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第一章 異世界召喚編
18 マナと女神の絵画
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「え? あっ!? 何かすみません!? この子、機嫌が悪いみたいで……」
「いえ、いいのですよ。フェアリーの中には幼子のように振舞う個体もありますからね」
「ふーん!」とメラメラがそっぽを向いた。
それにはマナの背筋に冷たいものが走り、神父の微笑が再び苦笑いに変わった。聖職者への無礼にユリカまで蒼白になったが、レクサスは笑いを堪えていた。
「ほんっとうに、ごめんなさいっ!」
マナは深々と頭を下げるしかなかった。
「いえいえ、お気になさらずに」
神父は何事もなかったかのように微笑に戻っていたが、もうこれ以上はマナの精神が持たない。
「神父様、ありがとうございました。今日は本当にお世話になりました」
「知りたいことがあれば、また何時でもお越しください」
マナが椅子から立つと、正面の壁に絵画が見えた。
「あの絵、見てもいいですか?」
「ご自由にどうぞ」
神父の了承を得て、マナは絵画に近づいた。先ほど見た女神像を落としこんだような絵画だった。女神エリアノと思しき女性の周りに、4人のフェアリーがいる。その中の一人は、メラメラと同じ漆黒の翼をもっていた。そして4人とも地上に立ってエリアノを見上げている。この時、マナは先ほど見た女神像に感じた違和感の正体が分かった。
――どうしてフェアリーたちは、翅や翼をもっているのに自由に飛んでいないの? わたしはもっと自由に飛んでいて楽しそうなフェアリーの姿が見たい。
石像ならば、宙を飛ぶ姿が描けないのは分かる。しかし、絵画までそうする必要はないはずだ。画家だって、翅をもつ妖精を描くのならば、地上には立たせないだろう。女神エリアノを描いた絵画のフェアリーたちは、まるでフェアリーはそうでなくてはいけないというように地上に立たされていた。
「あっ」
マナはもう一つ、絵の中に気になるものを見つけた。
「お気づきになりましたか」
神父がマナの背後から絵を見つめて言った。側に控えていたレクサスとユリカも、必然的に絵を見ることになった。
「マナと同じ~」
メラメラがエリアノの肖像画を指す。女神の瞳の色が、マナのそれと遜色なかったのだ。
「その宝石の如き瞳は、神に魅入られた者のみが得られると言われています。あなたの手にそのフェアリーがいる事には、何か意味があるに違いありません」
マナの耳に神父の声が深く響いた。
マナの瞳とエリアノの瞳の色の一致を見て、全員が言葉をなくしていた。二人の瞳がどこにでもあるような色なら気にもならないだろう。しかし、マナの瞳は世界に二つとないような色味を帯びていて、それが一致するというのは非常に奇妙だった。
♢♢♢
「いやあ、メラメラは面白いな」
教会の外に出ると、レクサスがマナの抱いているメラメラの頭をなでた。
「えへへ~」
嬉しさのあまり笑顔になるメラメラに、マナは溜息が出た。
「えへへ、じゃないよ。わたし恥ずかしかったんだから」
「メラメラは教会が好きではないようですね、絵本も放り投げていましたし」
ユリカが冷静に思考すると、マナは気が重くなる。
「フェアリーと関係の深い教会が嫌いだなんて……」
「こりゃあ、メラメラは、俺、いや、わたしとは気が合いそうですね」
「あの、さっきから気になってるんですけど、どうしてわざわざ言い直すんですか?」
マナに突っ込まれて、レクサスは頭を掻いた。
「これでも言葉使いには気を使ってるつもりなんですがね、ついつい自が出ちまう。わたしは平民出で、上品な言葉使いというのはどうも慣れなくて」
「いつものレクサスさんでいて下さい。わたしはその方が嬉しいです」
そう言うマナをレクサスは慈しみを込めた目で見つめる。
「マナ様は、その辺の令嬢とはまるで違いますね。ではお言葉に甘えて、包み隠さず、いつものレクサス・アレスターでいきましょう」
「そうして下さい」
そして二人は笑い合って、そこにメラメラも加わった。その後、ユリカから王妃へ進言があり、レクサスはマナ専属の騎士となるのであった。
♢♢♢
そして三ヶ月が経った。マナは文字の勉強に貴族式の礼儀作法、空いた時間はメラメラに言葉を教えたり、シャルの教えの下で薬草について学んだりと忙しい日々を送った。その中で、マナとアルカードは、毎日、城の中庭で会って散策を楽しみ、食事も王妃を含めて家族のように一緒に取るようになった。
