24 / 26
第三章:魔法使いミーミ
第三章:魔法使いミーミ④
しおりを挟む
ミーミの後に付いて行くと、他の家よりも少し大きい家に辿り着く。
「ここよ、入って」
促されるままに家の中に入って行くと、そこには長老と思しきエルフの老人が一人佇んでいた。体つきはミーミよりも小さく、灰色の髪なのか髭なのか分からない毛で顔中が覆われており、男なのか女なのかすらわからない。エルフのローブを着ていなければ、ただの毛玉かと思ってしまうほどだ。……これは少し言い過ぎか、失敬。
「良く来なさった……さぁ、お座りなさい」
灰色の毛玉がもごもごと動く。声から察するに男……だろうか。うーむ分からん。
取りあえず言われた通りにカイの隣へと座る。カイはまだ具合が悪そうだが大丈夫か……?
ミーミは俺たちの隣ではなく長老の斜め後ろに控える。うむ、家臣はその位置が良いであろう。ミーミも一応その程度は分かっておるのだなぁ……。
「さて……既にミーミから話はお聞きしていますじゃ。里に魔物が現れる時、必ず勇者様が助けに来て下さると……」
そうか、ミーミも前回の記憶があるから俺たちが来るのを予想していたというわけだな。だからこその『遅い』だったのか……いやだからと言って殴るのはいただけないが……。
「ありがとうございますじゃ。勇者様、本当にお待ち申しておりました」
そう言って長老は皺皺の手を差し出し優しく握った。俺の手を。
「あぁ勇者様……勇者様の手はお冷たいのですなぁ……きっと心が温かいと言う事でしょうぞ」
「……ん?」
「あれ?」
これは、何だ、ええと……。この長老は俺の事を勇者だと勘違いしてしまっていると言う事か?な、何という……!
「おじいちゃん! 勇者はそっちじゃなくて、こっち!」
ミーミが慌てて俺の手から長老の手を引きはがしカイの方へ持っていく。
「おぉすまんすまん……こちらの方のほうが見た目が強そうだったんでな……素敵な角じゃのう」
「いやぁ、はは……」
これはこれは、参ったな。まぁ仕方あるまい。ご老人の目の方が真実を映し出すと言うことだ……勇者であるカイよりも俺の方が強く見えてしまうのも、また真実と言うことだろう。なぁ、カイ?……と、カイの方をちらりと見てみたものの、相変わらず具合が悪そうでそれどころではないらしい。
本当に大丈夫なのかコイツは……これでは勇者と思われなくても無理はないぞ。
「では改めまして勇者様。里に出た魔物の事をご説明しますじゃ」
「あ、はい……あの、あんま揺らさないで……」
長老がカイの手を取って揺らす。カイは青白い顔をしながら弱弱しく返事をしている。この分ではまともに話も聞けぬだろうな……俺がきちんと聞いておかねば。
「魔物が出たのはついさっきの事ですじゃ。奴等虫の様な魔物でのぉ……尾についている鋭い針でわしたちにいきなり襲い掛かってきたのじゃ! 幸い食料がちと取られただけで怪我人はいないようじゃが、次襲われた時には怪我人が出るやもしれんし、このまま食料が取られ続ければわし等は餓死してしまうじゃ! そこで、勇者様に奴等魔物を倒してほしいという訳なんじゃが、引き受けて頂けるかのぉ」
長老の話を聞いて、思い当たる節があった。確か魔物の中に虫の様な姿をした果実を好む奴がいたような気がするな。きっと長老が言っているのはそいつらの事だろう。ふむ、俺にかかればそ奴らごとき、簡単に倒すことができよう。
だが依頼を引き受けるためには勇者であるカイが返事をしなくてはならないのだが……カイはさっきから何をしているんだ?
