13 / 34
第13話 カツ丼と特盛カレーと恋煩い
しおりを挟む
今日も昼飯はこいつとかと、智史を目の前に龍翔は溜め息を吐きそうになった。しかし、明日までは我慢するより他はない。ともかくファーストコンタクトを無事に済ませ、デートの流れにする。ここまで手助けすれば後は自分で何とかしてもらうより他はない。
この日も智史は約束より一時間も前に学食の一角を陣取り、すでに研究への影響が出ていることの表れなのだが、あれからどうなったのかと龍翔の登場にやきもきしていたのである。そんな智史の昼ご飯は特盛のカレーだった。
「なるほど。岩本先生の手まで煩わせてしまうとは」
余計な奴は増えたものの食事会のセッティングは出来たとの報告に、まずそこが気になる智史だ。こういう反応だから心配になって仕方がない。
「あの教授は勝手に首を突っ込んできたんだから放っておけばいいんだよ。それより、どうやって浜野さんと仲良くなるか。それを考えろよ」
今悩むべきはこれだと、わざわざ軌道修正する羽目になる。すると大問題だと、自ら手助けしろと言ったくせに打つ手なしの智史だ。どうすれば仲良くなれるのか。そこが考えられていない。
「ま、まあ。先ずは会話するところからだよな。うん」
仕方なく一段階下からだなと、龍翔は目標を下げることにした。何にしても一発目に大打撃は避けたい。急に告白なんてされて千佳の機嫌が悪くなるのも回避したいところだ。
「そうだな。その、一緒に参加するという津田さんは大丈夫なのか」
会話の邪魔をされないか。ただでさえ一世一代の勝負を仕掛けようとしているだけに細かなことが気になる。
「そいつは俺が抑え込むから問題ない。というか、そこそこ場が温まるまでは津田に任せておけ。騒がしい奴だからさ」
俺たちでは真面目過ぎて馬鹿騒ぎは難しいと、結局は悠大を道化役に仕立てる気満々の龍翔だ。それに対照的な奴がいれば智史の印象もよくなることだろう。千佳があの手の騒がしい奴を好きだとは思えない。
「そうか。明日か」
心配事が取り敢えず無くなった智史は、今度はだらしのない表情になった。解りやすいことこの上ない。明日はどうなるかなとあれこれ妄想し、都合よく千佳と仲良くなっているのだろう。ひょっとしたらその先も妄想しているかもしれない。
こいつも男だなと思いつつも、どうして俺がこんなことに付き合ってんだかと、龍翔はやけくそな思いで昼食に頼んだカツ丼を掻き込む。この無駄な恋話を乗り切るには、気合いを入れておかないと投げ出しそうだ。
「なあ」
「ん」
口いっぱいにカツ丼を放り込んでいた龍翔は何だよと智史を睨み付ける。妄想に耽るならば一人でやってもらいたい。
「明日も晴れるかな」
睨まれているとも知らずに、智史は窓の外に目を向けてそんな呑気なことを言い出す。こいつ、いい加減にしろよと龍翔は無視した。そしてふと同じように外を見て、いつまでも暑いんじゃねえよと、今日も相変わらず猛暑日をもたらしている太陽を、恨めしく見つめてしまうのだった。
この日も智史は約束より一時間も前に学食の一角を陣取り、すでに研究への影響が出ていることの表れなのだが、あれからどうなったのかと龍翔の登場にやきもきしていたのである。そんな智史の昼ご飯は特盛のカレーだった。
「なるほど。岩本先生の手まで煩わせてしまうとは」
余計な奴は増えたものの食事会のセッティングは出来たとの報告に、まずそこが気になる智史だ。こういう反応だから心配になって仕方がない。
「あの教授は勝手に首を突っ込んできたんだから放っておけばいいんだよ。それより、どうやって浜野さんと仲良くなるか。それを考えろよ」
今悩むべきはこれだと、わざわざ軌道修正する羽目になる。すると大問題だと、自ら手助けしろと言ったくせに打つ手なしの智史だ。どうすれば仲良くなれるのか。そこが考えられていない。
「ま、まあ。先ずは会話するところからだよな。うん」
仕方なく一段階下からだなと、龍翔は目標を下げることにした。何にしても一発目に大打撃は避けたい。急に告白なんてされて千佳の機嫌が悪くなるのも回避したいところだ。
「そうだな。その、一緒に参加するという津田さんは大丈夫なのか」
会話の邪魔をされないか。ただでさえ一世一代の勝負を仕掛けようとしているだけに細かなことが気になる。
「そいつは俺が抑え込むから問題ない。というか、そこそこ場が温まるまでは津田に任せておけ。騒がしい奴だからさ」
俺たちでは真面目過ぎて馬鹿騒ぎは難しいと、結局は悠大を道化役に仕立てる気満々の龍翔だ。それに対照的な奴がいれば智史の印象もよくなることだろう。千佳があの手の騒がしい奴を好きだとは思えない。
「そうか。明日か」
心配事が取り敢えず無くなった智史は、今度はだらしのない表情になった。解りやすいことこの上ない。明日はどうなるかなとあれこれ妄想し、都合よく千佳と仲良くなっているのだろう。ひょっとしたらその先も妄想しているかもしれない。
こいつも男だなと思いつつも、どうして俺がこんなことに付き合ってんだかと、龍翔はやけくそな思いで昼食に頼んだカツ丼を掻き込む。この無駄な恋話を乗り切るには、気合いを入れておかないと投げ出しそうだ。
「なあ」
「ん」
口いっぱいにカツ丼を放り込んでいた龍翔は何だよと智史を睨み付ける。妄想に耽るならば一人でやってもらいたい。
「明日も晴れるかな」
睨まれているとも知らずに、智史は窓の外に目を向けてそんな呑気なことを言い出す。こいつ、いい加減にしろよと龍翔は無視した。そしてふと同じように外を見て、いつまでも暑いんじゃねえよと、今日も相変わらず猛暑日をもたらしている太陽を、恨めしく見つめてしまうのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
本物の夫は愛人に夢中なので、影武者とだけ愛し合います
こじまき
恋愛
幼い頃から許嫁だった王太子ヴァレリアンと結婚した公爵令嬢ディアーヌ。しかしヴァレリアンは身分の低い男爵令嬢に夢中で、初夜をすっぽかしてしまう。代わりに寝室にいたのは、彼そっくりの影武者…生まれたときに存在を消された双子の弟ルイだった。
※「小説家になろう」にも投稿しています
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる