魔力無しグルコ25歳の備忘録

イイズナそまり

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第十五話

グルコ監督と国道工事

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 「隕石には手を出すな」

 ロカン王国王都
魔塔の最上階にある魔塔主の執務室に国王がお忍びでやって来た
街で安く買える群青色のローブ 頭はフードをすっぽり被っているが 王族特有の派手な金髪は隠しきれていない
「毎晩、白い大蛇が夢枕に立つのだ。隕石には手を出すなと赤い目で朕を脅すのだ」
顔色は悪く唇はガサガサ 目は落ち窪んでいる
「朕は呪いの魔法を掛けられておるのか?」
「王宮で呪術魔法は使えないでしょ?」
「うむ。使える者が現れたかもしれぬ」
「そんなのが居たら、わたし達が先に手を打つわよ。その為の魔塔なんだから」
「うむ。そうであるな。そうであるな」
国王ってこんなんだったかしら?
任命式でチラッと話しただけで覚えてないわ 隣りの側近さんも疲れきった顔をしてる
毎晩この男に起こされて喚かれてって感じかしら 子守りは大変よね
「マク、調べてあげて」
「はい。」
収納魔法から備忘録を出した 百科事典のような落ち着いた焦茶色 角々して真面目なマクにお似合いな備忘録
「渋い。おじいちゃんのようである」
「まだ若いんですよ。」
「うむ」
備忘録に手を乗せる
詠唱「白い大蛇」
開く
「出ませんね。」
「んー。言う通りにしてみたら?マクはどう思う?」
「私もその方が良いと思います。国王様にお願いに上がるなんて只事ではありません。」
「朕に頼みに来てるのか?」
「はい。見かけは怖いでしょうが、毎晩お見えになるなんて。国王様にしか頼めないんですよ。」
「そうか。そうか。朕にしか頼めないのか。」
嬉しそうな顔が痛々しい
「そういえば。国王様。シンケー領は外部との転移魔法が使えないのをご存知かしら?」
ポケットからマスコットを出す テーブルの上を風魔法で歩かせる
〈トコトコ〉
「うむ。聞いておる」チラッ
「今ね、わたしの通勤方法は隣の領の関所まで転移して、関所を歩いてくぐって、そこから魔塔に転移してるのよ」
〈トコトコ〉
「うむ。聞いておる」チラッ
「関所が古くて雨の日は泥が垂れるの。雨宿りする動物が可愛いそうなのよ。工事して貰えないかしら?」
〈トコトコ コテン〉
「うむ。可愛いそうだ。工事して良いぞ。朕が国道大臣に命令する。任せるがよい」チラッ
うふふ「ありがとうございます。さすが国王様。頼りになりますね」
〈トコトコ〉
「うむ。」チラッ
「このワンちゃんのマスコット。うちの子供達が作ったのよ。お礼に差し上げるわ」
〈ポンッ〉
国王の胸元に飛び込むマスコット
「うむ!うむ!うむ!」




 洞窟風古民家BARナナフシ薬局 只今営業中

「という事があったのよ~」グビ
東さん 守秘義務を覚えよう そして国王を手懐けるの上手すぎて怖い
「だからね。隕石は撤去しないで国道を曲げる事にしたの」
「真っ直ぐ一本道に拘ってたのにな」
「そんなことより、問題は白い大蛇よ。領主、どう思う?」
「東の備忘録には載って無かったのか?」
「さあ~?今わたしのは子供達が使ってるから」
「取り上げればいーだろ」
「泣くじゃない。この世の終わりのように泣くじゃない」
「魔塔主の子供さん達が癇癪を起したら私でもあやせません。」
「そーよそーよ。うちには子守りボリルは居ないのよ?」
「ところでグルコ君。ボリルたんはいつ帰るんだね?」
「俺にもわかりません」
カウンターに無責任な備忘録を出す
詠唱「白い大蛇」
開く
「出ませんね。領主さんのはどうですか?」
桃色の備忘録 似合わない
「白くて大きい蛇のこと。だとよ」
「あの御方です。私にはピンときました。」
「そうよねぇ」
「だよなぁ」
山神さまだよね
シンケー領の上級魔法使いに聞いたら皆んなそう答えるよね 口には出せないけど
「グルコ君どうする?」
「俺に聞かれても」