カイの方を見ると、奴はうつらうつらと舟を漕いでいる始末だった。俺が肘でカイをつつくと、慌ててカイが目覚める。
「うぇっ!? あ……はい。お任せください」
「おぉ、引き受けて下さるか! ありがとうございますじゃ……!」
「あ、はぁ……へへ……」
愛想笑いを浮かべながら頷くカイ。話の内容も聞かずに承諾して……コイツ、俺がいなかった前回の旅でもこんな感じで引き受けていたのではなかろうな。
うーむ、心配だ……。
「ここよ、入って」
促されるままに家の中に入って行くと、そこには長老と思しきエルフの老人が一人佇んでいた。体つきはミーミよりも小さく、灰色の髪なのか髭なのか分からない毛で顔中が覆われており、男なのか女なのかすらわからない。エルフのローブを着ていなければ、ただの毛玉かと思ってしまうほどだ。……これは少し言い過ぎか、失敬。
「良く来なさった……さぁ、お座りなさい」
灰色の毛玉がもごもごと動く。声から察するに男……だろうか。うーむ分からん。
取りあえず言われた通りにカイの隣へと座る。カイはまだ具合が悪そうだが大丈夫か……?
ミーミは俺たちの隣ではなく長老の斜め後ろに控える。うむ、家臣はその位置が良いであろう。ミーミも一応その程度は分かっておるのだなぁ……。
「さて……既にミーミから話はお聞きしていますじゃ。里に魔物が現れる時、必ず勇者様が助けに来て下さると……」
そうか、ミーミも前回の記憶があるから俺たちが来るのを予想していたというわけだな。だからこその『遅い』だったのか……いやだからと言って殴るのはいただけないが……。
「ありがとうございますじゃ。勇者様、本当にお待ち申しておりました」
そう言って長老は皺皺の手を差し出し優しく握った。俺の手を。
「あぁ勇者様……勇者様の手はお冷たいのですなぁ……きっと心が温かいと言う事でしょうぞ」
「……ん?」
「あれ?」
これは、何だ、ええと……。この長老は俺の事を勇者だと勘違いしてしまっていると言う事か?な、何という……!
「おじいちゃん! 勇者はそっちじゃなくて、こっち!」
ミーミが慌てて俺の手から長老の手を引きはがしカイの方へ持っていく。
「おぉすまんすまん……こちらの方のほうが見た目が強そうだったんでな……素敵な角じゃのう」
「いやぁ、はは……」
これはこれは、参ったな。まぁ仕方あるまい。ご老人の目の方が真実を映し出すと言うことだ……勇者であるカイよりも俺の方が強く見えてしまうのも、また真実と言うことだろう。なぁ、カイ?……と、カイの方をちらりと見てみたものの、相変わらず具合が悪そうでそれどころではないらしい。
本当に大丈夫なのかコイツは……これでは勇者と思われなくても無理はないぞ。
「では改めまして勇者様。里に出た魔物の事をご説明しますじゃ」
「あ、はい……あの、あんま揺らさないで……」
長老がカイの手を取って揺らす。カイは青白い顔をしながら弱弱しく返事をしている。この分ではまともに話も聞けぬだろうな……俺がきちんと聞いておかねば。
「魔物が出たのはついさっきの事ですじゃ。奴等虫の様な魔物でのぉ……尾についている鋭い針でわしたちにいきなり襲い掛かってきたのじゃ! 幸い食料がちと取られただけで怪我人はいないようじゃが、次襲われた時には怪我人が出るやもしれんし、このまま食料が取られ続ければわし等は餓死してしまうじゃ! そこで、勇者様に奴等魔物を倒してほしいという訳なんじゃが、引き受けて頂けるかのぉ」
長老の話を聞いて、思い当たる節があった。確か魔物の中に虫の様な姿をした果実を好む奴がいたような気がするな。きっと長老が言っているのはそいつらの事だろう。ふむ、俺にかかればそ奴らごとき、簡単に倒すことができよう。
だが依頼を引き受けるためには勇者であるカイが返事をしなくてはならないのだが……カイはさっきから何をしているんだ?
カイの方を見ると、奴はうつらうつらと舟を漕いでいる始末だった。俺が肘でカイをつつくと、慌ててカイが目覚める。
「うぇっ!? あ……はい。お任せください」
「おぉ、引き受けて下さるか! ありがとうございますじゃ……!」
「あ、はぁ……へへ……」
愛想笑いを浮かべながら頷くカイ。話の内容も聞かずに承諾して……コイツ、俺がいなかった前回の旅でもこんな感じで引き受けていたのではなかろうな。
うーむ、心配だ……。
0
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる