助けて!何度倒しても勇者がよみがえる!

はばのねろ

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第二章:勇者カイ

第二章:勇者カイ⑤

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「どうした? 早く見せてみろ!」
 王が目を輝かせながらこちらを見ている。魔法を見せられないことは、ない。だが俺が使う魔法のほとんどは、所謂黒魔法というものだ。相手を呪ったり闇の力を用いる魔法……そんな魔法を王の前で披露しても良いものだろうか。
「カイ……俺が使えるのは黒魔法がほとんどだぞ。やはり勇者の仲間として黒魔法はまずいか?」
「……いや、ユーモが多少使えるんだ。だから問題はないはずだけど……念のため見せない方がいいと思う」
「うむ、やはりそうか」
 カイと小声で会話する。やはり見せない方がよいという意見で一致した俺たちは、目くばせすると軽く頷きカイが一歩前に出て口を開く。
「王様、失礼ながら……ダモサーラは非常に強い魔力の持ち主です。この場で魔法を見せてしまうとこの謁見の間が壊れてしまう恐れが……」
「構わん! わしは魔法が見たいのじゃ! それとも何か他に見せられぬ理由でもあるのか?」
 思いがけない王の反論に言葉を失うカイ。このままではまずい。仕方がない、かくなる上は……。
「分かりました。お見せしましょう」
「ダモさん!?」
 驚くカイを手で制しながら、立ち上がり部屋の中央に移動する。この魔法はあまり得意ではないのだが、致し方あるまい。人間でも使えて黒魔術ではない魔法はこれしか知らないのだ。
「よいぞよいぞ! 一体何を見せてくれるのじゃ!?」
「…………」
 カイが不安そうにこちらを見てくる。大丈夫だ、たぶん。何とかなる、たぶん。
「では、参ります」
 そう言うと全身に力を貯める。魔力によって服の端がふわりと浮き上がる。室内に風が巻き起こり次の瞬間、俺の姿は部屋の中から消えていた。
「……おぉ!? いなくなったぞ!?」
「これはまさか……」
 カイが部屋の扉の方を向くと、その瞬間を見計らったかのように扉が開き俺が登場する。
 そう、俺が使った魔法とは瞬間移動魔法。芸がないと思われるかもしれないが、この魔法なら人間も使えるし、一番まともだと考えたのだ。
「はぁっ……はぁ……い、如何でしたでしょうか」
 ちなみに息が切れているのは、扉のすぐ前に移動するはずが失敗して階段の上に移動してしまいひとしきり転げ落ちてきたからである。
 や、やはり瞬間移動は苦手だ……。
「うむ、そなたが魔法を使えることはわかったぞ!」
「そ、それは……良かった……」
「しかし何か物足りないのぉ……もっと他にできる魔法はないのか?」
 王の言葉に思わず顔が引きつる。この男……俺にまだ何かやらせようというのか。王というのはどうしてこうも傲慢なものなのか。……俺も気を付けなければ。
「……お父様。それくらいにしてあげてくださいな。勇者様たちが困ってらっしゃいますわ」
 困り果てた俺たちを見かねたのか、今まで黙っていた姫が口を開く。
「うむ……仕方ないのぉ姫が言うのなら……ちと残念じゃが」
 ど、どうやら助かったらしい。礼を言おうと姫の方を見ると、こちらへ向かって優しく微笑んでいた。
 ……うむ、美しいな。
「……見とれてる?」
「な、何のことだ」
 カイに怪訝そうな目で見つめられる。そ、そんな邪な目では見ていないぞ。
「では、勇者カイよ。いざ魔王退治の旅へ出るのじゃ! 武運を祈っておるぞ!」
「はっ、行ってまいります」
 カイが再び膝をつくのを見て、俺もそれを真似る。
 そしてカイは立ち上がり、踵を返して王の元から去ろうとするので俺は慌てて王に声をかける。
「あの、王様。少しよろしいでしょうか」
「うむ?何だ」
「王様に聞きたいことがっ……!」
「こら、ダモサーラ!」
 慌てて戻ってきたカイに首根っこを掴まれる。
こ、こらやめろ!俺は動物ではないんだぞ!
「余計なことはしないって言ったろ?」
「だが時の繰り返しについて聞いておきたいのだ」
「えぇ~やめようよ、ダモさんの正体バレたらどうすんの」
「む、しかし……」
「あの、お二方?」
 小声で言い争っている俺たちを不審に思ったのか、姫に遠慮がちに声をかけられハッとする。
 仮にもこの国の王と姫の前で私的な小競り合いをしてしまったのだ、何か罰を与えられるのではなかろうか。こ、これはまずいぞ……。
「生憎お父様はこの後予定が入っているのです。何か聞きたいことがあるのならば、私でよろしければお聞きしますわ」
 予想外の言葉にしばし言葉を失う俺たち。だがこれほどのチャンスはないと、カイが断ってしまう前に身を乗り出して答える。
「……よいのですか」
「えぇ、勿論。……私の方も、聞きたいことがありますし」
「んんー……」
 心底複雑そうな顔をしたカイを押しのけ、姫の前に歩み出る。本来は王に聞く予定だったが、姫でも構わないだろう。
「では、僭越ながらお願いしたく存じ上げます。姫」
「えぇ、分かりましたわ。では、こちらへ」
 こうして俺たちは、姫の後に続いて部屋を出たのだった。
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