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最終話 これからは一緒に
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再び風がざっと吹いたかと思うと、二人はあの墓石のある庭にいた。でも、そこには墓石も、そしてあの不思議な低木もなかった。あるのは、大学の敷地を示す塀だけだ。それと、この中庭に続く、普通の細道。
「静嵐」
「――行こう」
その事実に静嵐は一度目を閉じたが、やがて、愛佳の手を引いて歩き始めた。
「うん」
そんな静嵐の目も髪も、真っ黒になっていたことに気づき、愛佳は大きく頷いていた。
「なるほどねえ。まさかそうなっていたなんて」
「ええ。全く以てびっくりです」
「いや、びっくりはいいけどさ。どうして愛佳までここで住むわけ?」
2週間後。愛佳と静嵐の姿は寺本の家にあった。
寺本は一軒家に奥さんと二人暮らしで、静嵐だけでなく愛佳も住んじゃいなよと、そんな感じで引き受けてくれたのだ。というわけで、今やここは愛佳の家でもある。
もぐもぐと元気いっぱいに寺本の奥さんが作ってくれた朝ご飯を食べる愛佳に、静嵐はちゃっかりしているなと呆れていた。
「いいじゃないか。大学でのあれこれを教えて貰いながら生活するわけだし。いくら人間になりたかったとはいえ、君は神様だったんだからね。人間の常識を一つずつ覚えていかないと。そのためにも愛佳ちゃんは必要だよ。ああ。ちゃんと入学手続きは偽装しておいたから、その心配は要らないよ」
「おい。堂々と偽装と言うな」
呆れつつも、まさか自分があの大学の学生になるとはと、びっくりが連続している静嵐だ。しかも、静嵐は正式に寺本の養子という立場になっている。
いやはや、この男。やはりただ者ではない。どうやってその手の書類を偽装したのか、訊かないでおくのが身のためだろう。
「まあまあ。愛佳ちゃんと結婚するわけだし、すでに同居しておくのがいいんじゃない?」
そこに寺本の妻、美佐絵がとんでもない爆弾を投げていく。
いや、実際にそうなるんだけど、まだそれは先の話でと、二人でわたわたしてしまう。
「そうそう。息子の花嫁だもんな。いやあ、今から結婚式が楽しみだね」
「そうね。でも、やっぱり神式かしら。日本の神様だったんですものね。やっぱり教会はおかしいわよね。ああ、でも愛佳ちゃんのウエディングドレス姿は捨てがたいわ」
勝手に盛り上がる寺本夫妻に、愛佳も静嵐も顔が真っ赤になっていた。
そう遠くない未来に、必ず結婚することだろう。そしてその先は――まだ、考えても仕方がない。
でも、静嵐の家族になるということは、その先を繋げていくということでもあり・・・・・・二人揃ってそれはもう真っ赤っかになってしまった。
「さ、さあ、大学に行こうか」
「そ、そうね」
今はまだ、ようやく手に入れた人間としての生活に慣れるのが先だ。静嵐が立ち上がると、愛佳もそそくさと立ち上がる。この話題はまだお預け。それでいい。
「いってらっしゃい」
「昼の講義で会おう」
にこにこと微笑む二人に見送られて、こうやって普通に生活する。それが、こんなにも新鮮で温かいものだと、静嵐は初めて知った。
「愛佳」
「ん?」
選んでくれて、ありがとう。あんな話を聞かされても、探してくれてありがとう。色んなありがとうが浮かんできて、静嵐は笑ってしまう。
「何よ」
「いいや。今日も図書館に行くか?」
「うん」
でも、総てはあの図書館のおかげかもしれない。そう思って、静嵐は愛佳の手を握ると、ゆっくりと歩き始めていた。
「静嵐」
「――行こう」
その事実に静嵐は一度目を閉じたが、やがて、愛佳の手を引いて歩き始めた。
「うん」
そんな静嵐の目も髪も、真っ黒になっていたことに気づき、愛佳は大きく頷いていた。
「なるほどねえ。まさかそうなっていたなんて」
「ええ。全く以てびっくりです」
「いや、びっくりはいいけどさ。どうして愛佳までここで住むわけ?」
2週間後。愛佳と静嵐の姿は寺本の家にあった。
寺本は一軒家に奥さんと二人暮らしで、静嵐だけでなく愛佳も住んじゃいなよと、そんな感じで引き受けてくれたのだ。というわけで、今やここは愛佳の家でもある。
もぐもぐと元気いっぱいに寺本の奥さんが作ってくれた朝ご飯を食べる愛佳に、静嵐はちゃっかりしているなと呆れていた。
「いいじゃないか。大学でのあれこれを教えて貰いながら生活するわけだし。いくら人間になりたかったとはいえ、君は神様だったんだからね。人間の常識を一つずつ覚えていかないと。そのためにも愛佳ちゃんは必要だよ。ああ。ちゃんと入学手続きは偽装しておいたから、その心配は要らないよ」
「おい。堂々と偽装と言うな」
呆れつつも、まさか自分があの大学の学生になるとはと、びっくりが連続している静嵐だ。しかも、静嵐は正式に寺本の養子という立場になっている。
いやはや、この男。やはりただ者ではない。どうやってその手の書類を偽装したのか、訊かないでおくのが身のためだろう。
「まあまあ。愛佳ちゃんと結婚するわけだし、すでに同居しておくのがいいんじゃない?」
そこに寺本の妻、美佐絵がとんでもない爆弾を投げていく。
いや、実際にそうなるんだけど、まだそれは先の話でと、二人でわたわたしてしまう。
「そうそう。息子の花嫁だもんな。いやあ、今から結婚式が楽しみだね」
「そうね。でも、やっぱり神式かしら。日本の神様だったんですものね。やっぱり教会はおかしいわよね。ああ、でも愛佳ちゃんのウエディングドレス姿は捨てがたいわ」
勝手に盛り上がる寺本夫妻に、愛佳も静嵐も顔が真っ赤になっていた。
そう遠くない未来に、必ず結婚することだろう。そしてその先は――まだ、考えても仕方がない。
でも、静嵐の家族になるということは、その先を繋げていくということでもあり・・・・・・二人揃ってそれはもう真っ赤っかになってしまった。
「さ、さあ、大学に行こうか」
「そ、そうね」
今はまだ、ようやく手に入れた人間としての生活に慣れるのが先だ。静嵐が立ち上がると、愛佳もそそくさと立ち上がる。この話題はまだお預け。それでいい。
「いってらっしゃい」
「昼の講義で会おう」
にこにこと微笑む二人に見送られて、こうやって普通に生活する。それが、こんなにも新鮮で温かいものだと、静嵐は初めて知った。
「愛佳」
「ん?」
選んでくれて、ありがとう。あんな話を聞かされても、探してくれてありがとう。色んなありがとうが浮かんできて、静嵐は笑ってしまう。
「何よ」
「いいや。今日も図書館に行くか?」
「うん」
でも、総てはあの図書館のおかげかもしれない。そう思って、静嵐は愛佳の手を握ると、ゆっくりと歩き始めていた。
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