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第十七話
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「何を知ってる?」
僕は再度、ルールーににじり寄る。
「ちょっ、だから、近い近い近い。俺、ファイアさんにそういう気、起こすつもり一切ないからやめてぇ!」
「は?」
「……話すからちょっと落ち着けって」
肩を押されて、後ろに下がる。距離を開けられてしまった。
流石は冒険者ランクAの剣士か。力が強い。
「昨日ファイアさんと飲んだ帰りに見たんだ。ファイアさんのど……」
「ラックとナリヤを?」
ルールーはじっと僕の顔を見たあと、こくりと頷く。
ここまで知られてしまったらもう、ルールーの前で取り繕っても仕方がない。
「それと、昨日怪我してたって話のおっさん……ホンドンって名前だっけ? そいつもいた」
「ホンドンさんが……?」
「ああ、てか、やっぱり知り合いか?」
僕は頷いた。
ラックとナリヤがホンドンさんと一緒にいた?
なんで?
「ってことは、昨日のあのちっこいガキ、リフだっけか? 本当は他の奴に絡まれないようにしてたとか?」
「……ん? うーん」
二人は外に出る為にホンドンさんの力を借りた?
いや、でも何のために?
「ファイアさん、俺の話聞いてねぇな……」
「ルールー」
「はいはい、なんでしょうか?」
あれ? なんか不機嫌?
まあ、いいや。
「ラックとナリヤは街の外に向かってたの?」
「ああ、そうだな。ホンドンも含めて三人だったけど。荷馬車に何かを沢山積んでたみたいだったな。布が被せてあって中身は見えなかった」
「ホンドンさんも、一緒に……?」
「三人組でコソコソしながら門に向かってる怪しい奴らがいるなーって感じだったな。猫だからしょうがないけど、ローブ被ってて顔見にくかったし」
ホンドンさんと荷馬車に荷物を積んで外に向かった。どこに?
猫獣人村?
その三人で何らかの目的を持ってどこかに向かうとしたら猫獣人村しかないんじゃないか?
目的は分からない。
でも、嫌な予感がする。
なんで三人は僕に何も言わずに行動した?
なんでこんな急に?
何を届けに向かったんだ?
「まだ、盗賊も捕まえられていないのに」
とにかくルールーの言っていることが本当か、確認しに行かないと。
行き先を門からホンドンさんの家に変更し、向かうことにする。
しかし、その前に僕のポツリとこぼした言葉にルールーが反応した。
「ファイアさん、盗賊のこと知ってんだな。なんで知ってんの?」
「……邪魔なんだけど」
さっきは近い近い言ってきたくせに今度はルールーの方から距離を詰めてくる。
ルールーを押しのけようとするが、その手は捕まえられた。
「誰に聞いた?」
「そんなの誰でもいいでしょ」
「いや、そうなんだけど。あまりにもファイアさんが噂と違うからもしかしてホンドンの怪我を治したのもファイアさんなのかって思ったんだよ」
なにか詮索されてるなとは感じていたけど、そんなことだったのか。警戒して損した。
でも、なんでそんなことを知りたがるんだ?
ルールーがこっちを敵視していないことは分かった。
しかし、彼は何を考えているかあまり読めない。
さっきも僕が理解できないこと話していたし。
それに加えて僕の過去を知っているような……そんなたまに出てくる言葉が怖い。
とにかく長々と会話しすぎだが、あまりに近づきたくはない相手だ。
「それが何?」
「いやー、グレイの奴やらかしてんなーって思って。まあ、俺も気づくのに二週間もかかってるわけだから人のこと言えねぇけど」
「グレイ? 気づく?」
「そう、グレイ。昨日ファイアさんのことボコってた奴」
「……グレイが僕に気づくわけないじゃん」
あっ……。
ついつい、声に出してしまった。まあ、でもルールーが僕とグレイの接点を知ってるわけもないし、まあいいか。
しかし、ルールーは急に黙った。
なにごとかと思い、顔を見上げれば大きく目を見開いていた。
「……えっ、グレイのこと、覚えてんの?」
「…………」
僕は目を逸らした。
なんでこの獣人は僕のことをこんなに知ってるんだ!
