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第一章:お城の人々
ライニーとレイニー
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「……え?」
訳が分からず私が動きを止めていると、二人の少年はまるで示し合わせたように次々と言葉を話す。
「道に迷ったぁ? ホントかなぁ」
「顔は見た事ないけどなぁ」
「でもそれにしても怪しいぞ!」
「完全に不審者だったぞ!」
「てかさっきから何をじっと見ている!」
「僕たちの顔に何かついているのか!」
矢継ぎ早に飛び出す二人の掛け合いにしばし圧倒されていたが、ハッとして口を開く。
「あ、いえごめんなさい。その、あまりにそっくりだったからつい……」
私の言葉に少年たちは不思議そうに首をかしげる。それも計ったかのように同じ方向、同じ傾きで。
「俺たちを知らない?」
「ホントに新人なのか?」
「どう思うレイニー」
「そう思うライニー」
少年たちはしばらく考えた後、また同じタイミングで手を叩く。
「仕方ない。信じてやろう新人君!」
「君名前は?」
「あ……ティーレ・エルクです」
「ティーレ……」
「ティーレ……」
二人して私の名前を反復する。何だか少し恥ずかしい……。
「俺はライニー・プリーストリー。フェリクス様付きの執事だ! 次期国王でもあるフェリクス様のすばらしさを知りたければいつでも俺に尋ねるといいぞ!」
私から見て右側の少年が、親指で自分を指しながら言う。
襟足で切りそろえられた黒っぽい緑の髪に黒い瞳だ。服装は執事と言うには少し子供っぽく、白のシャツに黒いベストと、恐らくサスペンダー付きの半ズボンをしている。
「僕はレイニー・プリーストリー。リシャルト様付きの執事だ! ライニーには分からないようなリシャルト様のすばらしさを教えてやるぞ!」
今度は左側の少年が胸を張りながら言う。
ライニーと同じような服装に髪型だが色が少し違う。レイニーは紺色の髪に黒い瞳だ。
顔は二人ともそっくりだけど、髪色と一人称の違いで見分けられるかな?というか、苗字も同じだしやっぱりこの二人って……。
「おいレイニーなんだよその言い方は! 弟のくせに生意気だぞ!」
「弟って言っても数秒生まれるのが早かっただけだろ! 双子なんだから関係ないね!」
双子の兄弟が今にも喧嘩に突入しそうな勢いでにらみ合っている。
と、取りあえず何とかしなくては……。
「あの、プリーストリーくんたち喧嘩は……」
「その名前で呼ぶな!」
「その名前で呼ぶな!」
二人で一斉に怒られる。
「それだとどっちか分かんないだろ!」
「名前で呼べよ!」
「それと、俺たち年下でも一応ティーレの先輩だから!」
「僕たちずーっと小っちゃい時からお城で働いてるんだからな!」
「『さん』を付けろー!」
「そうだ付けろー!」
どうやら怒りの矛先が私に向かったようだ。
確かに年下でも先輩には違いないし……ここは素直に謝っておいた方がいいかな。
「ごめんなさい。えっと、ライニーさんとレイニーさん……?」
『さん』付けで呼ばれた二人は一瞬満足そうな表情をするも、何かが違うように首をかしげて顔を見合わせる。
「どう?」
「微妙」
「やっぱなんか気持ち悪いや」
「呼び捨てでいいよ」
二人はあっさりとそう言い放つ。
何だかよく分からないけど……この二人といると騒がしくなるんだなってことは分かったかな?
「これお前たち! 何をさぼっとるか!」
「きゃっ!?」
突如聞こえた怒声に驚き小さく悲鳴を上げる。声のした方を振り向くと、そこには初老の男性が腕組みしながらこちらを睨んでいた。
訳が分からず私が動きを止めていると、二人の少年はまるで示し合わせたように次々と言葉を話す。
「道に迷ったぁ? ホントかなぁ」
「顔は見た事ないけどなぁ」
「でもそれにしても怪しいぞ!」
「完全に不審者だったぞ!」
「てかさっきから何をじっと見ている!」
「僕たちの顔に何かついているのか!」
矢継ぎ早に飛び出す二人の掛け合いにしばし圧倒されていたが、ハッとして口を開く。
「あ、いえごめんなさい。その、あまりにそっくりだったからつい……」
私の言葉に少年たちは不思議そうに首をかしげる。それも計ったかのように同じ方向、同じ傾きで。
「俺たちを知らない?」
「ホントに新人なのか?」
「どう思うレイニー」
「そう思うライニー」
少年たちはしばらく考えた後、また同じタイミングで手を叩く。
「仕方ない。信じてやろう新人君!」
「君名前は?」
「あ……ティーレ・エルクです」
「ティーレ……」
「ティーレ……」
二人して私の名前を反復する。何だか少し恥ずかしい……。
「俺はライニー・プリーストリー。フェリクス様付きの執事だ! 次期国王でもあるフェリクス様のすばらしさを知りたければいつでも俺に尋ねるといいぞ!」
私から見て右側の少年が、親指で自分を指しながら言う。
襟足で切りそろえられた黒っぽい緑の髪に黒い瞳だ。服装は執事と言うには少し子供っぽく、白のシャツに黒いベストと、恐らくサスペンダー付きの半ズボンをしている。
「僕はレイニー・プリーストリー。リシャルト様付きの執事だ! ライニーには分からないようなリシャルト様のすばらしさを教えてやるぞ!」
今度は左側の少年が胸を張りながら言う。
ライニーと同じような服装に髪型だが色が少し違う。レイニーは紺色の髪に黒い瞳だ。
顔は二人ともそっくりだけど、髪色と一人称の違いで見分けられるかな?というか、苗字も同じだしやっぱりこの二人って……。
「おいレイニーなんだよその言い方は! 弟のくせに生意気だぞ!」
「弟って言っても数秒生まれるのが早かっただけだろ! 双子なんだから関係ないね!」
双子の兄弟が今にも喧嘩に突入しそうな勢いでにらみ合っている。
と、取りあえず何とかしなくては……。
「あの、プリーストリーくんたち喧嘩は……」
「その名前で呼ぶな!」
「その名前で呼ぶな!」
二人で一斉に怒られる。
「それだとどっちか分かんないだろ!」
「名前で呼べよ!」
「それと、俺たち年下でも一応ティーレの先輩だから!」
「僕たちずーっと小っちゃい時からお城で働いてるんだからな!」
「『さん』を付けろー!」
「そうだ付けろー!」
どうやら怒りの矛先が私に向かったようだ。
確かに年下でも先輩には違いないし……ここは素直に謝っておいた方がいいかな。
「ごめんなさい。えっと、ライニーさんとレイニーさん……?」
『さん』付けで呼ばれた二人は一瞬満足そうな表情をするも、何かが違うように首をかしげて顔を見合わせる。
「どう?」
「微妙」
「やっぱなんか気持ち悪いや」
「呼び捨てでいいよ」
二人はあっさりとそう言い放つ。
何だかよく分からないけど……この二人といると騒がしくなるんだなってことは分かったかな?
「これお前たち! 何をさぼっとるか!」
「きゃっ!?」
突如聞こえた怒声に驚き小さく悲鳴を上げる。声のした方を振り向くと、そこには初老の男性が腕組みしながらこちらを睨んでいた。
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