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第一章:お城の人々
フェリクス・ファン・デン・フェルデン
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「フェリクス王子とリシャルト王子……?」
私が首をかしげると、ジゼルは信じられないと言った表情をする。
「えぇ!? ティーレちゃん知らないの!? この国の王子様二人だよぉ?」
そ、そういえば何となく名前だけは聞いたことがあるような……この国の情報なんて意識してあんまり聞かないようにしていたから……。
とりあえず、知っているふりだけでもしないと怪しまれちゃう!
「あ、あぁ~! そうだよね! なんか信じられなくて動揺しちゃった~」
「わかるよぉ~ジゼルも初めて見た時は驚いたもんねぇ」
何とか納得してくれたようだ……。ジゼルがいい人で助かった。
そうこうしているうちにもうすぐそこまで王子たちが来ている。
「王子様たちとすれ違う時はぁ、廊下の端によって頭を下げるんだよぉ」
そう言うと、ジゼルは見本を見せるかのように言葉通りに行動する。私もそれを見て同じように廊下の端により、頭を下げる。
本当は王子様たちの顔を見てみたかったのだけれど……。これからお城で働くんだもん。見られる機会はまたあるよね?
自分のつま先を見つめつつそんなことを考えていると、段々と声が近づいてくる。数人の男の声のようだ。話している内容はよく聞こえないが、とりとめもない会話をしているように聞こえる。
何か父さんに関する事でも話してくれないかな……。そんなことを考えていると、私の視界に綺麗な白い靴が現れる。その靴の主は何故か私の目の前で止まる。
「そこの……金色の髪の子? 顔を上げてくれるかな」
金色の髪……って、わ、私の事か……!こういう時勝手に顔を上げていいものか困って横を見ると、ジゼルはこちらを見てウインクをする。
……いい、ってことなのかな?
「……はい」
私は少し震える声で返事をし、ゆっくりと顔を上げる。
目の前で待っていたのは、この世の者とは思えないほど美しい青年だった。
端正な顔立ちに宝石のような緑色の目、薄く透けるように輝く金色の髪は綺麗な頭の形に沿うように整えられている。白と金で統一された服は、彼しか似合わないと言っても過言ではない。
「…………」
私は目の前の人物の容姿に度肝を抜かれ、思わず一歩後ろへ下がりそうになる。
「あぁ。やっぱり新しい人だね。見た事がないなと思ったんだ」
青年は目を薄く細めて微笑む。
な、何か言わなくてはいけないのに青年の笑顔に圧倒されて言葉が出てこない……!
そんな私の様子を見て、青年は何か閃いたような顔をする。
「あぁ、そう言えば自己紹介がまだだったね。僕はフェリクス・ファン・デン・フェルデン。一応、この国の第一王子をやっています。これからよろしくね」
そう言って目の前の王子は私に手を差し出してくる。
「てぃ、ティーレ・エルクと申します。不束者ですがよろしくお願い申し上げます……」
私はその手をガクガクと震える手で握り返す。すると、フェリクス王子は優しげにふわりと笑う。
な、何となくそうかなって思っていたけどやっぱりこの青年が王子様……!私の様な一使用人に握手を求めるなんて、いいのかな、こんな事……!
「……兄様。お父様がお待ちです。急いだ方がよろしいのでは?」
声がした方を見ると、フェリクス王子と同じデザインの服を着た少年が少し不機嫌そうに立っていた。
同じデザインの服……もしかしてこの少年が……。
「そうだったね、リシャルト。じゃあ、お仕事頑張ってくださいね」
そう言ってフェリクス王子は私の手を離すと、薄く微笑みながら玉座の間へと歩いていく。
あれがフェリクス王子……何というか、すごく王子らしい王子という素敵な人だったなぁ……。
私がぼんやりとフェリクス王子の後姿を見つめていると、突然足に衝撃が走る。
「え……?」
振り返ると、先程の少年が私の足を蹴り飛ばし、今度は心底不快そうな顔でこちらを見ていた。
私が首をかしげると、ジゼルは信じられないと言った表情をする。
「えぇ!? ティーレちゃん知らないの!? この国の王子様二人だよぉ?」
そ、そういえば何となく名前だけは聞いたことがあるような……この国の情報なんて意識してあんまり聞かないようにしていたから……。
とりあえず、知っているふりだけでもしないと怪しまれちゃう!