引っ込み思案のマナも、アルカードと何度も会って話していくうちに少しずつ会話を紡ぐようになっていた。心優しい王太子が向こうから歩み寄ってくれたから打ち解けることができた。そして、聖メディアーノ学園に入学する日がやってくるのである。
「いえ、いいのですよ。フェアリーの中には幼子のように振舞う個体もありますからね」
「ふーん!」とメラメラがそっぽを向いた。
それにはマナの背筋に冷たいものが走り、神父の微笑が再び苦笑いに変わった。聖職者への無礼にユリカまで蒼白になったが、レクサスは笑いを堪えていた。
「ほんっとうに、ごめんなさいっ!」
マナは深々と頭を下げるしかなかった。
「いえいえ、お気になさらずに」
神父は何事もなかったかのように微笑に戻っていたが、もうこれ以上はマナの精神が持たない。
「神父様、ありがとうございました。今日は本当にお世話になりました」
「知りたいことがあれば、また何時でもお越しください」
マナが椅子から立つと、正面の壁に絵画が見えた。
「あの絵、見てもいいですか?」
「ご自由にどうぞ」
神父の了承を得て、マナは絵画に近づいた。先ほど見た女神像を落としこんだような絵画だった。女神エリアノと思しき女性の周りに、4人のフェアリーがいる。その中の一人は、メラメラと同じ漆黒の翼をもっていた。そして4人とも地上に立ってエリアノを見上げている。この時、マナは先ほど見た女神像に感じた違和感の正体が分かった。
――どうしてフェアリーたちは、翅や翼をもっているのに自由に飛んでいないの? わたしはもっと自由に飛んでいて楽しそうなフェアリーの姿が見たい。
石像ならば、宙を飛ぶ姿が描けないのは分かる。しかし、絵画までそうする必要はないはずだ。画家だって、翅をもつ妖精を描くのならば、地上には立たせないだろう。女神エリアノを描いた絵画のフェアリーたちは、まるでフェアリーはそうでなくてはいけないというように地上に立たされていた。
「あっ」
マナはもう一つ、絵の中に気になるものを見つけた。
「お気づきになりましたか」
神父がマナの背後から絵を見つめて言った。側に控えていたレクサスとユリカも、必然的に絵を見ることになった。
「マナと同じ~」
メラメラがエリアノの肖像画を指す。女神の瞳の色が、マナのそれと遜色なかったのだ。
「その宝石の如き瞳は、神に魅入られた者のみが得られると言われています。あなたの手にそのフェアリーがいる事には、何か意味があるに違いありません」
マナの耳に神父の声が深く響いた。
マナの瞳とエリアノの瞳の色の一致を見て、全員が言葉をなくしていた。二人の瞳がどこにでもあるような色なら気にもならないだろう。しかし、マナの瞳は世界に二つとないような色味を帯びていて、それが一致するというのは非常に奇妙だった。
♢♢♢
「いやあ、メラメラは面白いな」
教会の外に出ると、レクサスがマナの抱いているメラメラの頭をなでた。
「えへへ~」
嬉しさのあまり笑顔になるメラメラに、マナは溜息が出た。
「えへへ、じゃないよ。わたし恥ずかしかったんだから」
「メラメラは教会が好きではないようですね、絵本も放り投げていましたし」
ユリカが冷静に思考すると、マナは気が重くなる。
「フェアリーと関係の深い教会が嫌いだなんて……」
「こりゃあ、メラメラは、俺、いや、わたしとは気が合いそうですね」
「あの、さっきから気になってるんですけど、どうしてわざわざ言い直すんですか?」
マナに突っ込まれて、レクサスは頭を掻いた。
「これでも言葉使いには気を使ってるつもりなんですがね、ついつい自が出ちまう。わたしは平民出で、上品な言葉使いというのはどうも慣れなくて」
「いつものレクサスさんでいて下さい。わたしはその方が嬉しいです」
そう言うマナをレクサスは慈しみを込めた目で見つめる。
「マナ様は、その辺の令嬢とはまるで違いますね。ではお言葉に甘えて、包み隠さず、いつものレクサス・アレスターでいきましょう」
「そうして下さい」
そして二人は笑い合って、そこにメラメラも加わった。その後、ユリカから王妃へ進言があり、レクサスはマナ専属の騎士となるのであった。
♢♢♢
そして三ヶ月が経った。マナは文字の勉強に貴族式の礼儀作法、空いた時間はメラメラに言葉を教えたり、シャルの教えの下で薬草について学んだりと忙しい日々を送った。その中で、マナとアルカードは、毎日、城の中庭で会って散策を楽しみ、食事も王妃を含めて家族のように一緒に取るようになった。
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