「こんばんは。わあ、ここ暖かい~。」
「おう」
「いらっしゃ~い」
「こんばんは。」
商業さんのボアコート 雪が積もってる
「まだ降ってるんですね」
「そうなのよ。出先で吹雪いて大変だったわ。」
風魔法で雪を絡め取り小さい雪だるまを作った ボリルだ
「お疲れさまでございました」
「ありがとう。ボリルさん起きてるかしら?」
「店長と出かけたまま帰ってませんよ」
「あら。じゃあもうお泊まりですね。」
「そうですね」
うふ「今夜はこれで我慢だわ。」
詠唱「雪祭りの思い出をそのままに」
雪だるまが溶けない魔法だ
「お飲み物はどうされますか?」
コソリ「魔塔主、グルコさんいつもあんなんですか?薬局の店員のセリフじゃないです。」
コソリ「シー。あれ無自覚なのよ」
「そうねぇ。じゃあ軽く小山崎をストレートでお願いします。」
「小山崎?お酒の種類また増えてるわね」
「珍しい酒もあるな。ジジイか?」
「ですね。シンさんが勝手に来て勝手に並べて帰るみたいです。それを皆さんが勝手に呑んでます」

おっと 呑んだくれる前に話しとかなきゃ
「突然ですが、皆さんにご報告があります」
「急に何よ」
「置き薬を扱うようになり雪の季節を迎えたら来店客が2週間ゼロなんです」
「いよいよ倒産か?」
「しませんよ。置き薬の注文は順調です。その置き薬、俺には雪山の外出は危険なので全て店長任せになりました」
町馬車道に近い所は俺が担当していたが 停留所から配達先の小道は除雪されていなかった あの時は店長に悪口言えば出てくる仕様で迎えに来てもらった
「まあ、ここも森の中だしな」
何がなんでも山を森と言い張るよね
「そうよねぇ。転移魔法がないとこの場所は厳しいわよね」
「そうなんです。ここは今薬局の機能を果たしていません」
「それで?」
「なんか俺だけ暇なので、年内はお店を閉めてバイトに行きます」
「はあー!?」
「それはダメよ!」
「薬局の方ですよ。BARはお好きに使ってください」
〈パチパチパチパチパチパチ〉
何の拍手だ
「でも、魔力無しのあなたにできるバイトがあるの?」
「ワイルドボアは終わりましたし。」
「グルコさん腰痛持ちですよね。」
「この町で出来る仕事は無いだろ?」
「ハイ。この町には無いです。だから隣りの領の工場で働こうかなって考えています」
「どんな仕事なの?」
「薬草の選別です。調査員の時に住み込みでお世話になりました。年末まで出稼ぎしますね」
《出稼ぎ!?》
「通えばいいだろ?」
「店長への送迎代、俺には払えませんよ」
「誰かに安く頼めないのか?」
「魔法は人的資産ですから、値切るのは俺の心情的に許せません」
《人的資産》
「なんじゃそりゃ?」
「初めて聞きました。」
「わたしも知らないわ」
「備忘録にも載ってません。」
そっか 魔法を当たり前に使えるこの人達には縁がない言葉なんだな
「俺は魔力無し協同組合で人的資産について教わりました」
《魔力無し協同組合》
「なんじゃそりゃ?」
「初めて聞きました。」
「わたしも知らないわ」
「備忘録にも載ってません。」
無し協の存在すらか
「まあ、そういう事なんで、送迎代を考えたら出稼ぎした方が良いんですよ」
「ボリルたんはどうするんだ!?」
「連れてくつもりですか!?」
そこだよね
「ボリルは店長に預けます。まだ独り暮らしはできませんし、淋しい思いをさせたくないです」
《反対!》
「ボリルたんが居ないBARなんて、BARじゃない!」
「単なるお酒の飲める薬局です!」
コソリ「魔塔主、あってますよね?」
コソリ「この人達とユガとオリザはね、ボリル萌えをツマミにお酒を飲みに来てるのよ」
コソリ「そんなに萌えですか?」
コソリ「そんなに萌えなのよ」