「あ、あぁ~! そうだよね! なんか信じられなくて動揺しちゃった~」
「わかるよぉ~ジゼルも初めて見た時は驚いたもんねぇ」
何とか納得してくれたようだ……。ジゼルがいい人で助かった。
そうこうしているうちにもうすぐそこまで王子たちが来ている。
「王子様たちとすれ違う時はぁ、廊下の端によって頭を下げるんだよぉ」
そう言うと、ジゼルは見本を見せるかのように言葉通りに行動する。私もそれを見て同じように廊下の端により、頭を下げる。
本当は王子様たちの顔を見てみたかったのだけれど……。これからお城で働くんだもん。見られる機会はまたあるよね?
自分のつま先を見つめつつそんなことを考えていると、段々と声が近づいてくる。数人の男の声のようだ。話している内容はよく聞こえないが、とりとめもない会話をしているように聞こえる。
何か父さんに関する事でも話してくれないかな……。そんなことを考えていると、私の視界に綺麗な白い靴が現れる。その靴の主は何故か私の目の前で止まる。
「そこの……金色の髪の子? 顔を上げてくれるかな」
金色の髪……って、わ、私の事か……!こういう時勝手に顔を上げていいものか困って横を見ると、ジゼルはこちらを見てウインクをする。
……いい、ってことなのかな?
「……はい」
私は少し震える声で返事をし、ゆっくりと顔を上げる。
目の前で待っていたのは、この世の者とは思えないほど美しい青年だった。
端正な顔立ちに宝石のような緑色の目、薄く透けるように輝く金色の髪は綺麗な頭の形に沿うように整えられている。白と金で統一された服は、彼しか似合わないと言っても過言ではない。
「…………」
私は目の前の人物の容姿に度肝を抜かれ、思わず一歩後ろへ下がりそうになる。
「あぁ。やっぱり新しい人だね。見た事がないなと思ったんだ」
青年は目を薄く細めて微笑む。
な、何か言わなくてはいけないのに青年の笑顔に圧倒されて言葉が出てこない……!
そんな私の様子を見て、青年は何か閃いたような顔をする。
「あぁ、そう言えば自己紹介がまだだったね。僕はフェリクス・ファン・デン・フェルデン。一応、この国の第一王子をやっています。これからよろしくね」
そう言って目の前の王子は私に手を差し出してくる。
「てぃ、ティーレ・エルクと申します。不束者ですがよろしくお願い申し上げます……」
私はその手をガクガクと震える手で握り返す。すると、フェリクス王子は優しげにふわりと笑う。
な、何となくそうかなって思っていたけどやっぱりこの青年が王子様……!私の様な一使用人に握手を求めるなんて、いいのかな、こんな事……!
「……兄様。お父様がお待ちです。急いだ方がよろしいのでは?」
声がした方を見ると、フェリクス王子と同じデザインの服を着た少年が少し不機嫌そうに立っていた。
同じデザインの服……もしかしてこの少年が……。
「そうだったね、リシャルト。じゃあ、お仕事頑張ってくださいね」
そう言ってフェリクス王子は私の手を離すと、薄く微笑みながら玉座の間へと歩いていく。
あれがフェリクス王子……何というか、すごく王子らしい王子という素敵な人だったなぁ……。
私がぼんやりとフェリクス王子の後姿を見つめていると、突然足に衝撃が走る。
「え……?」
振り返ると、先程の少年が私の足を蹴り飛ばし、今度は心底不快そうな顔でこちらを見ていた。
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