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第二章:勇者カイ
第二章:勇者カイ⑭
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カイの実家にて借りていた服を返して元の服に着替え、母君と談笑をしつつカイの用意ができるのを待っていた。
「お待たせ」
部屋から出てきたカイは見たことのある鎧を着ていた。確かこれは……魔王城にて相まみえた時に着ていた鎧か。さほど前ではないはずだが、何だか懐かしく感じるな。
「あらカイ。よく似合ってるわ」
「まぁね」
そっけなく返事をするカイ。母君が褒めているのだからもっと喜べば……なるほど照れ隠しか。全く素直じゃないのだなぁこのこの。
「……何ニヤニヤしてんの」
「いや、別に」
「カイ。これを……」
母君がカイに大きな袋を渡す。
「食料や薬などを入れておいたわ。こっちはダモさんのよ」
なんと、俺の分もあるのか。嬉しいものだ、遠慮なく受け取るとしよう。
「感謝するぞ、母君」
「……じゃあ、行ってくるから」
「気を付けて、頑張ってね。ダモさんも」
「あぁ」
母君に別れを告げ、カイの家を出る。母君は俺たちの姿が見えなくなるまで家の外で見守っていてくれたようだ。後ろ髪引かれる思いで俺は何度も振り向いてしまったが、カイは一度も振り返らなかった。
その理由を聞くのが野暮なことぐらい俺にも分かる。ここは黙っていることにしよう。
しばらく歩くと街の出口付近に出た。いよいよこれから冒険が始まるという訳なのだな。
実をいうと俺はほとんどの時間を魔王城で過ごしていたため、あまり外の世界というものを見たことがない。話には聞いているが……色々と困難が待ち受けていると言うではないか。
あぁ、なんと楽しいのか!魔王ともあろうものが年甲斐もなくはしゃいでしまっているのだが……まぁ、良いだろう。他の魔物どもには秘密だ。
「ねぇダモさん」
あと少しで街の外に出られそうと言うところで、カイが足を止める。
「何だ?」
「外に出る前に一つ聞いておきたいことがあるんだけど、いい?」
聞いておきたいこと?一体何のことだか想像もつかないが、かと言って聞かれて悪いことでもあるまい。
「構わん。何だ」
俺がそう答えると、カイは話そうと一度口を開くもののすぐに口を閉じる。そして何やら言いにくそうに口をもごもごとさせている。
一体何だと言うのだ?何か俺の見た目に変なとこがあるのか?いや人間からしてみたら変なところだらけなのだろうが……。
兎に角このままだと埒が明かない。全くどうしたものか。
「おい、カイ。何か言いたいことがあるなら早く言え」
「え~と……」
俺が質問を急かすと、カイは何だか申し訳なさそうに口を開く。
「ダモさんって……魔王、だよね?」
「そうだ」
「魔物の王なんだよね?」
「あぁ、そうだ」
「魔物の中で一番偉いんだよね?」
「あぁ、だからそうだと言っている」
「それってさ、これからの旅で魔物に遭遇しても、俺たち戦わなくてもいいってこと……?」
初めはカイの言っていることの意味が分からなかった。戦わなくても良いとはなんだ、敵が出てきたらちゃんと戦う……と、ここまで考えて俺も気づいた。
敵が魔物と言うことは、俺にとってはそもそも敵ではないのでは……?
もし魔物が襲ってきたとしても、俺の事を魔王だと知れば恐れて逃げていくのでは……?
「ね、どうかな? 戦わなければ早く目的地に着けるし、いい考えだと思うけど」
カイが得意げに語る。確かに戦わないとなれば早く目的地にはつけるだろう。ひいては時の繰り返しについての問題解決も早くなると……?そういうことなのか?
……いやしかし、カイはそれで良いのだろうか。魔物と戦わねば強くはなれない。最終的には俺と戦わなくてはならないかも知れないのに、弱いままでも良いのか?
カイの方をちらりと見る。そんなことは一切考えていないと言う楽天的な顔だ。
「……分かった。取りあえずやってみよう」
「やった! じゃあ行こう~!」
俺はひとまずカイの考えに乗ることにした。何か問題があれば、またその時考えれば良い。カイを見ているとそんなような気分になってきた。
「おい、俺を置いていくな」
さっさと街から出て行こうとするカイを追いかけつつ、俺たちは第一の仲間、ミーミのいるエルフの里へ向かうのだった。
「お待たせ」
部屋から出てきたカイは見たことのある鎧を着ていた。確かこれは……魔王城にて相まみえた時に着ていた鎧か。さほど前ではないはずだが、何だか懐かしく感じるな。
「あらカイ。よく似合ってるわ」
「まぁね」
そっけなく返事をするカイ。母君が褒めているのだからもっと喜べば……なるほど照れ隠しか。全く素直じゃないのだなぁこのこの。
「……何ニヤニヤしてんの」
「いや、別に」
「カイ。これを……」
母君がカイに大きな袋を渡す。
「食料や薬などを入れておいたわ。こっちはダモさんのよ」
なんと、俺の分もあるのか。嬉しいものだ、遠慮なく受け取るとしよう。
「感謝するぞ、母君」
「……じゃあ、行ってくるから」
「気を付けて、頑張ってね。ダモさんも」
「あぁ」
母君に別れを告げ、カイの家を出る。母君は俺たちの姿が見えなくなるまで家の外で見守っていてくれたようだ。後ろ髪引かれる思いで俺は何度も振り向いてしまったが、カイは一度も振り返らなかった。
その理由を聞くのが野暮なことぐらい俺にも分かる。ここは黙っていることにしよう。
しばらく歩くと街の出口付近に出た。いよいよこれから冒険が始まるという訳なのだな。
実をいうと俺はほとんどの時間を魔王城で過ごしていたため、あまり外の世界というものを見たことがない。話には聞いているが……色々と困難が待ち受けていると言うではないか。
あぁ、なんと楽しいのか!魔王ともあろうものが年甲斐もなくはしゃいでしまっているのだが……まぁ、良いだろう。他の魔物どもには秘密だ。
「ねぇダモさん」
あと少しで街の外に出られそうと言うところで、カイが足を止める。
「何だ?」
「外に出る前に一つ聞いておきたいことがあるんだけど、いい?」
聞いておきたいこと?一体何のことだか想像もつかないが、かと言って聞かれて悪いことでもあるまい。
「構わん。何だ」
俺がそう答えると、カイは話そうと一度口を開くもののすぐに口を閉じる。そして何やら言いにくそうに口をもごもごとさせている。
一体何だと言うのだ?何か俺の見た目に変なとこがあるのか?いや人間からしてみたら変なところだらけなのだろうが……。
兎に角このままだと埒が明かない。全くどうしたものか。
「おい、カイ。何か言いたいことがあるなら早く言え」
「え~と……」
俺が質問を急かすと、カイは何だか申し訳なさそうに口を開く。
「ダモさんって……魔王、だよね?」
「そうだ」
「魔物の王なんだよね?」
「あぁ、そうだ」
「魔物の中で一番偉いんだよね?」
「あぁ、だからそうだと言っている」
「それってさ、これからの旅で魔物に遭遇しても、俺たち戦わなくてもいいってこと……?」
初めはカイの言っていることの意味が分からなかった。戦わなくても良いとはなんだ、敵が出てきたらちゃんと戦う……と、ここまで考えて俺も気づいた。
敵が魔物と言うことは、俺にとってはそもそも敵ではないのでは……?
もし魔物が襲ってきたとしても、俺の事を魔王だと知れば恐れて逃げていくのでは……?
「ね、どうかな? 戦わなければ早く目的地に着けるし、いい考えだと思うけど」
カイが得意げに語る。確かに戦わないとなれば早く目的地にはつけるだろう。ひいては時の繰り返しについての問題解決も早くなると……?そういうことなのか?
……いやしかし、カイはそれで良いのだろうか。魔物と戦わねば強くはなれない。最終的には俺と戦わなくてはならないかも知れないのに、弱いままでも良いのか?
カイの方をちらりと見る。そんなことは一切考えていないと言う楽天的な顔だ。
「……分かった。取りあえずやってみよう」
「やった! じゃあ行こう~!」
俺はひとまずカイの考えに乗ることにした。何か問題があれば、またその時考えれば良い。カイを見ているとそんなような気分になってきた。
「おい、俺を置いていくな」
さっさと街から出て行こうとするカイを追いかけつつ、俺たちは第一の仲間、ミーミのいるエルフの里へ向かうのだった。
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