今とんでもないギアを開発した……その名も…”メカニカルブラスターアーマー ”!!!」「メカニカル…生物系では無いんですね?」「…まぁなァ、流石に生物系だけじゃあ、デスブレイドには勝てんよ。だからワシはそのうち、生物系以外の存在にも手を出そうと考えておる。もしかしたらそのうち、成也の夢も叶う・・・・・・・…かもしれん。憧れの英雄・・・・・に会う、というな。」「……?」「…それに、あの黄金のギア、過程は同じはずなのに、何故ヒゲジロハサミムシは行けてパラポネラは行けなかったのか?…ワシはこれを踏まえて考察するに……あの黄金のギアは、世界に一つしか存在できないギア・・・・・・・・・・・・・・・…と考えておる。」「…まさか?イチゲンさんの言う生物系以外の存在って…」「…考察じゃがなァ……」「…相変わらずキャラブレブレですね……」「なんじゃと?」「何でも許せないじゃないですか。」
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