「マジかよッ! ファイアさんはグレイに気づいてるのに、グレイはファイアさんに気づいてないとか。グレイ酷すぎるッ!!!」
そう言って、ルールーは「グレイヤバッ」とゲラゲラ笑いだした。
僕は再度、ルールーににじり寄る。
「ちょっ、だから、近い近い近い。俺、ファイアさんにそういう気、起こすつもり一切ないからやめてぇ!」
「は?」
「……話すからちょっと落ち着けって」
肩を押されて、後ろに下がる。距離を開けられてしまった。
流石は冒険者ランクAの剣士か。力が強い。
「昨日ファイアさんと飲んだ帰りに見たんだ。ファイアさんのど……」
「ラックとナリヤを?」
ルールーはじっと僕の顔を見たあと、こくりと頷く。
ここまで知られてしまったらもう、ルールーの前で取り繕っても仕方がない。
「それと、昨日怪我してたって話のおっさん……ホンドンって名前だっけ? そいつもいた」
「ホンドンさんが……?」
「ああ、てか、やっぱり知り合いか?」
僕は頷いた。
ラックとナリヤがホンドンさんと一緒にいた?
なんで?
「ってことは、昨日のあのちっこいガキ、リフだっけか? 本当は他の奴に絡まれないようにしてたとか?」
「……ん? うーん」
二人は外に出る為にホンドンさんの力を借りた?
いや、でも何のために?
「ファイアさん、俺の話聞いてねぇな……」
「ルールー」
「はいはい、なんでしょうか?」
あれ? なんか不機嫌?
まあ、いいや。
「ラックとナリヤは街の外に向かってたの?」
「ああ、そうだな。ホンドンも含めて三人だったけど。荷馬車に何かを沢山積んでたみたいだったな。布が被せてあって中身は見えなかった」
「ホンドンさんも、一緒に……?」
「三人組でコソコソしながら門に向かってる怪しい奴らがいるなーって感じだったな。猫だからしょうがないけど、ローブ被ってて顔見にくかったし」
ホンドンさんと荷馬車に荷物を積んで外に向かった。どこに?
猫獣人村?
その三人で何らかの目的を持ってどこかに向かうとしたら猫獣人村しかないんじゃないか?
目的は分からない。
でも、嫌な予感がする。
なんで三人は僕に何も言わずに行動した?
なんでこんな急に?
何を届けに向かったんだ?
「まだ、盗賊も捕まえられていないのに」
とにかくルールーの言っていることが本当か、確認しに行かないと。
行き先を門からホンドンさんの家に変更し、向かうことにする。
しかし、その前に僕のポツリとこぼした言葉にルールーが反応した。
「ファイアさん、盗賊のこと知ってんだな。なんで知ってんの?」
「……邪魔なんだけど」
さっきは近い近い言ってきたくせに今度はルールーの方から距離を詰めてくる。
ルールーを押しのけようとするが、その手は捕まえられた。
「誰に聞いた?」
「そんなの誰でもいいでしょ」
「いや、そうなんだけど。あまりにもファイアさんが噂と違うからもしかしてホンドンの怪我を治したのもファイアさんなのかって思ったんだよ」
なにか詮索されてるなとは感じていたけど、そんなことだったのか。警戒して損した。
でも、なんでそんなことを知りたがるんだ?
ルールーがこっちを敵視していないことは分かった。
しかし、彼は何を考えているかあまり読めない。
さっきも僕が理解できないこと話していたし。
それに加えて僕の過去を知っているような……そんなたまに出てくる言葉が怖い。
とにかく長々と会話しすぎだが、あまりに近づきたくはない相手だ。
「それが何?」
「いやー、グレイの奴やらかしてんなーって思って。まあ、俺も気づくのに二週間もかかってるわけだから人のこと言えねぇけど」
「グレイ? 気づく?」
「そう、グレイ。昨日ファイアさんのことボコってた奴」
「……グレイが僕に気づくわけないじゃん」
あっ……。
ついつい、声に出してしまった。まあ、でもルールーが僕とグレイの接点を知ってるわけもないし、まあいいか。
しかし、ルールーは急に黙った。
なにごとかと思い、顔を見上げれば大きく目を見開いていた。
「……えっ、グレイのこと、覚えてんの?」
「…………」
僕は目を逸らした。
なんでこの獣人は僕のことをこんなに知ってるんだ!
「マジかよッ! ファイアさんはグレイに気づいてるのに、グレイはファイアさんに気づいてないとか。グレイ酷すぎるッ!!!」
そう言って、ルールーは「グレイヤバッ」とゲラゲラ笑いだした。
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