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木曜日(3)
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「幻魅桃を使ったのかね?」
声に振り向くと、窓辺にあの老人が座っていた。
「あ、あんた桃に……毒でも塗ったのか?」
直史は、青ざめ口が震えているのが自分でもわかった。
「まさか。寝てるんじゃよ。ほれ、早く思い描いた状況を伝えんか」
老人はふわりと直史の前に降り立つ。
「寝ている」と聞いて紡が呼吸をしている事に気づき、直史は安堵した。が、今度は疑問符が頭に浮かぶ。
それに気づいたのか、老人は口を開いた。
「幻魅桃は……いわゆる"ほれ薬"じゃ。目を覚ます前に、なりたい状況をなるべく細かにささやくんじゃよ。桃を食べた者は、目覚めればそれが現実となるはずじゃ」
――ほれ薬だと!?
驚いて紡の顔を見るが、すぐに老人に視線を戻して、怒鳴った。
「アホか! 俺はコイツにそんな感情持ってねぇよ!」
しかし、老人の姿は消えていた。
――夢でも、見てるのか……ほれ薬なんて……どう見てもただの桃……こんなの……
腕の中で寝ている紡を見る。
――ある訳が……ない
少し冷静になり息を吐く。
一瞬本気で心配したのに、気持ち良さそうに眠る紡をみて徐々にイタズラ心が湧いてきた。
直史は、ゆっくりと口を開いた。
「……紡は、俺に告白した。今日、家に来たのはそのためだ。俺の事が好きで、いつも一緒にいたいと思ってる。手をつないだり……ハグしたり、キ……」
――何……言ってんだ俺は……
自分のとった行動に呆れ、大きくため息をつく。
こんな事、現実になる訳がない、そう思っているからバカらしいくもありえない事を口走ってみたくなったのだ。
ただ、それだけだった。
ゆっくりと紡の目が開く。驚いて、その体を落としてしまいそうになった。
「大、丈夫か?」
「あれ……どうしたんだろ?」
上体を起こし、目をこする紡。直史は何事もなかったフリをする。
「ちゃんと飯食ってるか? 急に、倒れたんだけど?」
「……ごめん。なんか、頭がフワフワする……」
直史はグラスに水を入れて渡す。
まだきちんと覚醒していないのか、紡は一点を見つめたまま水を一口飲んだ。
ほれ薬の効果なんてあるわけがない、それを証明したくて直史は聞いてみた。
「な、なんかさ……俺がどうのって……その……」
きっと部活をサボった話になるだろうと、直史はその答えを待った。
だが、紡は咳込んで赤くなった。
「ごめん。め、迷惑なの、わかってるよ。でも……でも好き、だから」
――……冗談、だろー……
直史は、青ざめた。
紡は目を合わせる事なく、水を飲み干し「ごちそうさま」とグラスを置いて去っていった。
声に振り向くと、窓辺にあの老人が座っていた。
「あ、あんた桃に……毒でも塗ったのか?」
直史は、青ざめ口が震えているのが自分でもわかった。
「まさか。寝てるんじゃよ。ほれ、早く思い描いた状況を伝えんか」
老人はふわりと直史の前に降り立つ。
「寝ている」と聞いて紡が呼吸をしている事に気づき、直史は安堵した。が、今度は疑問符が頭に浮かぶ。
それに気づいたのか、老人は口を開いた。
「幻魅桃は……いわゆる"ほれ薬"じゃ。目を覚ます前に、なりたい状況をなるべく細かにささやくんじゃよ。桃を食べた者は、目覚めればそれが現実となるはずじゃ」
――ほれ薬だと!?
驚いて紡の顔を見るが、すぐに老人に視線を戻して、怒鳴った。
「アホか! 俺はコイツにそんな感情持ってねぇよ!」
しかし、老人の姿は消えていた。
――夢でも、見てるのか……ほれ薬なんて……どう見てもただの桃……こんなの……
腕の中で寝ている紡を見る。
――ある訳が……ない
少し冷静になり息を吐く。
一瞬本気で心配したのに、気持ち良さそうに眠る紡をみて徐々にイタズラ心が湧いてきた。
直史は、ゆっくりと口を開いた。
「……紡は、俺に告白した。今日、家に来たのはそのためだ。俺の事が好きで、いつも一緒にいたいと思ってる。手をつないだり……ハグしたり、キ……」
――何……言ってんだ俺は……
自分のとった行動に呆れ、大きくため息をつく。
こんな事、現実になる訳がない、そう思っているからバカらしいくもありえない事を口走ってみたくなったのだ。
ただ、それだけだった。
ゆっくりと紡の目が開く。驚いて、その体を落としてしまいそうになった。
「大、丈夫か?」
「あれ……どうしたんだろ?」
上体を起こし、目をこする紡。直史は何事もなかったフリをする。
「ちゃんと飯食ってるか? 急に、倒れたんだけど?」
「……ごめん。なんか、頭がフワフワする……」
直史はグラスに水を入れて渡す。
まだきちんと覚醒していないのか、紡は一点を見つめたまま水を一口飲んだ。
ほれ薬の効果なんてあるわけがない、それを証明したくて直史は聞いてみた。
「な、なんかさ……俺がどうのって……その……」
きっと部活をサボった話になるだろうと、直史はその答えを待った。
だが、紡は咳込んで赤くなった。
「ごめん。め、迷惑なの、わかってるよ。でも……でも好き、だから」
――……冗談、だろー……
直史は、青ざめた。
紡は目を合わせる事なく、水を飲み干し「ごちそうさま」とグラスを置いて去っていった。
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