ままごとのような恋だった

弥生

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2.目指せ王太子妃

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「ライラ様何度も申し上げていますが、殿下に言い寄るのはお止めになって下さい」

「自分がセドリック様に愛されていないからって妬み?私は貴女なんかより、ずっと彼の事を分かっているんだから」

 もう何度目になるか分からないやり取り、男爵令嬢が爵位が上の公爵令嬢に対してよくこのような失礼な態度をとれるものだ。

「ライラ様!エリザベート様に何て事を」

「ライラ様の失礼な言動は今に始まった事ではありませんが、エリザベート様の忠告に従っておいた方が良いですよ…」

 近くにいた女子生徒2名がライラに意見する。

「私は本当の事を言っただけだわ」


「エリザベート嬢そこまでにするんだ」

「そうだ、ライラ嬢とセドリック殿下は咎められるような関係ではないだろう」

 口論をしていた女子達の間に割り込んできたのは、王太子の側近候補の令息達だった。

「しかし、このままにしておくわけには…」

「エリザベート嬢!今は殿下とライラ嬢の時間が必要なのだ」

「…承知しましたわ」

 エリザベートはライラに一瞬だけ困ったような表情を向けて、一同に会釈をしてから側近候補と共にその場を去った。

(良い気味だわ!やっぱり男子はお堅い令嬢よりも、私のような気さくで可愛い娘が好きなのよ)

 先程のエリザベートの表情のなかに哀れみも混ざっていたのだが、ライラは気付く事はなかった。

「ライラ様、本当に知りませんよ?エリザベート様の忠告を聞かなかった結果、大変な目にあい泣く泣く学園を去った方もいるのですから」

「しかも、最後の方はやつれていましたものね」

 その場に残っていた2人の令嬢もそれだけ告げてその場を後にした。

(あの女そんな酷い嫌がらせをするの?何かされそうになったらセドリック様に言いつけてやらなきゃ!)


 
「…イラ嬢、ライラ嬢!」

「はい、いかがなさいましたかセドリック様?」

(しまった…せっかくセドリック様と会話をしていたの、にエリザベート達の会話を思い出してほとんど聞いていなかったわ)

「私と君なら、良き父と良き母になれると思うのだ、私とひとつの家庭を作らないか?」

「っ!セドリック様…はい!よろこんで」

(信じられない!告白を飛び越してプロポーズだなんて、こんなに早くおとせるとは思わなかったわ!ざまあ無いわねエリザベート、未来の王妃は私よ)

 後にライラは遠い目をして、こう語っている
「内容も分からずテキトーに返事をするものではない、人の話はしっかり聞いてから答えなくては後悔をする」と。
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