「魔力無し協同組合の資格講座の案内本です。全て国際ライセンスです」
だいぶ黄ばんできた 何度も何度も読み返したから所々破れかけてる
「なんじゃコリャ汚ねーな」
「執念?魂の叫び?薄気味悪いです。」
「敢えてのビンテージ加工ですか?」
「やだコレ重いわ。教材も魔力無しなのぉ?」
感想がいちいち失礼だよね
「魔塔の魔道具購入補助金制度は無し協が導入させたんですよ」
「え?何制度?」
そっか 魔塔に魔力無しはもう居ないからね
「いえ。忘れてください」
「あの、これ複製しても良いですか?」
「どうぞ」
「ありがとうございます。人数分取りますね」
「今読むなら、コーヒー淹れますよ?」
「おう」


台所からワゴンで一式運ぶ 振動しない最新式キャスター付き魔道具だ
「サイフォンですね。実物、初めて見ました。」
「3台もあるのか?」
「使う用、予備用、飾る用です。見つけた時に買っておかないと手に入りませんので」
《へぇーーー》
「アルコールランプに火を付けるのよね?」
「そうです」
「わたしが点けるわ」
〈ポッ〉
「ありがとうございます。マッチ高いから助かります」
《マッチ!》
「今どきマッチ!」
「歴史資料室でしか見たことないわ」
「王国では珍しいですよね。帝都から取り寄せてます」
「ギルドで仕入れたら少しは安くできるんだろうけど、グルコさんしか買わないのでごめんなさいね。」
「個人輸入は高いのが普通です。割り切ってますから大丈夫ですよ」
「コーヒー豆も高いだろ?」
「それはどうかお気になさらず。こうして皆さんに振る舞えるのも楽しみのひとつですから」
コソリ「カフェバーを目指してるんですかね?」
コソリ「シー。無自覚なのよ」
コソリ「なんともはや⋯。」

 好奇心旺盛な呑ん兵衛による読書会 東さんは本を立てて居眠り隠し
「グルコさん、この赤丸。1級土木施工管理技士と測量士は取得されましたか?」
「そこにある資格は全部持ってますよ」
《全部!?》
「あなた天才なの!?」
「単なる魔力無しです。資格マニアなんです俺」
「魔力さえあれば向かうところ敵なしですね。」
魔力があったらこんな資格いりませんけどね

「ん。ん。ん。待てよ。待て待て。おい、商業」
「はい。これ、いけますよ。」
「そーだよな?」
「ほら、これも。」
「そーだよな?」
「ワンオペですね。」
ふぁー「なになに、何ページ?」
コソリ「10ページの目次です。資格の一覧を確認してます。」
コソリ「ありがと」
学校かよ


「マク、国道工事の会議はどうなった?」
「今日の会議の流れを考えると、また隣国に仕事を奪われますね。」
「やはりな。東は隣国案の賛成派か?」
「ええ、そーよ。別にいーんじゃない?」
軽 まだ隣国の奴隷人夫の事を知らないんだな
「東さんは国民の糧となる仕事を割高で隣国にさせて平気なんですか?」
「んー。お給料を沢山貰っても税金に持ってかれるでしょう?王国の所得税は大陸一高いのよ?」
絵に描いたような王権制度 絶対君主制だ
「結局はまた国王に贅沢させるだけじゃない。国民の血税でお犬様を買っちゃうとかダメでしょ」
「会議でもその懸念があって隣国案を選択する流れがありました。せめて隣国との交渉権が官僚達にあれば、人夫レンタル料を抑えられるんですけどね。」
「どちらにせよ人夫の衣食住はシンケー領の負担です。」
「私の今年度の小遣い半分だった。2年続けてはキツイ。新しいお馬さんが買えない」
《ジイイィーーーーー》
「なんだよ白い目で見るなよ」
ハァー「そんなことより、どうして隣国に拘るんですかね」
裏金でも貰ってるのか?
「国王は隣国と交渉する自分が出来る男だと勘違いしてるんです。また横取りしますよ。」
マクさんが珍しく辛辣だ
「それもあるけど、双子の王女にゾッコンなのよ。簡単に手懐けられて気の毒なくらいよ」
東さん 自覚ないんだね
「そしていい気分にさせられてレンタル料をボラれる。同じ轍を踏みます。」

うんうん「皆んな思う所は同じだな。そこでだ。うちの領民だけで国道工事をするってのはどうだ?」

《おおぉーーーーーーー》
〈パチパチパチパチパチパチ〉
「満場一致だな」

「グルコ君、工事現場の管理者資格を貸してもらえるかな?」
「名義貸しですね。良いですよ。使う事は無いので違法がバレて剥奪されても構いません。使える資格をフル稼働させます」
「いくら出せる?とは聞かないんだな」
「無し協の免除が手厚くてタダで取得しましたから名義貸しのお金は頂きません。逮捕されたら罰金刑と保釈金はお願いします」
「すげぇな。無し協の財源はどこなんだ?」
「本部は帝国です。帝国民の税金じゃないですか?」
「あの国には消費税制度という底無しの財源があります。」
「なるほどな。気兼ねなく使わせてもらうよ」
「どーぞどーぞ」

「商業ギルドはどこまで協力出来る?」
「どこまでも限りなく。」
「シンケー領が隕石被害を受けている事にするのは可能か?」
「可能です。実際、商業ギルドは物資の運搬や流通の対応に追われています。隕石に近づくと馬が暴れたり、体調が悪くなる行商人も大勢います。情報操作は全面的にバックアップできますよ。」
「わかった」

「東。魔塔主としてシンケー領の隕石災害復興支援に尽力してくれ」
「ちょっと顔怖いわよ。わたしを巻き込むつもりね」
「当たり前だろ。国道工事に活用する人的資産は魔法だからな。魔塔の管轄だ」
「まあ、そうね。何をすれば良いの?」
「魔塔主の権限で新法を捩じ込んで欲しい」
「わたしの得意分野ね」
それ 副魔塔主がマクさんだから上手くいってるんですよ


「今、臨時の道路にしている交差周辺の広い空き地は、新国道として無償で取り上げられる土地だ。
それを私達が工事を請け負い完成させ『国王に献上』という筋書きに変える」
《はい》


「役割を説明する。
前提
魔法使いが行う工事を魔法工事とする

領主と元国道大臣
国道工事を災害復興支援の一端としてうちの領民にさせろと申請する
却下されたら速攻で王宮に乗り込む

魔塔主と副魔塔主
魔法が人的資産である事を魔塔と議会の隅々まで周知する 
魔法工事で働いた被災者の所得税を引き下げる法律を公布する

商業ギルド
隕石災害の被害状況を整理する 小さい案件も取りこぼしが無いよう頼む
環境汚染を訴え領民を全員被災者に仕上げる
信頼のおける職員2名まで巻き込んで良いぞ 初代領主に秘匿魔法を使わせるからな

グルコ君
国道工事に必要な資格の名義貸し、必要書類の手配と申請
あと、設計士として完成予想図の作成をしてくれ
雰囲気が伝わる程度で大丈夫だ
現場を仕切る上級魔法使い達が設計士も測量士も必要ない魔法をバンバン使うからな

以上」

《おおぉーーーーーーー》
〈パチパチパチパチパチパチ〉

「空き地なんですが、広葉樹を伐採しましたよね。その時の設計図が欲しいです」
「わかった。すぐに手配して届ける」
「ありがとうございます」
「他に不明な点は?」
《ありません》
「困り事はすぐ報告してくれ」
《はい》

「領主さんが、領主の仕事するの初めて見ました」
「そーだな。私も久しぶりに頭を使ったよ」
「ほんと冒険さんが居ないと集中できますよね」

《シーーーーーーーーーーーーン》

「あれ?何か違いました?」
「そーだな。その通りだ」
「グルコさんさすがです。」
「こんなにスムーズに話がまとまるなんておかしいと思ったわ」
「かすりもしませんでした。」
「皆さん、忘れてたんですね?」
《はい》
「あいつにも何かさせるか?」
「大会議室を工事説明会に使わせて頂きたいです」
「他には?」
《ありません》



ブエックショイ「あー風邪かなぁ」
「ギルマスは風邪ひかないでしょ。」
「それもそーだな」



「グルコ君の資格があれば、よそもんを使わずにうちの領民だけで工事ができる。門外不出のデカイ魔法を遠慮なくバンバン使える。魔力提供の参加希望者は子供でも高齢者でも受け入れるつもりだ」
「ねえねえ、わたしもお小遣い欲しい。魔法工事参加させてよ」
「国家公務員はバイト禁止だろ。監査機関にすぐバレるぞ。西と二人、デカイ魔法を頼むがボランティアだ」
「あら。グルコは前に出稼ぎバイトしたじゃない。なんか裏ワザとかあるの?」
「無し協の紹介なら許可が下ります」
「何それ。無し協ずるくなーい?」
「無し協すげぇな」
「帝国の情報、もっと欲しくなりますね。」
「やぶ蛇ですよ」
「やぶ蛇は嫌だわね」
「色々あるんですね?」
「魔法使いは関わらないに限ります」
「深い深い闇がありそうですね。」
「あの国はガチ伏魔殿です」
「帝国たる所以か」
「あ。俺からひとつ提案です。新法の文面を考えました。良いですか?」
「おう。聞かせてくれ」
国王をクビには出来ないけど贅沢を止めることはできる
減税なんて生ぬるい

「災害現場の復興支援を目的とした魔法工事において、人的資産を使用した被災者に限り、給与に掛かる所得税全額免除を認める」

《シーーーーーーーーーーーーン》

〈バンバンッ〉
「グルコ天才っ!」
「東さん早急にねじ込んでください!」
「鳶に油揚げ掻っ攫われる前に公布しないとな」
「魔法法律案の審査機関は魔塔です。採決まで最短で進めましょう。」
「グルコが一番儲けるわね。管理者の給料お高いんでしょ?」
「ハイ。各資格の最高賃金もぎ取りますよ。更に重箱の隅をつつくような項目を計上してジャバジャバ請求します。
その金でプール付き温泉施設を造ります!」
「ジジイかよ」
「プールって何ですか?」
「服着て泳ぐデカイ風呂だ」
「そんなにもぎ取れるの?」
ニヤリ「来年度の国王の小遣い、半分にしてみせますよ」
コソリ「なんか恨みでもあるのかしら?」
コソリ「さあ。私は知らないです。」
隕石落下からずっと商業ギルド職員は対応に追われている
「商業さん、初売りの受付開始、師走までには済ませたいですよね。ポーションで体力が戻っても精神的ストレスの蓄積には抗えません。休暇も必要です」
「そうなんです。実はこのままだと年末年始、職員のポーション代で大赤字なんです。今でもカツカツなんですよ。」
「そうだったのね。うまくやりくりしてるから大丈夫だと思ってたわ」
「商業は、甘えやグチが無いからなぁ」
「責任感が強いんですね。」

「それでは皆さん、チカラの限り共に戦いましょう!」
《エイッエイッオー!》



 魔法工事の新法は瞬く間に公布された



【隕石災害復興支援 国道工事説明会】

「グルコ監督、全員揃いました」
「ハイハイ」
冒険者ギルド5階大会議室
前の席には子供達 後ろの席には大人達 領主と王都から来た国道大臣達は立ち見 廊下から職員達が覗く 満員御礼だ
俺は拡声魔法マイクを手に教壇に立った
さあ 始めよう
〈えー。皆さんこんにちは~〉
《こんにちは~》
〈おー 元気なご挨拶、ありがとうねー〉
《はーい》
〈今日はですね、隕石の道路工事のお話しをしますね〉
《はーい》
魔法映写機で白い壁の左側に地図を投影する
山神の峰 街道全体を描いた俯瞰地図
地図の制作は薬師村の薬剤師さんに依頼
《おぉーーーーー》
幽玄な雰囲気が表現された美しい山水画に 後ろの方から低い歓声があがる
《わあ~~~~~》
「タマキンだぁ~」
「山神さまのタ~マキ~ン」
大人は笑いを堪えてる
「もおー男子サイテー」
「グルコ笑ってないで叱ってよぉ」
〈ハイハイ。女の子が嫌がる言葉はダメですよ〉
《はーい》
〈ありがとう。それでは、お話し始めますね。まずこの泥団子、そうそう、これ、泥団子に似てるでしょ。作ったことありますか?〉
《あるー》
《ないー》
《知らなーい》
〈なるほど。知らない子は後でお友だちに聞いてみてね〉
《はーい》
皆んな可愛いなぁ 俺 魔力があったら教師になりたいかも
コホン
〈お話しを進めますね。災害現場の拡大地図です〉
「タマキンでっかくなったぁー」
《わははははははははははははははは》
王都連中以外が大爆笑だ 女の子も笑ってる
シモネタで楽しく盛り上がる工事説明会 やっぱりシンケー領はこうでなくっちゃね
コホン
〈ここからここが国道です。泥団子がどうなってますか?〉
「通れなくしてる」
「邪魔だよね」
「あの道路知らない」
「ふさいでる」
〈そうですね。泥団子が落ちてくる前はこうでした。比べて見ましょう〉
「交差だ」
「こうさ?」
「うん。道路と道路がバッテン」
バッテンに見えるよう斜めに描いて正解
〈交差は飛び出し禁止って教わったかな?〉
《おそわったー》
後ろの親子さん達がうんうん頷いてる 子供に未経験な危険を教えるのは難しいよね
〈では、馬車が交差に向かって走って来ました。どうなりますか?〉
「泥団子にぶつかるよね」
「そーそー」
「馬が止まるよね」
〈そうですね。泥団子にぶつかる前に馬が止まります。では、これならどうでしょう〉
完成予定図を投影
隕石が視界を阻むので感応式踏切魔法を施工するが 門外不出な為完成予定図には描けなかった
魔女にしか見えない魔法らしいので大丈夫だろう
《おぉーーーーー》
後ろの方から低い歓声があがる
俯瞰地図 落下後拡大地図 完成予定図 3枚を並べて投影する事により 子供達にもわかりやすく比較して貰う
《わあ~~~~~》
「つながった!」
「わかれた!」
「交差が2個になった!」
〈隕石にぶつからない道路を作ります〉
「まわりみち」
「とおまわり」
「ゆっくりになる?」
「そっか。ゆっくりになる!」
「危なくないね」
「危なくない!」
〈そうですね。曲がったのでゆっくりになります。でも、街道を走る皆んなもゆっくりしましょう。なぜだかわかりますか?〉
「はい!あわてん坊さんがいます!」
「はい!うっかりさんがいます!」
「はい!悪党がいます!」
〈皆さん正解です。あとひとつ、お馬さんが止まらないこともありますね〉
「ゆーこときかないの」
「おなかいたいときだよね」
「つかれててもだよ」
「早く帰りたいとき」
〈そうですね。お馬さんも働きすぎると失敗しちゃいます。優しくしてあげてね〉
《はーい》
コホン
〈皆さん、これが隕石の道路工事です。
ケガの無いように、一緒にお仕事しましょうね〉
《はーい》


「領主、子供達も働かせるんですか?」
「人的資産を提供して貰う」
「ああ、魔力の提供ですね」
「危ない事はさせないさ」
「グルコ監督って何者なんですか?」
「管理者の欄ワンオペです。全部グルコさんです」
フンッ「単なる魔力無しだよ」
《はあっ!?》
「高位な魔術師だと思ってました」
「だから魔力を感知できなかったのか」
「国家資格をこんなに取得してるなんて、魔力無しって凄いんですね」
フンッ「国家資格じゃない。国際ライセンスだ」
「ああ、大陸全土のですね。失礼しました」
「この説明会の記録映像、教材に使用させて頂けますか」
「うちも欲しいです。議会の報告会議に使用したいです」
「使っても良いがな。領外に出すなら、グルコ監督と子供達はモザイクだ。山神さま、タマキン、泥団子はピー処理だな」
山神の峰の俯瞰地図がほぼ全編に投影されている
どこをどう見ても白蛇に黒いタマキンが付いてる画像
「泥団子もモザイクかもな」
《シーーーーーン》
「国道大臣。国王への報告は任せるからな。私が行くとまたケンカになる」
「お任せください。法律を盾にして納得させますよ」
〈フンッ〉


国道工事は瞬く間に完了した





~グルコ監督と国道工事 完~
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呑兵衛和尚
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調理師・宇堂優也。 彼は、交通事故に巻き込まれて異世界へと旅立った。 彼が異世界に向かった理由、それは『運命の女神の干渉外で起きた事故』に巻き込まれたから。 神々でも判らない事故に巻き込まれ、死亡したという事で、優也は『異世界で第二の人生』を送ることが許された。 そして、仕事にまつわるいくつかのチート能力を得た優也は、異世界でも天職である料理に身をやつすことになるのだが。 始めてみる食材、初めて味わう異世界の味。 そこは、優也にとっては、まさに天国ともいえる世界であった。 そして様々な食材や人々と出会い、この異世界でのライフスタイルを謳歌し始めるのであった。 ※【隠れ居酒屋・越境庵】は隔週更新です。

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