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第17話 手伝わないか?
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「そりゃあね。男の人なのに髪が長いから目立つわよ。背はそうねえ、和臣と悠人君の中間くらいだったかな。顔は前髪で隠れてて、年齢は解らなかったわ」
「ほう」
結構な大男だなと、和臣はぽりぽりとキュウリの漬物を食べながら頷く。それだけ詳しく観察していて怪しいと判断したのだから、まあ、町では見慣れないタイプの人だったのだろう。そう考えると、あの校舎の利用者の可能性も出てくる。
「あっ、ひょっとして汚れていたのは掃除してたからとか」
「その可能性はある。しばらく放置されていた校舎を一人で掃除していたとなると、かなり汚れるだろうしね。油汚れのようなシミが服に出来てしまうかもしれない」
「へえ。あの人、掃除なんてしそうになかったのに。意外とちゃんとしているのね」
人間、見た目は非常に大事だ。沙希の言葉で悠人はそれを肝に銘じる。汚れた格好で長髪だったというだけで、かなり評価が低くなっている。以後、気を付けよう。
「足跡からして出入りしているのは男のようだし、そいつだったのかもな。ただ、まだよく解らないが」
「そうだよね。どうして一人でやってるのか気になるし、そもそも、あそこで何をしようとしているのか」
具体的な人物が現れたが、さて、あそこで何がしたいのか。最大の謎が残ったままだ。それにしても謎の男性か。いよいよ面白くなってきた感じはある。しかもそれが志津が持ち込んだ話であること、志津は何かを知っているらしいことが気になる。
「ほら、誰かいるだろ」
そして噂をこの家に持ち込んだ張本人、志津は麦茶を飲みながらにっこりと笑うのだった。
校舎の再利用というのはメジャーなようだが、どういうものがあるのか。昼ご飯の後、悠人は客間でゴロゴロしながらスマホで検索してみた。すると出るわ出るわ、色んな利用方法があった。
「工場以外にもカフェやレストランってのもあるのか。さらにコスプレの撮影会場まで。すごいな」
まさに多種多様。和臣から聞いた食品工場というのも多く、あれやこれやと作られているらしい。
「まあ、少子化で学校って余ってるもんな。そりゃあ、再利用しなきゃってなるか。ああやって放置されている学校はどこにでもあるんだよな」
統廃合のニュースはよく聞くもんなと、悠人はごろごろと寝転びながら考える。あそこを利用して何かをしようとしている男性は、こういう類の何かなのだろうか。それとも全く別の発想でいるのか。なかなか興味深い。しかし、沙希の目撃談のせいでどうにも胡散臭さが残ってしまう。
「やっぱベンチャー企業の社長なのかな。社長って、どういう人がなるんだろう。そういう人は見た目に気を使っていそうだけど」
「社長業ならば、意外と大学でもやってるぞ」
「うわっ」
独り言に返事があり、悠人は思い切り驚いてしまう。本日二度目のびっくりだ。見ると廊下に和臣がいて、呆れた顔をしている。
「寝ているようなら邪魔しないでおこうかと思ったんだが、一人でぶつぶつと考え事をしているようだからついね」
「あはは、そういうことね」
日本家屋だからこそできることだなと、悠人は起き上がって頭を掻く。廊下から覗いたり隣の部屋から覗いたりなんて、マンションでは絶対に出来ない確認方法だ。しかもこそっと覗けちゃうところが凄い。
「それで、どうしたの。俺に何か用事でも」
「いや、暇ならば人工知能の研究の手伝いをしてもらおうかと思ってね」
「えっ。それって大学のことでしょ。素人がやってもいいの?」
「ああ。といっても、資料整理だけどな。五百円でどうだ?」
「やる」
決して五百円に吊られたわけではないが、報酬があるのは非常に嬉しい。ということで、悠人は和臣の部屋へと移動することになった。部屋の中は昨日と違い、思い切り散らかっていた。紙類や本はもちろん、ノートパソコンに小型のプリンター、その他小さな機械や配線で、昨日は綺麗だった畳の上が占拠されている。もちろん、隅には夜に使った布団があった。乱雑に畳んだだけで、押し入れには仕舞っていない。
「たった半日で、もの凄く散らかっている」
「ああ、色々とやってたからね。家だとどうしても片づけるのが面倒で広げたままにしちゃうんだよな。大学でやろうと思ってたのを丸ごと持って来たんだよ。一週間あればこのくらいはと思うとね、つい大量に持って帰って来てしまったし」
和臣は一人暮らしの部屋はもっと凄いと、自慢にならないことを付け足した。自宅には寝に戻るだけのようなものだから、足の踏み場もないのだという。いやはや、何でも完璧に見える和臣の意外な弱点だ。片付けが苦手だったなんて。
「それで、和臣さんはどういう人工知能を作ってるの?」
それよりも、昨日はあやふやになってしまった和臣の研究内容が知りたかった。どうにも人工知能の具体的なイメージがないから、ついでにその辺も教えてもらいたいところだ。詳しく知れば、今までは全く工学部への進学は考えていなかったが、選択肢に入れるかもしれない。
「ほう」
結構な大男だなと、和臣はぽりぽりとキュウリの漬物を食べながら頷く。それだけ詳しく観察していて怪しいと判断したのだから、まあ、町では見慣れないタイプの人だったのだろう。そう考えると、あの校舎の利用者の可能性も出てくる。
「あっ、ひょっとして汚れていたのは掃除してたからとか」
「その可能性はある。しばらく放置されていた校舎を一人で掃除していたとなると、かなり汚れるだろうしね。油汚れのようなシミが服に出来てしまうかもしれない」
「へえ。あの人、掃除なんてしそうになかったのに。意外とちゃんとしているのね」
人間、見た目は非常に大事だ。沙希の言葉で悠人はそれを肝に銘じる。汚れた格好で長髪だったというだけで、かなり評価が低くなっている。以後、気を付けよう。
「足跡からして出入りしているのは男のようだし、そいつだったのかもな。ただ、まだよく解らないが」
「そうだよね。どうして一人でやってるのか気になるし、そもそも、あそこで何をしようとしているのか」
具体的な人物が現れたが、さて、あそこで何がしたいのか。最大の謎が残ったままだ。それにしても謎の男性か。いよいよ面白くなってきた感じはある。しかもそれが志津が持ち込んだ話であること、志津は何かを知っているらしいことが気になる。
「ほら、誰かいるだろ」
そして噂をこの家に持ち込んだ張本人、志津は麦茶を飲みながらにっこりと笑うのだった。
校舎の再利用というのはメジャーなようだが、どういうものがあるのか。昼ご飯の後、悠人は客間でゴロゴロしながらスマホで検索してみた。すると出るわ出るわ、色んな利用方法があった。
「工場以外にもカフェやレストランってのもあるのか。さらにコスプレの撮影会場まで。すごいな」
まさに多種多様。和臣から聞いた食品工場というのも多く、あれやこれやと作られているらしい。
「まあ、少子化で学校って余ってるもんな。そりゃあ、再利用しなきゃってなるか。ああやって放置されている学校はどこにでもあるんだよな」
統廃合のニュースはよく聞くもんなと、悠人はごろごろと寝転びながら考える。あそこを利用して何かをしようとしている男性は、こういう類の何かなのだろうか。それとも全く別の発想でいるのか。なかなか興味深い。しかし、沙希の目撃談のせいでどうにも胡散臭さが残ってしまう。
「やっぱベンチャー企業の社長なのかな。社長って、どういう人がなるんだろう。そういう人は見た目に気を使っていそうだけど」
「社長業ならば、意外と大学でもやってるぞ」
「うわっ」
独り言に返事があり、悠人は思い切り驚いてしまう。本日二度目のびっくりだ。見ると廊下に和臣がいて、呆れた顔をしている。
「寝ているようなら邪魔しないでおこうかと思ったんだが、一人でぶつぶつと考え事をしているようだからついね」
「あはは、そういうことね」
日本家屋だからこそできることだなと、悠人は起き上がって頭を掻く。廊下から覗いたり隣の部屋から覗いたりなんて、マンションでは絶対に出来ない確認方法だ。しかもこそっと覗けちゃうところが凄い。
「それで、どうしたの。俺に何か用事でも」
「いや、暇ならば人工知能の研究の手伝いをしてもらおうかと思ってね」
「えっ。それって大学のことでしょ。素人がやってもいいの?」
「ああ。といっても、資料整理だけどな。五百円でどうだ?」
「やる」
決して五百円に吊られたわけではないが、報酬があるのは非常に嬉しい。ということで、悠人は和臣の部屋へと移動することになった。部屋の中は昨日と違い、思い切り散らかっていた。紙類や本はもちろん、ノートパソコンに小型のプリンター、その他小さな機械や配線で、昨日は綺麗だった畳の上が占拠されている。もちろん、隅には夜に使った布団があった。乱雑に畳んだだけで、押し入れには仕舞っていない。
「たった半日で、もの凄く散らかっている」
「ああ、色々とやってたからね。家だとどうしても片づけるのが面倒で広げたままにしちゃうんだよな。大学でやろうと思ってたのを丸ごと持って来たんだよ。一週間あればこのくらいはと思うとね、つい大量に持って帰って来てしまったし」
和臣は一人暮らしの部屋はもっと凄いと、自慢にならないことを付け足した。自宅には寝に戻るだけのようなものだから、足の踏み場もないのだという。いやはや、何でも完璧に見える和臣の意外な弱点だ。片付けが苦手だったなんて。
「それで、和臣さんはどういう人工知能を作ってるの?」
それよりも、昨日はあやふやになってしまった和臣の研究内容が知りたかった。どうにも人工知能の具体的なイメージがないから、ついでにその辺も教えてもらいたいところだ。詳しく知れば、今までは全く工学部への進学は考えていなかったが、選択肢に入れるかもしれない。
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