11 / 12
第一章:お城の人々
リシャルト・ファン・デン・フェルデン
しおりを挟む
「おいお前、何ボーっとしている? 王子を目の前にして礼もできないのか?」
「あっ! も、申し訳ございません!」
私は慌ててその少年に向かって頭を下げる。
「ふん! 少し兄様と話したくらいでいい気になるなよ使用人風情が」
そう言い捨てると少年もフェリクス王子の後を追って玉座の間へと歩いて行く。
「……ん、もういいよぉ~」
ジゼルの声で頭を上げる。王子たちはすでに玉座の間へ入ってしまった後のようだ。
「いやぁびっくりだね~二人の王子と会話できたね~」
「二人の王子……?」
二人、と言うとやはり先程の少年は……。
「勿論フェリクス王子とリシャルト王子だよ~。あ、あの幼い方がリシャルト王子だよ~正式な名前はぁ……リシャルト・ファン・デン・フェルデン……だったかなぁ」
あの少年がリシャルト王子……。肩まである白みがかった薄い紫の髪に、真ん丸の大きな紫色の瞳。ぬいぐるみなんか抱えていたらよく似合いそうだ。見た目は大変可愛らしいのにあの言葉遣いとのギャップは一体……。
「リシャルト王子はねぇ、んーちょっと色々あって変わってるけど大丈夫だよぉ。ほとんど使用人と関わらないって話だからぁ」
「そうなんだ……」
それはちょっと安心……だけど、父さんの情報を聞き出すためには関わらなくちゃいけないんだよね。ジゼルが言う色々とは何のことなんだろう……。
「ん~次はどこに案内しようかなぁ~」
ジゼルが唇に指をあて考え込んでいると、一人のメイドがこちらへ駆け寄ってくる。
「ジゼル! メイド長カンカンだけど貴方何をしたの!?」
「えぇ~? 別に何も……あ」
何か思い当たる節があったようだ。ジゼルの顔色がどんどん悪くなっていく。
「えっと、ティーレちゃんごめんね~ちょっと私行ってくるからぁ。その辺適当に見回っててね~」
「え!? ちょっと待っ……」
そう言うと、ジゼルは私の言葉も聞かず言いに来たメイドと一緒にどこかへと走り去っていく。
「……どうしよ」
勝手も分からないお城の中で一人残されてしまった。適当にって言ってたけど、入っちゃいけない場所とかあるんじゃないかな……大丈夫かな……。
いや、これはチャンスなのかもしれない!今のうちにいろんなところを回って少しでも父さんの情報が手に入れることができれば……!
よし、そうと決まれば早速探検……じゃなくて、父さんの情報を探すぞ!
私はそう決意して城の中を回り始めた。
メイドの格好をしているせいなのか、偉そうな人とすれ違う時だけ端によって礼をすることを忘れなければ特に怪しまれることもなく、私は城の中をうろうろしていた。
「なんか、似たような部屋ばっかりでよくわかんないなぁ……」
そう呟きながら辺りを見回していたその時だった。
「お前! こんなところで何してる!」
「さっきからきょろきょろして! 怪しいぞ!」
突然後ろから声が聞こえて思わず飛び上がりそうになる。
「す、すみません! その、私新しく使用人になりまして、それで道に迷って……しまって……?」
慌てて振り向き弁明をしようとするも、声の主を見て驚く。
そこにいたのは全く同じ顔をした二人の少年だった。
「あっ! も、申し訳ございません!」
私は慌ててその少年に向かって頭を下げる。
「ふん! 少し兄様と話したくらいでいい気になるなよ使用人風情が」
そう言い捨てると少年もフェリクス王子の後を追って玉座の間へと歩いて行く。
「……ん、もういいよぉ~」
ジゼルの声で頭を上げる。王子たちはすでに玉座の間へ入ってしまった後のようだ。
「いやぁびっくりだね~二人の王子と会話できたね~」
「二人の王子……?」
二人、と言うとやはり先程の少年は……。
「勿論フェリクス王子とリシャルト王子だよ~。あ、あの幼い方がリシャルト王子だよ~正式な名前はぁ……リシャルト・ファン・デン・フェルデン……だったかなぁ」
あの少年がリシャルト王子……。肩まである白みがかった薄い紫の髪に、真ん丸の大きな紫色の瞳。ぬいぐるみなんか抱えていたらよく似合いそうだ。見た目は大変可愛らしいのにあの言葉遣いとのギャップは一体……。
「リシャルト王子はねぇ、んーちょっと色々あって変わってるけど大丈夫だよぉ。ほとんど使用人と関わらないって話だからぁ」
「そうなんだ……」
それはちょっと安心……だけど、父さんの情報を聞き出すためには関わらなくちゃいけないんだよね。ジゼルが言う色々とは何のことなんだろう……。
「ん~次はどこに案内しようかなぁ~」
ジゼルが唇に指をあて考え込んでいると、一人のメイドがこちらへ駆け寄ってくる。
「ジゼル! メイド長カンカンだけど貴方何をしたの!?」
「えぇ~? 別に何も……あ」
何か思い当たる節があったようだ。ジゼルの顔色がどんどん悪くなっていく。
「えっと、ティーレちゃんごめんね~ちょっと私行ってくるからぁ。その辺適当に見回っててね~」
「え!? ちょっと待っ……」
そう言うと、ジゼルは私の言葉も聞かず言いに来たメイドと一緒にどこかへと走り去っていく。
「……どうしよ」
勝手も分からないお城の中で一人残されてしまった。適当にって言ってたけど、入っちゃいけない場所とかあるんじゃないかな……大丈夫かな……。
いや、これはチャンスなのかもしれない!今のうちにいろんなところを回って少しでも父さんの情報が手に入れることができれば……!
よし、そうと決まれば早速探検……じゃなくて、父さんの情報を探すぞ!
私はそう決意して城の中を回り始めた。
メイドの格好をしているせいなのか、偉そうな人とすれ違う時だけ端によって礼をすることを忘れなければ特に怪しまれることもなく、私は城の中をうろうろしていた。
「なんか、似たような部屋ばっかりでよくわかんないなぁ……」
そう呟きながら辺りを見回していたその時だった。
「お前! こんなところで何してる!」
「さっきからきょろきょろして! 怪しいぞ!」
突然後ろから声が聞こえて思わず飛び上がりそうになる。
「す、すみません! その、私新しく使用人になりまして、それで道に迷って……しまって……?」
慌てて振り向き弁明をしようとするも、声の主を見て驚く。
そこにいたのは全く同じ顔をした二人の少年だった。
0
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる